MRCP―膵胆道の新しい画像診断

MRCP―膵胆道の新しい画像診断

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  • サイズ B5判/ページ数 132p/高さ 27cm
  • 商品コード 9784498013285
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 早期癌をはじめとする胆膵の疾患の診断に,去年,ERCPに変わりMRCPが行われるようになってきた.本法は,ERCPのような苦痛や合併症の危険がなく,患者にとっては大きな福音である. 本書は著者らの経験した多くの症例をもとに,撮影法から診断の実際までを具体的に解説したものである.MRCP所見にERCPなど他の検査所見を対比して示し,本法の診断の意義がよくわかるように解説している.MRCPの唯一,初めての入門書として消化器病の診断にあたる臨床医の方々におすすめする. 序  自分の仕事を結実させて,著書として世に問うことは大きな喜びである.著者は過去2年間MRCPに専念して,臨床的に役立つ画像を得ることに努力してきた.本書はMRCPの現在の道標であり,すべてを網羅している.客観的にまとめられ,几帳面で漏れがないのは著者の性格によるものである.  MRCPは非侵襲的に膵管および胆道が描出される画期的な方法である.歴史的に見てMRCPの空間分解能の向上は機器の進歩によるところが大きい.しかし,機器に依存した検査法であっても膵胆管疾患と在来の検査法に通暁した医師がMRCP撮影時に立会わなければよい画像は得られないのが現状である.臨床に役立たせるためには解剖学的,病理学的な所見を限界まで描出する高度なレベルが要求される.著者はMRCPの検査日には何時もMRIの部屋に入り浸りであった.その結果,本書に見られる素晴らしい画像が得られ,MRCP導入後は診断的ERCPの件数が大幅に減少した.著者はMRCPを駆使して独自の領域を開拓して,著しい臨床的効果をあげたことになる.人を得なくては検査の価値や診断能を最大限に追及できないのである.他の方法と比較して優位が保てるものでなければ専念する価値はないが,MRCPによって膵胆道の病変が苦痛なく早期に診断できて,治療に直結するようになったことは患者にとって大きな福音である.  多くの放射線科のように検査対象を自分で取捨選択できないことは,臨床的に後退した立場である.われわれは肝胆膵疾患の検査すべてを自らのの手で行っており,MRCPの適応の選択,他検査との比較を一貫して行った.その結果,MRCP所見の解析,診断能の検討を詳細に行うことができて,MRCPの臨床的価値が明確になった.われわれはMRCPは膵胆道疾患の超音波に次いで行われるべきスクリーニング検査として位置づけている.そのためには検査の待ち時間を少なくしなければならない.幸いなことにわれわれは1ヵ月に70~80例のMRCPを自分で施行できる恵まれた環境にある.今後,MRCPが普及するためにはMRIの検査体制にどのように組み込むかが課題になると考えられる.これからはERCPは治療手技が主になると予想されるが,MRCPの普及に伴ってERCPの件数が減少すると,手技の研修が問題になると思われる.  本書がMRCPの理解に役立てば望外の喜びである.読者諸姉兄のご批判,ご叱正をお願い申し上げる次第である.  内科でMRCPを行うにあたって,多くの方々の協力があった.放射線科の片山教授,煎本講師,放射線部の伊津見技師長ならびに技師各位,東芝第4技術部の槙田淳一氏,研究室の須山正文講師を始めとする諸君,第二外科の二川教授,別府助教授,病理の須田教授に心から感謝の意を表する.                          1998年10月                              有山 襄 はじめに  医学の進歩はめざましく,5年前には夢のように思い描いていたことが,現実となってわれわれの前に現れてくることもしばしばである.MRCPはまさに,そのようなもののひとつである.  胆膵疾患の診断学は,超音波内視鏡やヘリカルCTなど,さまざまな検査法の登場により,急速な進歩を遂げてきたが,最終的にERCPという大きな壁を乗り越えられずにいた.多大な苦痛と合併症の危険を伴うERCPに代わって,MRCPを行うことは患者にとって福音であり,膵胆道の2次的なスクリーニング法として,一般に広く受け入れられるであろう.  われわれは,1995年より,MRCPを用いて,教室のテーマでもある,胆膵の早期癌を中心に検討を行ってきたが,症例を重ねるうちに,さまざまな疾患への臨床的有用性を確認するに至った.本書では,その有用性について具体的な症例を用いて解説した.本書が,MRCPの理解に少しでもお役に立てれば,望外の喜びである.  MRIは発展の著しい分野であり,ハードや使用可能なアプリケーションがメーカーや機種によって異なるため,現時点では,得られるMRCP像も施設によって多少差があるが,近い将来,必ず解決されるはずの問題である.何はともあれ,われわれは予後不良な胆膵の早期癌を発見するための大きな足がかりを得たものと確信する.  最後に,入局以来今日まで,直接ご指導をいただき,本書の執筆の機会を与えて下さった恩師,有山襄教授に深く感謝致します.また,須山正文講師をはじめ,ご協力いただいた窪川良広先生,山中晃一郎先生ならびに順天堂大学画像診断研究室の諸先生,ご支援をいただいた本学放射線科・片山 仁教授,煎本正博先生,第2外科・二川俊二教授,別府倫兄助教授,第一病理・須田耕一教授,放射線部・伊津見栄重氏,本郷公一氏,順天堂浦安病院・丸山俊秀先生,癌研究所附属病院・猪狩功遺先生,長岩医院・長岩治郎先生,藤井内科クリニック・藤井大吾先生,日下部病院・日下部輝夫先生,森秀樹先生に心から感謝致します.また,研究当初から惜しみないご協力をいただいた槙田淳一氏をはじめとする東芝第4技術部諸氏のご厚意に感謝いたします.最後に,企画,校正において多大なお世話をいただいた中外医学社・荻野邦義氏,秀島悟氏に謝意を表します. 1998年10月 崔 仁煥     《目次》 1章 MRCPの概念  1  1 MRCPとは  2  2 従来の膵胆道造影法との比較  3  3 胆膵疾患の診断におけるMRCPの位置づけ  4 2章 撮像法  5  1 撮像法の進歩  6  2 撮像の実際  8  3 2D vs 3D  13 3章 胆道  15  1 正常胆道  16  2 胆道系の解剖学的変異  17  3 膵・胆管合流異常  19   A 膵・胆管合流部  19   B 膵・胆管合流異常  20  4 胆石症  22   A 胆嚢結石  24   B 胆管結石  26   C 肝内結石  29  5 急性胆嚢炎  31  6 胆嚢腺筋腫症  33  7 胆嚢隆起性病変  36  8 胆道癌  37   A 胆嚢癌,早期胆嚢癌  37   B 胆管癌  39   C 早期胆管癌  41   D 肝門部胆管癌  44   E 乳頭部癌  46   F 早期乳頭部癌  49  9 良性胆道狭窄  51   A Mirizzi症候群  51   B 原発性硬化性胆管炎  52   C 慢性膵炎に伴う胆管狭窄  53   D 良性乳頭部狭窄  54   E 術後胆管狭窄  55  10 胆管空腸吻合術後  56  11 その他  58   A pneumobilia  58   B 胆泥・胆砂  59   C 胆道ステント  61   D 肝動脈によるアーチファクト  62   E 磁性体によるアーチファクト  63 4章 膵臓  65  1 正常膵管  66  2 膵管癒合不全  68  3 膵炎  69   A 急性膵炎  69   B 慢性膵炎  70   C 膵石症  74   D 腫瘤形成性膵炎  76   E 限局性膵炎  78   F groove pancreatitis  80  4 膵嚢胞性疾患  82   A 仮性嚢胞  83   B 貯留性嚢胞,単純性嚢胞,先天性嚢胞  85   C 膵管内腫瘍・過形成  86   D 粘液性嚢胞腺腫  97   E 漿液性嚢胞腺腫  101  5 膵癌  102   A 膵管癌  102   B 小膵癌  107 5章 肝臓,その他  111  1 肝嚢胞  112  2 polycystic disease  113  3 Von Meyenburg Complex  114  4 肝嚢胞腺腫・腺癌  115  5 胆管細胞癌(肝内胆管癌)  116  6 肝癌  119  7 肝膿瘍  120 6章 MRCPの応用  121  1 セクレチンによるdynamic MRCP  122  2 膵液分泌量のvolume計測  123  3 virtual cholangio- pancreatoscopy  127 索 引  131

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