内容説明
近年、国内外機関投資家による議決権行使が活発化している。企業年金連合会は、2003年に「株主議決権行使基準」(2006年改訂)を、2006年に「企業買収防衛策に対する株主議決権行使基準」を策定し、2006年6月総会では、これらの基準に基づいた議決権行使を行っている。議案審査の結果によれば、会社提案に対し20%超の比率で反対の意思表示を行ったとされている。また、海外では、議決権行使アドバイザー大手のISSが2001年に東京事務所を開設し、約2,000銘柄について行使のレコメンデーションレポートを提供している。現在、米国においては8,000社あるといわれる機関投資家のうち、1,300社がISSの顧客であり、日本企業に対する議決権行使の6~8割に影響があると考えられる。本書は、ますます影響力を強めている国内外の機関投資家に対する実務を解説したものである。日常のIR活動から株主総会、さらにM&Aやアクティビストへの対応まで、幅広く説明している。
目次
第1章 国内機関投資家・海外機関投資家の概要
第2章 株主判明調査(国内・海外機関投資家の株主判明)
第3章 通常時のIR活動
第4章 ストーリーでわかるアクティビストとしての機関投資家への対応
第5章 株主総会における機関投資家への対応
第6章 有事(友好的・敵対的M&A)における機関投資家対応
著者等紹介
香田温子[コウダアツコ]
野村證券株式会社IBコンサルティング部課長。1990年一橋大学商学部卒、同年野村證券入社。一貫して投資銀行業務に従事。商法・証取法・税法などの改正に伴う新たなビジネスの開発を中心に、M&Aアドバイザリー業務、公開買付代理人業務、組織再編、コーポレート・ガバナンス、企業財務にも精通。数年前から、敵対的M&Aに対する防衛コンサルティングを立上げ、豊富な経験を有している。セミナーの講演等多数
斎藤誠[サイトウマコト]
中央三井信託銀行証券代行部法務グループ主席法務コンサルタント。1986年東京都立大学法学部法律学科卒。2003年早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了法学修士。1986年中央信託銀行入社。2000年中央三井信託銀行証券代行部法務室調査役、2001年証券代行部法務室担当課長を経て2003年より現職。2004年國學院大学法学部非常勤講師(有価証券法)(現任)。不動産鑑定士、証券アナリスト、東京株式懇話会研究部委員
松田千恵子[マツダチエコ]
ブーズ・アレン・アンド・ハミルトン株式会社エグゼクティブ・ディレクター/マトリックス株式会社代表取締役。東京外国語大学外国語学部卒、仏国立ポンゼ・ショセ国際経営大学院経営学修士。株式会社日本長期信用銀行にて国際審査、海外営業等を担当後、ムーディーズジャパン株式会社格付けアナリストを経て、株式会社コーポレイトディレクションにてパートナーを務め2006年に独立、マトリックス株式会社を設立して現在に至る。同時にブーズ・アレン・アンド・ハミルトン株式会社エグゼクティブ・ディレクターも務める。企業経営と資本市場の関係性に着目した戦略コンサルティングを行う。日本CFO協会主任研究委員。経済産業省産業構造審議会産業金融部会委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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