内容説明
公的年金がスリム化に向かうのに伴い、企業年金の社会的役割はますます高まってきている。しかし、その企業年金は、運用環境の低迷により多額の利差損を発生し、その償却負担は企業の重荷となっている。また新退職給付会計の実施で未積立債務の存在が顕在化し、人事・労務面だけでなく、企業の根幹に係る大きな経営課題となっている。キャッシュ・バランス・プランは、経済実態に応じた制度設計によって退職給付債務・費用および年金財政運営の安定化を図ることができ、個人の企業間転籍にも柔軟に対応できる特徴を有する。本書は、最新の取扱基準をふまえ、給付設計や財政運営、資産運用のあり方など、実務的な観点からわかりやすく解説を行うものである。
目次
第1章 キャッシュ・バランス・プラン導入の意義
第2章 確定給付型制度と確定拠出型制度
第3章 米国のハイブリッド(混合)型年金制度
第4章 日本におけるキャッシュ・バランス・プラン
第5章 キャッシュ・バランス・プランの給付設計
第6章 キャッシュ・バランス・プランの財政運営
第7章 キャッシュ・バランス・プランの退職給付債務計算
第8章 キャッシュ・バランス・プランにおける資産運用のあり方
第9章 将来シミュレーションによるキャッシュ・バランス・プランの特性分析
第10章 キャッシュ・バランス・プランの導入事例
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Masamichi Hosoyama
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CBプランの制度概要、日米でのその経緯、実際の制度設計、財政運営、会計処理、資産運用などでのエッセンス、シミュレーションによる感応度分析や導入事例などを概説。先に読んだ類書との比較で言えば、米国での混合型や経緯を詳述している点、制度設計や財政運用など項目立てて丁寧に説明されているので、どちらかというと初心者向けでしょうか。何種類も利率が出てきて、その相互関係がキモなので、この構成は読みやすい。ただ、こちらも法改正などフォローしてないので、早期の改定を切望します。 2015/06/03