出版社内容情報
《内容》 本書はコメディカルの方々にとって必要にして十分な医学についての知識を分かり易く簡潔に解説した入門書である.医学とは何か、その歴史と現況についてから人体の構造と機能,主要症状とその原因,主な疾患の解説とその対応法,医療に関わる各種制度・法律,保健医療対策,疾病状況,医療従事者,介護保険等についてを図や表を盛り込んで平易に述べている.医療系の仕事に進もうとされる方々にとって必須のテキストである.監修にあたって 埼玉県立大学は保健医療福祉学部として,この分野の重要な構成員である,看護・理学療法・作業療法および社会福祉士(精神保健福祉士PSWを含む)を総合的に教育する役目をもって,1999年4月1日にスタートしたばかりの新しい大学です. この大学のキャッチフレーズは2つあります. 1)あたたかい心と確かな技術 ・心だけで技術がなければ役に立たない ・心のこもらない技術はロボットになってしまう 2)連携と統合 ・医療は複雑なシステムの中で多様な職種によって成り立っている このような理念に基づいた教育プログラムを効果的に進めるために,様々な形で智恵を出しています.その中で,重要な役割を果たすのは教材です. 北村 諭教授はこれらコメディカルの学生教育のテキストとして「これだけで十分 コメディカルの医学概論」を上梓されるところとなりました.限られた時間の中で学生が学ぶ上で必要にして十分な内容を整理,とりまとめておられます.今日,コメディカル スタッフの教育が社会的にも重要視されて,多くの大学が発足しています.このテキストが多くの教育の現場で活用され,さらには将来の発展の基礎とされることを願うものであります. 2001年3月 埼玉県立大学学長 北川定謙序 様々なドラマが演じられた20世紀も終わり,人類はいよいよ21世紀を迎えました.これからの日本の医療は一体どうなるのでしょうか? 高齢者医療の問題,国民医療費の問題,介護保険制度など,まだまだ解決すべき多くの課題が山積しています. 振り返ってみると,20世紀は,医師中心の医療でした.しかし,高齢化社会に突入したわが国の21世紀の医療は,医師,看護婦(士),理学療法士,作業療法士,社会福祉士,管理栄養士などによる協同作業になるものと思われます. 従来,医師以外の医療従事者はパラメディカルと呼ばれていました.パラとは側面,補助といった意味であり,パラメディカルとは医師の仕事を補助する職業であると考えられていました.しかし,これからの医療は,医師のみでは絶対に不可能であります.看護婦(士),理学療法士,作業療法士,社会福祉士などとの密接な協力が必要不可欠であるといっても過言ではありません.したがって,今日ではパラメディカルの代わりに,医療協同従事者という意味で,コメディカルという呼称が用いられるようになりました. コメディカルの理学療法士,作業療法士,社会福祉士は,医療の協同従事者という立場にある以上,可能な限り幅広い医学知識を持つ必要があり,また持つことが要求されます.このような医学知識をメディカル コモンセンスと言います. 本書は,コメディカルのための医学概論,一般臨床医学のテキストであり,コメディカルに必要とされるメディカル コモンセンスをわかりやすく解説したものであります. 本書が,コメディカルの方々,コメディカルを目指す学生の皆さんの座右の書としてお役に立つものと確信する次第であります. 2001年3月 北村 諭 《目次》 目 次第1章 医学の定義とその使命 1 1.医学とは何か 1 2.医学の使命 3第2章 医学の歴史 5 1.近代医学への道程 5 2.20世紀の医学 7第3章 近代医学の発展と医の倫理 10 1.ヘルシンキ宣言とインフォームド コンセント 10 2.脳死判定と尊厳死 11第4章 人体の構造と機能 14 1.人体の構成 14 2.細胞は臓器の基本ユニットである 16 3.骨・筋肉 17 4.血液 17 5.循環器系 19 6.呼吸器系 23 7.消化器系 27 8.泌尿器系 31 9.内分泌系とホルモン 33 10.神経系 36 11.生殖器系 40 12.皮膚 42 13.感覚器 43第5章 臨床医学総論 主要症状からその原因を探る 45 1.発熱 45 2.ショック 46 3.浮腫(むくみ) 47 4.悪心・嘔吐 48 5.下痢 49 6.便秘 49 7.腹痛 50 8.食欲不振 52 9.呼吸困難 52 10.胸痛 53 11.頭痛 55 12.めまい(眩暈) 55 13.運動麻痺 56 14.不随意運動 56 15.排尿異常 57 16.咳 57 17.喀血・血痰 58 18.吐血 59 19.動悸 59第6章 臨床医学各論 主要な疾患とその対応 61 1.国際疾病分類 61 2.呼吸器疾患 63 3.循環器疾患 66 4.消化器疾患 68 5.代謝・内分泌疾患 71 6.腎臓・泌尿器疾患 73 7.血液・造血器疾患 75 8.神経・筋疾患 77 9.精神疾患 80 10.アレルギー性疾患 82 11.膠原病・その他の全身疾患 84 12.感染症 86 13.中毒性疾患 89 14.運動器疾患 90 15.皮膚疾患 93 16.婦人科・妊産婦疾患 96 17.小児疾患 101 18.眼疾患 105 19.耳鼻咽喉疾患 108第7章 人口統計と疾病の変化 112 1.人口静態--人工の規模と構成 112 2.世界の人口 112 3.人工動態--保健水準の指標 113第8章 健康状態と受療状況 121 1.健康状態 121 2.受療状況 124第9章 医療保障制度 127 1.社会保障制度と医療保障 127 2.医療保険 128 3.老人医療 128 4.介護保険制度 129 5.国民医療費 129第10章 医療関係の職種と現状 131 1.医師 131 2.歯科医師 131 3.薬剤師 132 4.保健婦(士) 132 5.助産婦 132 6.看護婦(士)・准看護婦(士) 133 7.歯科衛生士・歯科技工士 133 8.理学療法士 133 9.作業療法士 133 10.社会福祉士 134 11.介護福祉士 134第11章 医療施設の種類と現状 135 1.病院・診療所・病床 135 2.療養型病床群 136 3.老人病院・老人病床 137 4.病院の従事者 137第12章 保健医療対策 138 1.母子保健対策 138 2.老人保健対策 139 3.精神保健対策 140 4.精神障害者福祉および社会復帰対策 140 5.歯科保健対策 141 6.感染症対策 141 7.エイズ(AIDS)対策 146 8.結核対策 148 9.難病対策 149 10.腎不全対策 151 11.角膜移植対策 152 12.脳死患者からの臓器移植 152 13.骨髄移植対策 154第13章 医師法・薬事法・衛生法規 155 1.医事法規 155 2.薬事法規 162 3.保健衛生法規 163 4.環境衛生法規 164 5.公害関係法規 164索引 165