内容説明
新本格ミステリ勃興から25年。今では退潮傾向にあるといわれる本格ミステリの歴史をひもとき、現在の本格ミステリの置かれている状況を分析。ポスト新本格への道筋を示すミステリ評論。
目次
序論 新本格ミステリの衰退期になすべきこと
第1部 21世紀的生とミステリ(二一世紀探偵小説と分岐する世界;「変わってしまった世界」と二一世紀探偵神話―清涼院流水/舞城王太郎論;ビンボー・ミステリの現在形―「二一世紀的な貧困」のミステリ的表現を巡って)
第2部 形式性の追求とミステリ(推理小説の形式化のふたつの道;検索型ミステリの現在;21世紀本格2―二〇〇〇年代以降の島田荘司スクールに対する考察から)
第3部 ミステリ諸派の検討(「新本格」ガイドライン、あるいは現代ミステリの方程式;叙述トリック派を中心にみた現代ミステリの動向と変貌;終わりなき「日常の謎」―米澤穂信の空気を読む推理的ゾンビ;現代「伝奇ミステリ」論―『火刑法廷』から“刀城言耶”まで;「謎解きゲーム空間」と“マン=マシン的推理”―デジタルゲームにおける本格ミステリの試み)
結語―本論集の使用例
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風見鶏
1
卒論の参考資料。色々読んでいると衰退したって言わなきゃ評論も書けんのかと思ってしまう。ラノベが流行っていると言ってもラノベで新本格ができないわけではないと思うのですが。2014/12/18
arika
0
読もうとしたけどなんか難しいし題材となっているミステリの読書量も足りなくて、挫折。なので以下は笠井潔の論考のみさっくり読んだだけの感想。 大戦間理論が、概略はわかるものの細かい時代対応がよく分からない。この本で把握するには問題があるのかな……。 「本格ミステリ」を伝統芸能的に残していくことについての覚悟が、短歌などの例をあげて問われていたのは面白かった。
MKSzk
0
やはり同時代評論には無理があるなあという印象が拭えない。本格ミステリの潮流を語っているのにニアラノベ・ミステリ(『謎解きはディナーのあとで』や『ビブリア古書堂の事件手帖』など)の台頭が丸々抜けているのも良くないのでは。