出版社内容情報
《内容》 各種の腹腔鏡下手術の現場で遭遇すると思われる種種のトラブルや疑問点、盲点について、その第一人者が自身が培ったノウハウをもとにQ&A形式で解説した実践書。
《目次》
目次
■A.食道
1.食道裂孔ヘルニアと逆流性食道炎に対する手術―その1 〔小澤壯治〕 1
Q1.迷走神経肝枝がわからない.どうしよう!
Q10.ラップの縦隔内への脱出が起こりやすい.どうしよう!
1.食道裂孔ヘルニアと逆流性食道炎に対する手術―その2 〔井谷史嗣〕 4
Q1.Nissen噴門形成術でブジーを挿入する時に食道穿孔を起こしそうで心配だ.何に気をつければいいのだろう?
Q2.Nissen噴門形成術の際に捻れのないfundoplicationを行うコツは?
2.食道アカラシアに対する手術 〔柏木秀幸〕 6
Q1.術前に嚥下困難以外に胸痛の症状があったが,手術により消失するかどうかを聞かれた.どうしよう!
Q4.手術後も嚥下困難が持続し,食物の嘔吐もみられる.どうしよう!
●ドキリとした場面の解決体験 (1) 〔柏木秀幸〕 9
3.食道癌に対する手術 〔村上雅彦・加藤貴史・大塚耕司〕 10
Q1.肋間が狭くてポート挿入が困難である.どうしよう!
Q14.細い動脈枝から出血したが,どうしようか?
■B.胃・十二指腸
1.胃局所切除術(lesion-lifting法) 〔大谷吉秀〕 15
Q1.病変が幽門近くで,切除後の狭窄が心配な位置関係だ.どうしよう!
Q6.Endostaplerで切離後,粘膜面から出血がある.どうしよう!
2.胃内手術 〔谷口英治・大橋秀一〕 18
Q1.胃内手術をやりたいがうまくトロカーを留置する方法がわからない.前に試みた時には失敗して開腹手術になってしまった.どうしたらうまくセットアップできるのだ?
Q7.粘膜下層浸潤が疑われるのに,事情があってどうしても局所切除をしなければならない.Lesion-liftingのやりにくい噴門近傍の病変である.どうしよう!
3.開腹下腹腔鏡下胃内手術 〔加納宣康〕 23
Q1.どんな時に適応となるの?
Q3.3本のトロカーの真ん中のものに腹腔鏡を挿入したが,視野がもうひとつよくない.どうしよう!
●ドキリとした場面の解決体験 (2) 〔加納宣康〕 23
4.腹腔鏡補助下幽門側胃切除術 〔白石憲男・太田正之・北野正剛〕 25
Q1.早期胃癌の病変が胃体上部の位置にある.術式をどうしよう!
Q12.小さな創から器械吻合をしようとしたため,胃が裂けてしまった.どうしよう!
5.腹腔鏡補助下噴門側胃切除および胃全摘術 〔宇山一朗〕 30
Q1.食道の切離端が縦隔方向へ引き込まれた形になって,操作が困難になってしまった.どうしよう!
Q2.アンビルヘッドを固定した食道が裂けてきた.どうしよう!
6.消化性潰瘍穿孔に対する腹腔鏡下手術 〔北野光秀〕 35
Q1.腹腔鏡でみたが,汚染が高度である.どうしよう!
Q6.広範な汚染を洗浄したが,ドレーンはどういうふうにおくか.
7.迷走神経切離術 〔柏木秀幸〕 38
Q1.胃枝と幽門洞枝を損傷してしまった.どうしよう!
Q4.十二指腸潰瘍の瘢痕狭窄を合併している.腹腔鏡下にFinney幽門形成術をやるにもこの症例では自信がない.どうしよう!
8.GISTに対する腹腔鏡下手術 〔大谷吉秀〕 43
Q1.局所切除で充分と思ってendostaplerで切ったが,一部潰瘍が崩れてしまった.断端は腫瘍でないが,どうしよう!
Q3.腹腔鏡観察で腫瘍が見つからない.どうしよう!
●ドキリとした場面の解決体験 (3) 〔大谷吉秀〕 43
■C.大腸
1.右側結腸切除術 〔國場幸均・渡邊昌彦〕 44
Q1.重力を利用し腸管を移動させ術野を作れというが,どのような体位がよいのか? 安全な固定法はどうすればよいか?
Q8.腸管が小切開創より充分出てこない.どうしよう!
2.左側結腸・S状結腸切除術 〔奥田準二・谷川允彦〕 50
Q1.婦人科疾患で開腹手術既往があり,下腹部正中創瘢痕を認め,癒着のために臍部からポートが入れられない.どうしよう!
Q14.口側腸管のアンヴィルをうまく肛門側腸管のセンターロッドにはめられない.どうしよう!
●ドキリとした場面の解決体験 (4) 〔奥田準二・谷川允彦〕 58
3.直腸切除術 〔宗像康博〕 59
Q1.剥離層がうまく同定できない.何を目安にしたらいいのだ?
Q11.DSTで吻合したら,帰室してから大量に下血した.どうしよう!
4.経肛門的内視鏡下手術(TEM/TES) 〔金平永二〕 62
Q1.肛門にTEMの筒が入らない.どうしよう!
Q7.切除範囲が大きくなって縫合閉鎖が難しい.どうしよう!
5.虫垂切除術 〔吉川征一郎・福永正氣〕 66
Q1.手術適応の急性虫垂炎と診断したが,妊娠20週の母体だった.どうしよう!
Q14.腹腔鏡下虫垂切除術を行い,特に問題なかったはずなのに,術後発熱が続いている.どうしよう!
6.直腸脱に対する腹腔鏡下手術 〔宮島伸宜・須田直史〕 74
Q1.腸管が長くてうまく視野を展開できない.どうしよう!
Q7.直腸周囲の脂肪が多くて重そうで,メッシュ固定では重量に耐えられるか不安である.どうしよう!
●ドキリとした場面の解決体験 (5) 〔宮島伸宜・須田直史〕 78
■D.急性腹症
1.イレウス解除術 〔山田成寿・加納宣康〕 79
Q1.腹腔鏡下手術を施行しようと思うが,高度癒着が予想される.困ったなー.First portをどこにしたらいいのだ?
Q8.小開腹して病変を処理したが,他に責任病変が残っていないか心配だ.どうしよう!
2.腹膜炎に対する腹腔鏡下手術 〔草薙 洋・加納宣康〕 85
Q1.腹腔内をみたところ,全体に汚染が強い.洗浄して責任部位を探したいが,汚染が強くて洗浄が大変そう.効果的な洗浄法はあるのか?
Q3.小腸穿孔で腸切除を要すると思われる.このまま腹腔内操作のみでいくか,補助下にするか?
■E.胆道
1.胆嚢摘出術―その1 〔加納宣康〕 86
Q1.胃切除後症例で,臍下部よりopen techniqueでHasson cannulaを入れようとしたが,同部に癒着があって挿入できない.どうしよう!
Q8.胆嚢がねじれた状態で剥離している間に胆嚢管が切れてしまった.どうしよう!
●ドキリとした場面の解決体験 (6) 〔高木純人・金子弘真〕 89
1.胆嚢摘出術―その2 〔中川国利〕 91
Q1.胃切除後症例で,臍下部よりopen techniqueでHasson cannuleを入れようとしたが,同部に癒着があって挿入できない.どうしよう!
Q11.胆嚢動脈から出血した.どうしよう!
2.総胆管結石症手術―1.総胆管切開術 〔長谷川 洋〕 96
Q1.総胆管切開の際にはトロカーを追加した方がよいのだろうか? またトロカーのサイズはどうしたらいいのだろう?
Q15.手術は終了したが縫合などにやや不安がある.ドレナージをしっかり効かせたいが,どういった種類のドレーンをどの位置に置いたらよいのだろう?
2.総胆管結石症手術―2.経胆嚢管的総胆管切石術 〔山下裕一〕 101
Q1.この胆管結石は経胆嚢管的総胆管切石術の適応なの?
Q9.C-チューブの抜去時期はいつ?
■F.膵臓
1.膵腫瘍核出術 〔井上典夫・小山善久・竹之下誠一〕 104
Q1.インスリノーマで周囲組織をつけて核出術の予定であったが腫瘤がむき出しになってしまった.どうしよう!
Q3.核出していったら深部より思わぬ出血を来たした.どうしよう!
2.膵体尾部切除術 〔草薙 洋・加納宣康〕 109
Q1.体尾部を脾も含めて授動できたので,endostaplerで膵を切離したいが,脾動静脈も一緒に切ってしまってよいのだろうか? 脾動静脈を別々に分離して結紮切離する技量に自信がないのだが.
Q5.切除は終わったが,標本をいちばん小さな創で取り出すにはどの方法がよいのだろう? 破砕はしたくないな.
3.鏡視下膵仮性嚢胞胃開窓術 〔森 俊幸・杉山政則・跡見 裕〕 111
Q1.とりあえず嚢胞穿刺したが,鏡視下膵仮性嚢胞胃開窓術の適応はどうするか?
Q11.仮性嚢胞が再発した.どうしよう!
■G.肝臓
1.肝腫瘍に対するablation 〔高見裕子・才津秀樹・朔 元則〕 116
Q1.ablationで発生した熱はそのまま放置しても大丈夫?
Q6.ablationの方法としてマイクロ波とラジオ波,はたしてどちらがいいの?
2.肝切除術 〔金子弘真・高木純人〕 120
Q1.本邦では肝切除は気腹下に行うべきではないとする報告が多いが,海外では気腹下に行っている報告も珍しくない.いったいどこまでがいけないのだろうか?
Q3.以前はマイクロ波で切離予定線を凝固してから切っていく方法が多く発表されていたが,現在では超音波凝固切開装置などをうまく使えばその必要はないということか?
3.肝嚢胞に対する手術 〔山崎 元〕 125
Q1.肝葉全体を占めるような巨大肝嚢胞が見つかった.どうしよう!
Q9.術後のfollow upのCTで嚢胞切除部にfluid collectionがある.どうしよう!
■H.脾臓
1.脾臓摘出術 〔津川康治・橋爪 誠〕 129
Q1.大きな脾臓を受動していく時,圧排しているうちに出血を来たさないかと心配だ.うまい圧排方法は何か?
Q9.巨脾例での後腹膜剥離操作時に出血が多くなる! どうしよう!
●ドキリとした場面の解決体験 (7) 〔津川康治・橋爪 誠〕 134
■I.副腎
1.右副腎摘出術 〔黒川良望〕 135
Q1.副腎が肝と強く固着している例ではどうやってはがすのだろう?
Q4.脂肪が多くて副腎がなかなか見つからない例では,どんなコツがあるのか?
●ドキリとした場面の解決体験 (8) 〔黒川良望〕 138
2.左副腎摘出術 〔今井常夫・柴田有宏・中尾昭公〕 139
Q1.いざ手術を開始するにあたって,どこにトロカーを挿入するのがいいかわからない.何を目安にすればいいのか?
Q4.副腎中心静脈がうまく出せない.褐色細胞腫で副腎中心静脈を最初に剥離しようと腫瘍を少し圧排すると血圧変動が激しい.どうしよう!
■J.鼠径ヘルニア手術
1.TAPP 〔松本純夫〕 144
Q1.ヘルニア嚢を切除した後の腹膜が,操作中に損傷されて(ボロボロになってしまって),通常のヘルニアステイプラーではうまく閉じられない.どうしよう!
Q3.大きなヘルニアをTAPPで手術したら陰嚢にまで漿液がたまってしまった.どうしよう!
2.TEPP 〔池田正仁〕 146
Q1.腹膜外腔をバルーンで拡張してから,バルーンを抜去したら,その創より血液が吹き出してきた.すわ!大出血? どうしよう!
Q10.メッシュが腹腔鏡用トロカーから腹膜外腔へ入らない.無理に押すと血管を損傷しそうで恐い.どうしよう!
●ドキリとした場面の解決体験 (9) 〔池田正仁〕 151
■K.腹壁
1.腹壁瘢痕ヘルニアに対する腹腔鏡下手術 〔井谷史嗣〕 152
Q1.補強材料の選定はどうしているのか?
Q13.タッカーでメッシュを固定していたら,手前(トロカー側)のメッシュがずれて腹壁とのオーバーラップが不充分になりそうだ.どうしよう!
索引 159
内容説明
腹腔鏡下手術の際の「こんな時にどうする」にQ&A方式で答えた手術書。
目次
A 食道
B 胃・十二指腸
C 大腸
D 急性腹症
E 胆道
F 膵臓
G 肝臓
H 脾臓
I 副腎
J 鼠径ヘルニア手術
K 腹壁
著者等紹介
加納宣康[カノウノブヤス]
亀田総合病院特命院長補佐・主任外科部長・内視鏡下手術センター長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。