Helicobacter pylori感染症

Helicobacter pylori感染症

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 238p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784498040724
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 序  Helicobacter pyloriが新しく医学細菌学のなかに登場してから10年間余が過ぎた.この間に,わが国も含め,欧米諸国の本菌に関する研究はめざましく発展し,胃炎,消化性潰瘍の治療,さらに胃癌に関する研究を行うには, H. pyloriを論じなければその本質は問えないほどになっている.H. pyloriに関する研究論文も学会雑誌,国際的な医学雑誌には毎号目にとまる.  わが国では,過去7年間にわたりInternational Symposium on Helicobacter pylori and its disease(会長:竹本忠良 日本消化器病学会理事長)が開催され,大きくH. pylori研究の発展に寄与してきた.本年からはその機構を改革し,The Japanese Research Society for Helicobacter pylori Related Gastroduodenal Diseaseとして第一回研究会(会長:木村健教授)が4月に行われ,さらに日本消化器病学会,日本細菌学会,日本感染症学会および日本化学療法学会などでも活発に研究成果が発表されている.  海外でも,消化器病学,微生物学関係の国際学会ではH. pyloriをメインテーマとした討論がなされ,ヨーロッパでは毎年European Helicobacter pylori Study GroupによるInternational Workshopが開催され,第8回Workshopが本年7月にエジンバラにて3日間にわたって開催された.  このように,日々進歩しているH. pyloriに関する知見を,われわれが理解するにはあまりにも膨大すぎるものである.そこで,下山孝教授(兵庫医科大学第四内科),木村健教授(自治医科大学消化器内科)にご相談の上,一般の臨床医に H. pyloriの今日における臨床的意義を理解していただくために,第一線で活躍されている若手の研究者による「ヘリコバクター・ピロリ感染セミナー1994」を昨年10月に九州地区で開催した.編者がこのセミナーの纏め役を務めたのを機会に,その時の講演内容にその後の知見もとりいれ,さらに専門の先生にもご参加をいただき一冊の本に纏めたものが本書である.  本書が,日常の診療に携わる一般の臨床医,さらに検査技師およびその他の医療従事者の方々に広く参考になれば望外の喜びとするところである. 1995年10月 編者    《目次》 目次 I.臨床細菌学 1.Helicobacter pylori感染症とは 〈那須勝〉2 A.Helicobacter pyloriの発見と経緯 2 B.今,何故Helicobacter pyloriは注目されるのか 3 C.Helicobacter pyloriの細菌学的特徴と感染病態 5 D.治療と予防 7 2.Helicobacter pyloriの分類学 〈坂崎利一〉10 A.歴史 10 B.Helicobacterの分類学 11 C.Helicobacter属の定義 12 D.Helicobacter属の菌種 13 E.H. pyloriの症状 14 3.Helicobacter pyloriの分離・培養・同定の実際 〈伊藤彰,平松和史,那須勝〉21 A.分離培養法 22 1.検体採取法 22 2.培養法 22 3.直接鏡検 25 4.同定 28 B.分子生物学的診断法(PCR法) 29 1.感染症におけるDNA診断法 29 2.PCR法によるH. pylori検出の実際 29 (1)感度 29 (2)増幅領域の選択および方法 30 (3)対象検体 31 (4)問題点 32 (5)今後の展開 32 II.Helicobacter pylori感染症の診断法 1.胃内視鏡を用いる診断法 〈福田能啓,殿勝康司,下山孝〉36 A.内視鏡検査を必要とするH. pylori感染の診断法 侵襲的検査法  37 1.培養法 37 2.迅速ウレアーゼテスト 39 3.鏡検法 40 4.胃内pH指示薬散布法 41 5.遺伝子診断法 42 B.H. pylori感染の存在診断と除菌判定 44 2.血清抗体測定法 〈杉山敏郎〉46 A.血清抗体測定法 46 1.H. pylori抗原の多様性 46 2.H. pylori分画抗原を用いるELISA 50 B.病態を反映する血清抗体 52 C.血清抗体の臨床的意義 53 3.尿素呼気試験 〈谷口友志,佐藤貴一,木村健〉56 A.尿素呼気試験とは 56 B.13C-尿素呼気試験の原理 57 C.13C-尿素経口投与の安全性 58 D.13CO2の測定機器 59 E.13CO2-尿素呼気試験の実際 60 1.成績 61 (1)13CO2排出の時間経過 61 (2)生検法との比較 61 (3)考案 63 4.Helicobacter pylori感染症の診断基準 〈藤岡利生〉66 A.H. pylori感染診断法とその検出感度と特徴 66 1.胃内視鏡検査を必要とする方法 侵襲的診断法  67 2.胃内視鏡検査を必要としない方法 非侵襲的診断法  69 B.H. pylori除菌の診断基準 70 III.Helicobacter pyloriの病原因子 1.ウレアーゼ 〈福田能啓,水田年美,下山孝〉74 A.H. pyloriとウレアーゼ 74 B.H. pyloriウレアーゼの病原性 76 1.ウレアーゼの毒性 76 2.ウレアーゼ-アンモニア系による胃粘膜傷害 76 2.付着因子 〈林俊治,杉山敏郎,小熊恵二,藤井暢弘〉82 A.なぜ付着因子が重要なのか 82 B.H. pyloriの動物細胞への付着 83 C.H. pyloriの細胞付着能の多様性 84 D.付着因子と宿主細胞表面レセプター 86 3.活性酸素 〈福田能啓,田村和民〉90 A.H. pyloriの遊走化因子 90 B.活性酸素 91 C.細菌感染と活性酸素 92 1.顆粒球と活性酸素 92 2.血管内皮細胞と活性酸素 92 3.サイトカインと活性酸素 93 (1)好中球 93 (2)マクロファージ 単球 94 (3)血管内皮細胞 94 D.H. pylori感染と活性酸素 94 1.H. pyloriとサイトカイン・接着因子 94 2.H. pyloriの産生物質と白血球 95 4.サイトトキシンとサイトカイン 〈淡川照仁,杉山敏郎〉103 A.空胞化サイトトキシン 103 B.サイトトキシン関連蛋白 104 C.サイトカイン産生 107 IV.Helicobacter pyloriの感染経路・感染率 〈福田能啓,下山孝〉 A.感染経路 112 1.経口感染 ヒトからヒトへ 112 (1)fecal-oral 113 (2)oral-oral 113 2.性交渉による感染 113 3.動物からヒトへ 114 B.H. pyloriの再感染 114 C.無症状者の感染率 114 1.開発途上国と先進国 114 2.年齢 115 3.経済状態 115 4.民族 115 V.Helicobacter pylori感染症の臨床 1.胃炎 〈榊信廣〉124 A.H. pylori発見以前の胃炎 124 B.H. pylori発見と胃炎 125 C.胃炎のシドニー分類 127 D.胃炎診断,自覚症状とH. pylori感染 129 1.対象および方法 129 2.自覚症状とH. pylori感染 130 3.組織学的胃炎とH. pylori感染 130 4.内視鏡的胃炎所見とH. pylori感染 132 E.H. pylori感染に伴う胃粘膜萎縮の発展 134 2.消化性潰瘍 〈佐藤寛一,谷口友志,木村健〉138 A.消化性潰瘍症例におけるH. pylori陽性率 138 B.十二指腸潰瘍とH. pylori 139 1.H. pylori感染と十二指腸潰瘍の再発 139 (1)H. pylori除菌後の十二指腸潰瘍再発率 139 (2)H. pyloriが十二指腸潰瘍の再発を引き起こす機序 141 2.H. pylori感染と十二指腸潰瘍の治癒 143 3.H. pylori感染と十二指腸潰瘍症の病原的関係 143 C.胃潰瘍とH. pylori 146 1.H. pylori感染と胃潰瘍の再発 146 2.H. pylori感染と胃潰瘍の治癒 146 3.H. pylori感染と胃潰瘍症の病原的関連性 146 3.胃癌,胃悪性リンパ腫 〈斉藤大三,福田治彦,小野裕之〉154.アレルギー疾患〈久野和成,杉山俊郎〉171 A.H.pyroli感染と免疫応答 B.H.pyroli感染とアレルギー 1.疫学的研究 155 2.筆者らのcase-control study 156 3.萎縮の程度を考慮する必要性 162 (1)胃癌のリスク 162 (2)胃癌の組織型 162 (3)胃癌の深達度 164 4.介入研究の必要性 164 B.胃悪性リンパ腫 165 1.疫学的研究 165 2.H. pylori除菌による変化 166 4.アレルギー疾患 〈久野和成,杉山敏郎〉171 A.H. pylori感染と免疫応答 171 B.H. pylori感染とアレルギー 174 1.I型アレルギー 174 2.II型アレルギー 175 3.III型アレルギー 175 4.IV型アレルギー 177 VI.除菌療法 1.除菌療法の適応と意義 〈藤岡利生〉180 A.除菌療法の適用 NIH統一見解の解釈  180 B.除菌療法の意義 181 2.各種薬剤のHelicobacter pyloriに対する抗菌活性 〈藤岡利生〉184 A.抗菌薬 184 B.抗潰瘍薬 187 C.プロトンポンプ阻害薬(PPI) 188 3.除菌療法の実際(1)-Triple therapy 〈木平健,佐藤貴一,木村健〉191 A.Triple therapyの薬剤の組み合わせ 192 B.Triple therapyの意義 193 C.Triple therapyの実際:教室での成績から 195 1.3剤併用療法 195 2.4剤併用療法 197 3.考察 198 4.除菌療法の実際(2)-PPI+抗菌薬 〈久保田利博,藤岡利生,那須勝〉203 A.プロトンポンプ阻害薬の単独療法 204 B.抗菌薬の単独療法 205 C.PPIと抗菌薬の併用療法 205 D.PPIに抗菌薬を2剤加えた併用療法 209 5.除菌療法の実際(3)-new triple therapy 〈福田能啓,山本一成,下山孝〉212 A.H. pyloriの除菌判定と除菌療法 212 B.H. pyloriの除菌療法 214 C.粘膜防御因子増強薬の抗H. pylori作用 216 D.new triple therapy 粘膜防御因子増強薬を加えたtriple therapy 218 6.除菌療法の臨床効果 〈久保田利博,藤岡利生,那須勝〉224 A.H. pylori除菌による潰瘍再発 224 1.十二指腸潰瘍 224 2.胃潰瘍 225 B.H. pylori除菌による胃粘膜の変化 227 C.胃液中アンモニア濃度 229 D.血清ペプシノーゲン値 230 E.H. pyloriの再出現 231 索引 235

最近チェックした商品