内容説明
他に類を見ない特殊な構造を持つ唯一無二の小説ジャンル“本格ミステリ”。その特殊な構造を解析し、その特殊な構造が生まれた理由を考察した評論書!
目次
序章 本格ミステリの構造
第1部 奇想の迷宮(創造される奇想―J・D・カー考;鬼のための奇想―高木彬光考;再生される奇想―島田荘司考 ほか)
第2部 叙述の迷宮(ミスディレクションのための叙述―横溝正史の語りと騙り;トリックのための叙述―高木彬光の語りと騙り;プロットのための叙述―都筑道夫の語りと騙り ほか)
第3部 推理の迷宮(復権する推理―ヴァン・ダインとクイーンを例に;奇想をあばく推理―カー、高木彬光、ホック、大山誠一郎を例に;対人ゲームの推理―『ギリシャ棺の秘密』を例に ほか)
終章 本格ミステリの構造解析
著者等紹介
飯城勇三[イイキユウサン]
1959年宮城県生まれ。東京理科大学卒。エラリー・クイーン研究家にしてエラリー・クイーン・ファンクラブ会長。2011年『エラリー・クイーン論』(論創社)で第11回本格ミステリ大賞“評論・研究部門”を受賞。2018年に『本格ミステリ戯作三昧』(南雲堂)で第18回本格ミステリ大賞“評論・研究部門”を受賞。2021年に『数学者と哲学者の密室』(南雲堂)で第21回本格ミステリ大賞“評論・研究部門”受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
124
序章にある通り本格ミステリとは「奇想と推理を叙述することに徹した小説」だ。他の文学にはない約束事だけに、この三点がうまく融合しなければ高評価は得られない。なのに愛読者ほど密室やアリバイ、偽装や叙述などトリックを偏愛し、そのデータベースを構築してきたため過去の評論では問題の三点を分けて批評するのが一般的だった。著者は古典から近作までの諸作品を多数分析し、優れた本格ミステリの成立には読者が「総合的な構造批評眼」を持つ必要性を提唱する。ポー以来のすぐれた本格物を生み出したのは、読者の厳しい眼差しの成長であると。2024/09/24
ハスゴン
25
とても分厚く持ち歩きには不便ですが、年末年始が近づくのでたっぷりと本格ミステリを味わうのにはもってこいです。 いつもながら読みやすい文章ですね。2024/12/03
だるま
18
純粋に本格ミステリだけを解析した評論書。冒頭が「奇想」の章で、カーから始まり高木彬光に移る。この流れだけで著者を信頼したくなる。構造そのものの解析なので、ネタをバラす必然性があり、犯人もトリックも明らかにしている(事前に注意書きがある)。だから入門書では無く、ミステリをかなり読んでいる人向けの本だろう。あまり評論で取り上げられない芦辺拓、大山誠一郎、深木章子らに多くのページを割いているのが嬉しかった。クイーンの『ローマ帽子の秘密』の分析が見事。私は読み込み不足だったと気づかされた。近年の評論書ではベスト。2024/12/10
ともりぶ
4
本格はそんなに読んでないので拾い読み。確かに読者側も無意識にトリックデータベース作って過去作を検索しながらあれこれ推理しながら読んでるな。2024/12/07
kanamori
2
☆☆☆2024/09/21