内容説明
「己が出生の秘密を知りたくば、山口県鳴女村の灰王家を訪ねよ」という手紙をもらい鳴女村を訪ねた慶四郎は、すでに廃業した温泉旅館灰王館でもてなされる。そこで聞く十三年前に灰王家の座敷牢で起きたばらばら殺人事件。館の周囲をうろつく怪しい人影。それらの謎を調べていた友人は同じ座敷牢で殺され、焼失した蔵からは死体が消えていた。時を越え二つの事件が複雑に絡み合う。
著者等紹介
門前典之[モンゼンノリユキ]
2001年に『建築屍材』で第11回鮎川哲也賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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momi
57
13年前山口県の寒村で起きた前代未聞のバラバラ殺人事件!密室と化した座敷牢で起こった難事件の真相を暴くために現れた探偵能力が優れた親友…。ここ「灰王家」に呼ばれた「私」と「親友」の関係…。座敷牢での惨劇!隠された真相!無二の親友は何処に消えたのか!?…って…そ、そんなことが!!これはやりすぎミステリー?!それともバカミス!?顎が外れそうになる驚きはあったけど、ちょっと無理やりで強引…。でも結構楽しめた!!2017/12/14
あっ!chan
36
人里離れた旧旅館の座敷牢で起きた三つのバラバラ殺人事件、しかもその二つは密室の中で、さらに被害者の一人は謎を見事に解いた探偵さん、全体に流れる不気味さと共に本格ミステリの匂いだけど、物語の最大のポイント密室の謎がえっそれっか!更にもう一つのテーマ主人公と探偵さんの関係もありゃりゃ定石通り…確かに細部まで張り巡らせた(わかりやすい)伏線や二転三転する結末は面白いけど、やっぱりう〜ん…この強引なトリックは例の○○ミスと呼んでも良いのかしら?という読後感です。2020/09/12
ソルト佐藤
15
あいもかわらず非人情というか、人間を物としかみてないというか……。本格ミステリ的な割り切りで嫌いじゃないけれど(笑 トリックというか手稿はなんとなく分かるのけれど、これかなーと思った事を全部やるな! 牢屋の密室のトリック?とか、主人公と探偵とか……。加減をしろ(笑 ネタが読みやすいのはマイナスなのだけれど、もうこれはこれでいいのかもと思ってきた(笑 あと、蜘蛛手、いつでてくるのかなあ、いつ、あいつが、めっちゃ外道に謎をとくのかなあ? と、思ったら、出てこなかった。ノンシリーズもの。ある意味一番の驚愕(笑2022/09/26
ニャーテン
10
灰王家の登場人物が少ないせいか、旧家を舞台にした豪華な人間関係のドキドキ感に乏しくて中弛み。違和感ありありの伏線にも薄々感づいてしまって、若干萎えた気持ちで事件の真相へ。そんなこちらの油断を軽くあざ笑う、あっと驚く圧巻の畳みかけで目が冴える。「伏線一つ分かったくらいでいい気になるな」とお叱りを受けたような衝撃。こんなんありえないと思うより先に、その発想と組み立てに脱帽。母の涙々の苦悩と明日を信じて生きてきた人間の悲しい叫びが最終で胸を抉った。2018/05/06
たこやき
8
密室などにこだわり、エグい描写があり、(ある意味)ばかばかしい真相、という著者らしさは溢れている。密室のトリックも、悪くは無い。ただ、色々と露骨に伏線が張られていて、「こうだったら嫌だな」という真相に落ち着いたのが残念。しかも、その真相というのが、色々と著者に都合が良い設定になっているような……。らしさは感じるが、やや物足りなく感じた。2011/08/01