内容説明
流通論とは、「流通」のしくみを研究する学問である。残念なことに、この流通論がいくつかの事情のゆえに今日なお幼稚な水準にとどまっている。第1に、流通に実態そのものがまだよく知られていないため、研究の進めようがない。第2に、流通論という学問と隣接諸学問との境界が不鮮明であるため、隣接諸学問の研究が進んでいるなかで、結果的に、流通論だけはとり残されてきた。第3に、このことが最も重要な問題点だと指摘したいのだけれども、流通論固有の接近方法が確立するにいたっていなかった。以上のような問題状況が伏在するかぎり、流通論と呼ばれるにふさわしい論理体系が姿を見せるのはかなり先のことになりはしまいか。そこで本書は、いつの日か現われる流通論のために、これまでの研究努力の系譜を整理すると共に、新しい問題を提起することをねらって一つの試論を示すことにした。
目次
第1編 わが国の流通(流通機構の史的展開;日本経済と流通;わが国の流通機構)
第2編 流通機構の動態分析(流通機構のイノベーション;流通の究極目標;流通の操作的機構)