出版社内容情報
宮崎駿監督が描いた、航空技師・堀越二郎と作家・堀辰雄との
架空の出会いが紡ぎ出す物語がついに単行本化!
模型情報誌・月刊『モデルグラフィックス』誌上で2009年から
2010年にかけて連載された全九話45頁を収録。
連載当時の関連記事はもちろんのこと、
姉妹誌『スケールアヴィエーション』掲載記事も併録し、
『風立ちぬ』の世界へと誘います。
本書だけでしか読めないコラムも楽しみのひとつです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ムッネニーク
88
85冊目『風立ちぬ 宮崎駿の妄想カムバック』(宮崎駿 著、2015年11月、大日本絵画)映画『風立ちぬ』(2013)の原作漫画と、インタビューやイラストなどが掲載。さらに編集者による作品に関連するトピックなどが並ぶ雑誌のような一冊。 とにかくマニアックな内容であり、昭和初期の航空機事情に明るくないと半分も理解できないだろう。自分も全くついていけなかった。漫画はオールカラー。とにかく情報量が多く非常に読みづらい。良くも悪くも、漫画家の描く漫画とはまるで違う。「どうだったね 君の10年は? 力を尽したかね」2021/10/12
ねこさん
41
堀越さんは玄関の外で帽子のほこりを払い、コートも払ってから家に上がる、そういう生涯を送った人、本当にきちんとした人だと言う。理不尽にあらがい、欲するものを実現しようと意志する生もある。また、理不尽さを受容しながら事を為し死へと向かう態度もまた、人の成熟としてある。人の中にそれらは混在している。『風立ちぬ』は、そういうきちんとした人、見えない厳しさ、自律に裏打ちされた人の優しさの話でもあるし、沈頭鋲は何かそれを象徴するような気がしてならない。ほこりは、理不尽さでもある。零戦がなんとかかんとか、それも矛盾だ。2020/05/02
akihiko810/アカウント移行中
35
宮崎駿のアニメ映画「風立ちぬ」の原作漫画。印象度A 戦闘機「九試単座戦闘機」を作る三菱の技術者・堀越二郎の半生が、堀辰雄の小説「風立ちぬ」の世界の中に置かれて語られる。 実在した人物の半生(と、堀越次郎に重ねた宮崎自身の半生)を、小説世界とごちゃまぜにして語る、という大胆かつ無茶苦茶な「妄想」を、作品として成立させてしまうのは、さすが宮崎駿の天才たるところか。 戦闘機や爆撃機や、細かく描き込みがされていて、さすがの戦闘機マニア。私のように戦闘機に詳しくなくても、作者が楽しんで描いてることはよくわかる2023/11/24
daiyuuki
28
生きるのに困難な時代のなかで、「美しい飛行機を作りたい」という、少年時代からの夢を追った堀越二郎の物語を、薄幸の美少女・菜穂子とのせつない恋をおりまぜながら描く、宮崎駿監督の最新作を漫画化。映画版より、軍部や会社とのしがらみや材料や設計に苦労したこと、菜穂子さんのキャラクターも単に薄幸の美少女だけでなく恋人が飛行機の話ばかりでつまらないと愚痴りながらも恋人が作り出す飛行機を支えに生きるリアリティのあるヒロインになっているのが、丁寧に描かれています。映画に感動した人にも楽しめる原作漫画です。2015/10/12
くさてる
26
モデルグラフィックス連載の宮崎駿の漫画はいつも濃くて楽しそうで大好きです。映画「風立ちぬ」の原作にあたるのかな?でも関係なく楽しめる、というか宮崎駿の中にあるイマジネーションに耽溺しました。あと、色遣いがほんとに素晴らしい。良かったです。2024/01/06