呼吸器病学

呼吸器病学

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  • サイズ B5判/ページ数 540p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784498030541
  • NDC分類 493.3
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 本書は,医学生が卒業後臨床に出て役立てることが出来る呼吸器病学を確実に理解し,修得できることを目的に著わされた.そのため診断,治療の背後にある病態生理などの理論をわかり易く解説し,それに基づいていかに診断し,治療するかを述べている.また治療も現在行なわれている最新の方法を出来るだけ具体的に示すようにした.“メモ”としてその疾患に関するエピソード,トピックスも織り込んだ. 序  いま,世を挙げて出版ブームなのだそうである.それも,ある印刷出版会社社長のお話では,後世に残る名著,畢世の大作といったものは稀有で,“軽い”あるいは“短命な”出版物が幅を利かしているそうだ.医学書も御多分に洩れず出版ブームかもしれないし,“軽い”あるいは“短命な”本が幅を利かせているかもしれない.  この15年ほどの間に,わが国で出版された“呼吸”とか“胸部”とかの名のつく本が100冊を超えるという事実に驚嘆する.現代版“群書類従”は膨大なものになろう.“呼吸器病学の教科書”と目される本のみでも十指に余る.それでもなお,陸続と新しい本が出版される背景に興味がわく.単なる推論でしかないが,恐らく最大の理由は,資本主義の消費経済社会では,軽かろうが,短命であろうが,出版し続けることが企業の存立に係わる重大事なのであろう.また,読者層にかなりの種類と幅の違いがあることに加えて,すべてにわたり嗜好やニーズが多様化しているという時代の風潮もあろう.前の理由は,本質的には編者らに係わることではないが,後の理由は,いずれの出版物にも瑕瑾なしとはしない,換言すれば,誰もが完全に満足しないという事実があるようだ.それは,内容に限らず,本の体裁も,値段も,執筆者の顔ぶれをも含めた,単純でない評価である.  そうした困難は,本書の企画の段階から意識されたことであるが,編者らは,控え目に表現すれば,類書より多くの点でベターな,本格的な呼吸器病学の教科書を意図し,厳選された執筆者の良きご理解を得て,満足のゆく本を自信をもって世に問う運びとなった.  FISHMAN,MURRAY & NADEL,HINSHAW & MURRAY,GUENTER & WELCH,FRASERらの編著など,外国の,夙に名著として評価の高い呼吸器病学の教科書に共通することは,“病態生理”が疾病の各論と渾然一体となって述べられていることである.本書も,病体生理あるいは症候に従って疾患を分類し,それぞれの項で,病態生理を的確に記述することを力点を置いた.そうした項目立てがもたらすかもしれない混乱を避ける目的で,従来型のオーソドックスな分類目次(第2目次)もつけることにした.  病態生理のほか,教科書として欠くことのできない,定義・概念,疫学,診断・鑑別診断はもちろん,最新の治療法についてもかなりの頁を割き,可能なかぎり,それぞれの疾患の自然歴を含めた予後にも言及した.また,それぞれの項目末尾に,日常経験で得られたこと,定説のないこと,興味あるエピソードなどを“メモ”として載せたのも,無味乾燥になりがちな教科書に彩りを添えていよう.編者らの設定した枠組みは以上のようである.  お願いした執筆陣は,各方面の第一線のバリバリの方々ばかりで,編者らの意図を真剣に受け止められた玉稿もそれだけ清新である.各執筆者は,一定の枠組みのなかで縦横に個性豊かな記述をされており,単調でないユニークな本が完成したと自負している.謙虚に読者のご評価を仰ぎたいが,改めて執筆者各位に深甚な謝意と敬意を表したい.  また,企画からすでに三年余が経過したが,それだけ熟成されている本書の上梓を,終始熱意をもって担当された中外医学社の各位とともに心から喜びたい. 平成二年三月 太田保世 川上義和    《目次》 目次 正常編 〔呼吸器系の構造と機能の連関〕 3 呼吸機能 4 換気機能 4 ガス交換機能 12 肺循環 15 血液ガス・酸塩基平衡 17 呼吸調節機能 20 非呼吸性肺機能 20 気道浄化と感染防止 20 代謝機能 21 その他 22 異常編 I 息切れをきたす疾患 〔息切れの病態生理〕 27 なぜ感じるか 27 どのような時感じるか 28 どのように評価するか 29 どう対応するか 30 A.閉塞性肺疾患 1.肺気腫 31 2.肺リンパ管筋腫症 45 B.拘束性肺疾患 1.間質性肺炎(肺線維症) 48 2.過敏性肺炎 63 夏型過敏性肺炎 67 3.塵肺症 69 4.肺好酸球性肉芽腫症 76 5.肺血鉄症 79 6.肺胞蛋白症 83 C.拘束性胸壁疾患 1.肥満低換気症候群 87 2.胸郭脊柱異常 91 漏斗胸 91 鳩胸 93 脊椎後側湾症 94 straight back症候群 95 3.動揺胸郭 98 4.神経筋疾患 103 筋萎縮性側索硬化症 103 横隔膜神経麻痺 104 GUILLAIN-BARRE症候群 104 重症筋無力症 105 DUCHENNE型筋ジストロフィー症 105 呼吸筋不全 106 5.横隔膜異常 108 横隔膜の形態と機能 108 横隔膜麻痺 109 横隔膜弛緩症 111 横隔膜ヘルニア 111 D.肺循環障害 〔肺循環の病態生理〕 114 物理的因子 114 化学的調節 116 肺性心 117 ヒト心房性Na利尿ペプチド 118 血管内皮細胞 118 1.肺血栓,塞栓症・肺梗塞症 119 2.肺水腫 129 3.原発性肺高血圧症 142 II 咳をきたす疾患 〔咳の病態生理〕 153 概念 153 病因 154 診断・鑑別診断 154 治療 156 A.閉塞性肺疾患 1.慢性気管支炎 157 2.び慢性汎細気管支炎 165 B.腫瘍 1.原発性肺癌 172 2.転移性肺腫瘍 191 3.良性腫瘍 199 気管支腺種 199 過誤腫 201 乳頭腫 202 平滑筋腫・線維平滑筋腫 203 線維腫 203 脂肪腫 204 血管腫 204 顆粒細胞性筋芽細胞腫 205 4.胸膜腫瘍 206 5.縦隔腫瘍 210 C.感染症 1.風邪症候群 217 2.肺炎 220 ウイルス性肺炎 221 マイコプラズマ肺炎 222 クラミジア肺炎 224 細菌性肺炎 225 GRAM陽性球菌肺炎 227 GRAM陰性桿菌肺炎 228 レジオネラ症(在郷軍人症) 230 ブランハメラカタラーリスBranhamella catarrhalisによる感染 231 嫌気性菌性肺炎 232 3.肺結核 234 粟粒結核症 242 4.非定型抗酸菌症 244 5.肺真菌症 246 肺クリプトコッカス症 247 呼吸器アルペルギルス症 248 肺ムコール症 252 6.寄生虫性肺疾患 253 7.日和見感染 257 8.嚥下性肺炎 263 III 咳をきたす疾患 〔痰の病態生理〕 267 痰の構成成分 267 痰の発生機序 267 診断の進め方と鑑別診断 269 去痰療法 270 1.気管支拡張症 272 2.肺化膿症 279 3.嚢胞性線維症 284 IV 胸痛をきたす疾患 〔胸痛の病態生理〕 289 病態生理 289 診断 293 治療 293 〔気胸、胸水の病態生理〕 294 胸腔、胸膜の病態生理 294 自然気胸の病態生理 295 1.胸膜炎 300 悪性胸水(癌性胸膜炎) 300 結核性胸膜炎 303 肺炎随伴性胸水 305 ウイルス性胸膜炎 306 リウマチ性胸膜炎 306 ループス胸膜炎 307 肺塞栓症に伴う胸水貯溜 307 石綿による胸膜病変 308 消化器系疾患に続発する胸水貯溜 308 MEIGS症候群 309 yellow nails syndrome 309 薬剤性の胸性貯溜 310 2.膿胸・血胸・乳び胸 310 膿胸 310 血胸 310 乳び胸 312 3.自然気胸 314 4.縦隔気腫 322 5.縦隔炎 325 急性縦隔炎 325 慢性縦隔炎 326 V 喘鳴をきたす疾患 〔喘鳴、呼吸音異常の病態生理〕 327 喘鳴 328 呼吸音 331 1.気管支喘息 334 2.PIE症候群 348 単純性肺好酸球症 350 遷延性肺好酸球症 350 熱帯性好酸球症 351 喘息を伴った肺好酸球症 353 結節性多発性動脈炎を伴った肺好酸球症およびその類似疾患 354 WEGENER肉芽腫症 アレルギー性肉芽腫症 hypereosionophilic syndrome(HES) 3.上気道閉塞 358 VI 呼吸調節の異常をきたす疾患 〔呼吸調節の病態生理〕 363 自動調節 364 化学調節 365 行動調節 368 薬物,化学物質の影響 368 1.CO2ナルコーシス 368 2.過換気症候群 373 3.肺胞低換気症候群 380 VII チアノーゼをきたす疾患 〔チアノーゼの病態生理〕 387 チアノーゼの色調の由来 387 チアノーゼを生じる病態 388 診察にあたって 390 1.呼吸不全 391 2.肺動静脈瘻 403 3.ARDS 407 パラコート中毒 416 4.呼吸管理 418 VIII 先天性肺疾患 〔呼吸器系の発生、形成とその異常〕 425 発生の概略 425 胸郭・胸膜 425 肺胞-気道系 426 胸腔内の血管系 428 呼吸器発生の異常 429 1.肺分画症 430 2.分岐,分葉異常 435 3.肺胞微石症 440 IX 全身性疾患,呼吸器外疾患による異常 1.膠原病 445 全身性エリテマトーデス 445 慢性関節リウマチ 447 強皮症 448 混合性結合組織病 449 SJOGREN症候群 450 多発性筋炎・皮膚筋炎 450 壊死性血管炎 451 2.尿毒症・肝硬変 452 尿毒症 452 肝硬変による胸水 454 肝硬変に合併する肺高血圧症 456 3.肺アミロイドーシス 457 4.サイコイドーシス 462 5.WEGENER肉芽腫症 470 6.GOODPASTURE症候群 475 7.代謝性酸塩基平衡障害 479 X 医原性および物理的原因による疾患 1.薬剤誘発性肺疾患 487 2.放射線肺臓炎 494 3.O2中毒 501 4.CO中毒 506 CO中毒続発症 511 5.減圧症(潜函病) 512 日本語索引 523 外国語索引 534

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