内容説明
本格ミステリの探偵はどのような推理をすべきか?密室などのトリックはどうあるべきか?そして、社会とどう対峙すべきか?戦中派の天城一と戦後派の笠井潔の作品からその答えを探し求める評論書!
目次
第1部 数学者と哲学者の探偵―探偵のレトリック(天城一の探偵;笠井潔の探偵)
第2部 数学者と哲学者の密室―戦争と密室(天城一と笠井潔の密室;天城一と笠井潔の応酬)
第3部 数学者と哲学者の社会―社会への批判(天城一の社会;笠井潔の社会)
著者等紹介
飯城勇三[イイキユウサン]
1959年宮城県生まれ。東京理科大学卒。エラリー・クイーン研究家にしてエラリー・クイーン・ファンクラブ会長。2011年『エラリー・クイーン論』(論創社)で第11回本格ミステリ大賞・評論部門を2018年に『本格ミステリ戯作三昧』(南雲堂)で第18回本格ミステリ大賞・評論部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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engidaruma2006
10
天城一と笠井潔を比較し、類似点を考察しながら本格ミステリを論じている評論書。私は天城作品はそこそこ読んでいるけど、笠井作品は殆ど読んでいないので、類似点と言われてもピンと来なかったが、読み終わったら確かに似ている2人なんだなあと思えた。密室論にもなっていて、毎度の事ながらこの著者の評論は鋭い。 評論の宿命として、作品のネタバレも書かれているが、この先もおそらく読まないだろうから気にならなかった。これから読もうとしている人は注意が必要。労作ではあるけど定価三千円ねえ。売れるのか?(^-^)2020/10/14
角
1
関係ないと思っていた2つの事柄に、ある補助線を引くことで一緒に論じられることに気づく。その「補助線」を見つけた著者の喜びと興奮が伝わってくる。評論集を読む楽しさは、その著者の興奮した口調と、その「補助線」によって見えてくるものを読者に提示する筆さばきにある。著者の興奮と併走するように、一気に読了した。いくつかの論点が、紙面の都合で詳細に論じられていないのが残念。ぜひここで見つけた論点を、掘り下げていって欲しい。2020/09/22