透析患者の検査データ・ブック (第2版)

透析患者の検査データ・ブック (第2版)

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  • サイズ A5判/ページ数 194p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784498024250
  • NDC分類 494.93
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 本書は蒼龍会井上病院で集積されたデータを基に,大阪市大第二内科等の研究グループが,長期透析患者の適正透析のための目標となる検査の基準値,許容範囲を示したものである. 血液,電解質,蛋白質,内分泌等の生化学検査から,X線・超音波・心電図等までの,各種検査の意義,測定法,透析患者の測定値,透析患者の特徴,異常値を示す疾患などが解説されている. 序  今日,長期透析患者は70,000人に達し,なお増加の傾向にある.これら患者の生存率は年々改善されており,又,社会復帰を果している人も多い。  このような時期に,大阪府下における主要透析施設の一つである蒼龍会井上病院で集積されたデータを基にして「透析患者の検査データブック」が出版されることになった.井上病院は大阪透析研究会における有力メンバーでもあり,この約10年間にわたり患者に役立つ研究,なかでも骨・カルシウム代謝異常,内分泌異常,その他重大な合併症をとりあげ,日本透析療法学会,日本腎臓学会,その他国際学会などで精力的に発表してこられた.  今回の出版はこれら研究成果の一部をまとめたものと考えられる。また,長期透析患者にとって,適正透析のために目標となる検査値がどのようであるか重要な問題である。  この書はこれに応えてくれるものと期待している.  これらの研究には井上病院の他,大阪市立大学医学部第二内科,大阪市立城北市民病院,芦原病院などの研究グループが参加しており,多くのメンバーの協力によって作成されたときいている.この共同作業の成果が多くの人達に迎えられ,役に立つことを念ずる次第である. 昭和62年1月 大阪市立大学教授 大阪透析研究会会長 前川正信 改訂版の発刊にあたって 1987年に第一版を出版して以来5年を経過した.この間増刷を繰り返すことができたのはこの小冊子をご利用頂いた方々のご支援によるものでありひとえに御礼申しあげる次第である.  さて一方長期透析患者の数は増え続け1990年末で10万人を突破していること,透析期間が長くなることにともなう新しい病態の発現,新しい治療法の導入などによって患者全体としての病状が変化したことに加え,新しい検査法の導入,病態の研究の進歩などがあり,この書においてもこれらを考慮した内容が必要であると考えられた。  前の版と同様データは蒼龍会井上病院においておこなわれた大阪市立大学第二内科との合同カンファランスの結果を集積したものを中心としている.  また大阪府特定疾患研究会の腎尿路難病研究会からは長年にわたり研究助成をいただき謝意を表する次第である.日本透析療法学会理事長大阪市立大学前川正信教授,大阪腎臓バンク理事長園田孝夫大阪大学名誉教授には終始ご指導、ご助言をいただいたことにお礼を申し上げます. 1991年11月 森井浩世 井上 隆 松下義樹 岡本輝夫 西沢良記 三木隆己 田畑 勉 はじめに  長期透析患者を適正状態におくために目標となる基準値は当然正常人における検査値と異なっている.この基準値をどのように考えればよいかという手がかりにならないかと念じて作成したのが本書である. 蒼龍会井上病院は昭和50年,大阪府吹田市の現地において開院されて以来,透析患者の診療にあたる一方,適正透析をおこなうために必要な臨床的研究をおこなってきた.研究の成果の多くは患者に還元されたと信じている.  研究は井上病院のスタッフの他,大阪市立大学医学部第二内科,大阪市立城北市民病院,芦原病院などの研究グループの参加をえておこなわれた.  本書が透析療法に従事する方々への何らかのお役に立てればこれに過ぎる幸せはない。  大阪市立大学医学部泌尿器科教授であり,長らく大阪透析研究会の会長をつとめてこられた前川正信先生に序文をいただくことができた.厚く御礼申し上げる次第である. 昭和62年1月 森井浩世 井上 隆 岡本輝夫 松下義樹 長谷川弘一 西沢良記    《目次》 目次 総論 2 血液  1.赤血球 6 2.白血球 8 3.血小板 10 4.凝固検査 12 5.アンチトロンビンIII(AT III)とヘパリンコファクター(HC II) 14 電解質  1.ナトリウム(Na) 16 2.クロール(Cl) 18 3.カリウム(K) 20 4.カルシウム(Ca) 22 5.無機リン(P) 24 6.マグネシウム(Mg) 26 7.血清鉄(Fe) 28 8.酸・塩基 30 蛋白質  1.血清蛋白質 32 2.尿素窒素 34 3.クレアチニン 36 4.尿酸 38 脂質  1.総論 40 2.コレステロール 41 3.HDL-コレステロール 44 4.中性脂肪 46 5.アポ蛋白 49 6.Lp(a) 53 糖質  1.血糖 55 2.ヘモグロビンA1C,A1 57 3.フルクトサミン 59 4.1,5-アンヒドログルシトール 61 酵素  1.GOT・GPT 63 2.LAP 65 3.LDH 67 4.γ-GTP 69 5.アルカリフォスファターゼ(Alp) および骨型アイソザイム(Alp-3) 72 6.酸フォスファターゼ(ACP),酒石酸抵抗性フォスファターゼ(TRACP) 74 7.コリンエステラーゼ(ChE) 77 8.アミラーゼ 79 9.クレアチンフォスフォキナーゼ(CK) 81 微量元素  1.アルミニウム 89 2.亜鉛 85 免疫  1.免疫グロブリン 87 2.自己抗体 90 3.血清補体価 91 4.B型肝炎ウイルス 93 5.リンパ球幼若化試験 95 内分泌  1.総論 97 2.成長ホルモン 99 3.プロラクチン 101 4.抗利尿ホルモン 103 5.LH,FSH 106 6.ACTH,コルチゾール 109 7.テストステロン,デハイドロテストステロン 111 8.アルドステロン 113 9.血漿レニン活性 116 10.心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP) 119 11.エンドセリン(ET) 121 12.甲状腺ホルモン 123 13.カルシトニン 125 14.副甲状腺ホルモン 127 15.インスリン 130 16.C-ペプタイド 132 17.ビタミンD 134 18.ガストリン,セクレチン,モチリン 136 19.オステオカルシン 138 20.エリスロポエチン(EPO) 140 血清反応  1.赤血球沈降速度(血沈) 142 2.CRP 144 3.ASO,ASK 146 腫瘍マーカー  1.α-フェトプロテイン 148 2.癌胎児性抗原(CEA) 150 3.β2-マイクログロブリン 152 4.フェリチン 154 レ線検査  1.胸部レントゲン 156 2.消化管レ線検査 161 3.骨レ線検査 164 CT検査  1.腎CT 167 2.脳CT 170 超音波検査  1.心臓超音波検査 172 2.腎超音波検査 178 心電図 180 脳波 185 筋電図 187 上部消化管内視鏡検査 189 骨性検 191 第1章 健常人におけるカルシウムとリン代謝 江澤郁子 第2章 腎とCa,Piの代謝 黒川清,福田直子 第3章 腎不全のCa代謝異常の発生機序 黒川清,福田直子 第4章 慢性腎不全における二次性副甲状腺機能亢進症発症機序に関する一考察 深川雅史,易虹,福田直子,黒川清 第5章 腎とPTH 藤田拓男 第6章 透析患者の骨病変の特徴 平沢由平 第7章 骨病変の成り立ち 黒川清,福田直子,易虹 第8章 透析患者の骨生検 塚本雄介 第9章 腎性骨異栄養症の病理 大原一彦,高橋栄明 第10章 臨床症状と診断 笠井健司,川口良人 第11章 骨代謝と核医学 森田陸司,山本逸雄,福永仁夫,大塚信昭,友光達志,曽根照喜,永井清久,村中昭,古川高子,柳本真一,滋野長平,日野恵,土光茂治,播岡敏男 第12章 成人透析患者の骨障害 相澤純雄,川口良人,宮原正 第13章 高齢透析患者のCa・リン・骨代謝 木嶋祥麿 第14章 小児透析患者の骨障害 吉田義幸,酒井糾 第15章 小児透析患者の骨代謝面での問題点 増田英子,本田雅敬,伊藤拓 第16章 Continuous ambulatory peritoneal dialysis (CAPD)患者の骨代謝異常 笠井健司,川口良人 第17章 微量元素と代謝性骨疾患 丸茂文昭,栗山廉二郎 第18章 代謝性疾患・薬剤に伴う骨病変 鈴木正司 第19章 異所性石灰化の基礎と臨床 久保仁,川口良人 第20章 治  療 鈴木正司 第21章 ビタミンDパルス療法   I.経 口 川口良人,重松隆,相澤純雄   II.経 口 塚本雄介,野村幸範,丸茂文昭   III.静 注 鈴木正司 第22章 リンと食事療法 安西志保子 第23章 骨・関節痛を訴える患者の看護 星野貢,村山清己,笹川美雪,田巻孝子,石川律子 第24章 ビタミンD療法に抵抗する骨病変 中澤了一 第25章 アルミニウム中毒性骨病変 小野利彦 第26章 腎性上皮小体機能亢進症の治療 高木弘,冨永芳博,佐藤圭介,沼野正浩,田中勇治,打田和治,河合真千夫 第27章 透析患者の副甲状腺摘除術 小原孝男,西常博 第28章 異所性石灰化症の治療 井上聖士 第29章 腎不全患者における歯科学的異常 加藤譲治 第30章 アミロイド骨・関節症   I.透析アミロイド症と骨・関節症状 下条文武,本間則行,丸山弘樹,荒川正昭   II.透析アミロイドーシスの臨床 小川洋史,斎藤明,石黒直樹   III.治療上の問題 中澤了一   IV.治療 鈴木正司 第31章 透析骨病変へのビタミンDの将来   I.新しいビタミンD療法 野入英世,深川雅史,黒川清   II.二次性副甲状腺機能亢進症治療剤として期待される新規ビタミンD誘導体-22-oxacalcitriol 西井易穂,Slatopolsky,小林正