内容説明
近代の企業会計では、会計公準の一つとして継続企業の公準が措定されている。たとえ存続が危ぶまれる企業であっても、事実として清算の状態に至っていない限り、財務諸表は、継続企業を前提として記録された会計帳簿から誘導的に作成される。そのため、財務諸表の適正性について無限定適正意見が表現された企業でも、意見表明後短期間のうちに倒産することがある。こうした企業存続のリスクや不確実性を巡る問題が「ゴーイング・コンサーン問題」である。本書は、歴史的考察(第1章~第2章)、理論的考察(第3章~第7章)、制度分析(第8章~第12章)から構成され、ゴーイング・コンサーン問題を、財務諸表監査の視点から体系的かつ包括的に考察することを主眼としている。
目次
ゴーイング・コンサーン問題の史的考察(ゴーイング・コンサーン問題の胎動;条件付限定意見論争と早期警告システムの導入)
未確定事項の監査問題―カーマイケルの研究
未確定事項の本質とゴーイング・コンサーン問題
企業存続能力に関するリスク情報の開示と監査
企業存続能力に関する経営者の主張と監査目的
継続企業の前提の妥当性―ボリッツの研究
アメリカにおけるゴーイング・コンサーン問題への制度対応
アメリカにおけるゴーイング・コンサーン問題の実態分析
わが国におけるゴーイング・コンサーン問題への制度対応
ゴーイング・コンサーン問題に関する特記事項の実態分析
継続企業の前提に関する注記および追記情報の実態分析
著者等紹介
林隆敏[ハヤシタカトシ]
1966年10月愛媛県生まれ。1989年3月関西学院大学商学部卒業。1991年3月関西学院大学大学院商学研究科博士課程前期課程修了。1994年3月関西学院大学大学院商学研究科博士課程後期課程単位取得満期退学。1994年4月甲子園大学経営情報学部専任講師。1999年4月関西学院大学商学部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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