内容説明
これは1971年、スリランカで起った「人民解放戦線の反乱」を材料とする小説である。といってもスリランカの矛盾を描く社会主義リアリズムの小説ではない。素朴な正義感とマルキシズムの初歩的なイデオロギーから学生たちが銃を執り殺され捕えられていく。中年の誠実な考古学教師が、若者たちへの同情から心ならずも同判者として牢へ入る。この教師を中心として、激動にまきこまれる人びとの心理の流れがこまやかに描きだされる。近代の素養を身につけた教師と学生たちの心の働き方が、時にして伝統的、シンハラ的だ。教師は著者サラッチャンドラの分身である。
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