出版社内容情報
損益計算を本来必要としない非営利組織体にとって、複式簿記がどのように利用され、役立っているのか。公益法人や学校法人、医療法人など11の組織体を取り上げて検討する。
内容説明
本書では、下記の3つのステップで研究を行っている。(1)研究対象とする各非営利組織体における現行の会計基準が導入されるまでの経緯および導入の理由を把握して、簿記・会計に関する現状を整理する。(2)非営利組織体の簿記処理を特徴づける要因が、資金提供者からの使途制限のある資金か、あるいは維持すべき資金の簿記処理にあると考え、提供された資金の性格に応じた簿記処理の視点から、複式簿記の意義と役割を特徴づける作業を行う。(3)その他の論点として、業務類似性や、純資産の認識・測定、非営利組織体に適用される会計基準の共通化の可能性、情報提供の観点から簿記処理を行う理由を明らかにする。
目次
第1部 企業会計に近い形で出資額の維持を行うグループ
第2部 貸方項目だけで使途制限を表すグループ
第3部 借方項目・貸方項目の両者で使途制限を表すグループ
第4部 貸方項目だけで維持すべき金額を表すグループ
第5部 複式簿記の導入過程にあるグループ―あるべき処理(展望)―
第6部 非営利組織体における簿記研究の展開
著者等紹介
小野正芳[オノマサヨシ]
日本大学商学部教授。博士(経済学)千葉大学。1975年長崎県生まれ。2024年税理士試験委員。日本簿記学会簿記実務部会部会長(2018~2021年)を通じて簿記実務の側面から簿記の機能を研究するとともに、日本簿記学会簿記教育部会(2008年~2010年)をきっかけに設立された簿記教育研究会にて、よりよい簿記教育についての研究を進める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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