アトピー性皮膚炎とステロイド外用療法

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アトピー性皮膚炎とステロイド外用療法

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  • サイズ B6判/ページ数 159p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784498063105
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 アトピー性皮膚炎は治り難いアレルギー性の皮膚疾患として近年益々頻度が増えてきているが,この疾患ほどその概念から治療まで,様々に誤解されている疾患も少ない.本書はこの疾患の成因・遺伝・病態などの基礎的医学についての正しい理解をはかり,次いで今日行うべき診断・治療の実際を,著者らのデータ・経験に基づいて解説したものである.特に治療についてはステロイド外用療法にしぼって必要とされる知識,使い方のコツ副作用泰作などにわたりきめ細かに述べた.本疾患についての新しい視点と,自信をもって診療に当たることのできる知識を与える臨床書である. 序  皮膚は,生体の内と外を境する臓器である.外界からのさまざまな刺激や侵襲を生体が監視,認識し,いろいろな防衛手段を行使する反応の場でもある.アトピー性皮膚炎は,この反応の力学のバランスがくずれてしまった状態といえるかもしれない.アトピー性皮膚炎の発症や病勢は遺伝的な要因,外界のさまざまな環境要因,生体の反応の様式,生体の精神的・生理的状態などによって影響される.アトピー性皮膚炎が多因子的疾患であるといわれるゆえんである.  近年増加傾向にある本疾患は,成人例の増加もあいまって社会的に強い関心を集めている疾患の1つである.このような機に,ステロイド外用療法を含めたアトピー性皮膚炎の専門書を発刊してはどうかとの企画をいただき,「アトピー性皮膚炎とステロイド外用療法」と題した本書を上梓する運びとなった.  本書は,はじめにアトピー性皮膚炎の歴史・疫学・遺伝・病態解析の変遷を多くの文献を引用しながら解説し,ついでその診断,臨床所見や検査法,鑑別診断について詳述した.最後にステロイド外用剤に対する基本的な知識と外用療法の実際,そしてその副作用についてまとめた.本書が,アトピー性皮膚炎のよりよい理解のためにいくらかでも貢献するとすれば著者らの幸いとするところである.  末尾ながら,本書の制作にあたり絶大なる御協力を賜った中外医学社の荻野邦義氏に深謝申し上げる.      1998年4月      著者一同     《目次》 目 次 第1章 アトピー性皮膚炎とは〈古江増隆〉 I. 歴 史……2  A. アトピー性皮膚炎の歴史……2  B. アトピー性白内障の歴史……6 II. 疫 学……9  A. アトピー性皮膚炎の頻度……9   1.皮膚科外来患者における頻度……9   2.年齢別人口に占める頻度……11   3.アトピー性皮膚炎の頻度と地域差……15  B. アトピー性皮膚炎の予後……15 III. 遺 伝……20  A. アトピー性皮膚炎と気道アレルギーおよび家族歴……20  B. アトピー性皮膚炎の遺伝……21  C. アトピー性皮膚炎の遺伝とHLA……23  D. アトピー疾患遺伝子とI型IgEFcレセプター(FcεRI)……24  E. アトピー疾患遺伝子とβ―adrenergic theory……25  F. その他のアトピー疾患遺伝子……26 IV. 病態解析の流れ……28  A. 免疫アレルギー的病態解析……29   1.IgE値と好酸球数値……29   2.IgE産生調節とTh1・Th2細胞……32   3.AD患者の末梢血におけるTh2様細胞……34   4.AD皮膚病変部におけるTh2様細胞……36   5.サイトカインの異常から推定されるアトピー性皮膚炎の臨床的特徴……38   6.T細胞の浸潤とcutaneous lymphocyte antigen……38   7.抗原提示細胞……40   8.Th1・Th2細胞の分化とサイトカイン……41  B. cAMP―phosphodiesterase活性の解析……43  C. ロイコトリエンなどの化学伝達物質の解析……44   1.ロイコトリエン……44   2.ロイコトリエンと皮膚……45   3.ロイコトリエンとアトピー性皮膚炎……46  D. 皮表脂質・角層間脂質の解析……49  E. 血管・神経・マトリックス反応の異常の解析……51  F. 痒みの解析……53 第2章 診断の進め方〈中川秀己〉 I. 診断基準……80 II. 臨床所見……84 III. 検査の実際……88  A. 検査にあたって……88  B. 血液検査……88   1.好酸球数,血清ECP値……88   2.LDH値……89   3.血清中ECP量測定……89   4.血清総IgE値とアレルゲン特異的IgE抗体検査……90  C. 皮膚反応検査(即時型皮膚反応)……92   1.プリック(スクラッチ)試験……92   2.皮内反応……93   3.パッチ(貼付)試験……93  D. 食物除去・負荷試験……95  E. 最後に……95 IV. 合併症……96  A. 感染症……96   1.細菌感染症……96   2.ウイルス感染症など……96  B. 眼の合併症……97  C. その他の合併症……98 V. 類縁疾患と鑑別疾患……99   1.Wiscott―Aldrich症候群……99   2.Job症候群……99   3.高IgE症候群……100   4.接触皮膚炎……100   5.脂漏性皮膚炎……100   6.単純性痒疹……101   7.汗 疹……101   8.疥 癬……101   9.魚鱗癬……101   10.皮脂欠乏性湿疹……101 第3章 ステロイド外用療法〈玉置邦彦〉 I. ステロイド外用薬……106  A. 治療にあたって……106  B. ステロイド外用薬の歴史……107  C. ステロイド外用薬の構造と有効性……108  D. ステロイド外用薬の活性の測定……109  E. 基剤の工夫……110  F. 経皮吸収……111   1.skin reservoir……112   2.身体の部位による吸収の差……113   3.年齢による違い……113  G. ステロイド外用薬の強さの違い……114  H. ステロイド外用薬の剤型……115   1.軟 膏……115   2.クリーム……115   3.ローション……116   4.スプレイ……116   5.テープ剤……116  I. ステロイド外用薬の外用方法……117   1.単純塗擦法……117   2.重層法……117   3.ODT法……117  J. ステロイド外用薬使用に際しての一般的原則……118  K. ステロイド外用薬による副作用……119   1.全身的副作用……119   2.局所の副作用……119  L. antedrug……120  M. テロイド外用薬による接触皮膚炎……122 II. 実際のステロイド外用薬の使い方……129  A. ステロイド外用薬の臨床効果によるランク付けとその利用方法……129   1.単純塗擦の場合……130   2.ODTが必要な場合……131   3.重層が必要の場合……132  B. 外用部位によって異なった剤型のものを選択する……133   1.軟 膏……133   2.クリーム……133   3.ローション……133   4.スプレイ・ゾル・ゲル……134  C. 部位によって異なったランクのステロイド外用薬を選択する……134   1.被髪頭部・顔面に同程度の皮疹のある場合……134   2.腹部・陰部・大腿部に同程度の皮疹がみられる場合……135   3.手掌・手背・陰部に同程度発疹のみられた場合……136  D. 年齢によるステロイド外用薬の強さのランクを考慮した薬剤の選択……136  E. ステロイド外用薬の使用回数と使用量―とくに全身的副作用との関連について……137 III. アトピー性皮膚炎とステロイド外用薬……138  A. 皮膚症状について……138  B. 眼症状について……140 IV. アトピー性皮膚炎患者でのステロイド外用薬の使い方……146  A. 乳児期……146  B. 幼児期・小児期……148  C. 思春期・成人期……150 索 引……155