出版社内容情報
《内容》 基本原理から全身のMRI の読影の基本までを14のステップにわけてわかりやすくかつ明快に解説した入門書. 正常解剖から各種異常像の特徴的所見まで読影に必要な実践的知識のエッセンスをまとめており, 気軽に読み進めているうちに「2 週間で」全身のMRI の読み方が身につくハンドブックである. 医学生, 技師, 臨床家をとわずこれからMRI 診断に関わる者には最適の書である. 序 磁気共鳴画像法MRI(magnetic resonance imaging)は,最近の15年ほどで急速に進歩し,脳脊髄系をはじめとしていまや日常診療に欠くことのできない画像検査となってきています.しかし,進歩が急であったこともあり,撮像法の進歩などを中心に雑誌の特集などは数多く刊行されていますが,臨床に重点を置いた入門書はあまり見当たらないようです.この本はMRIを一通り勉強したい学生,研修医の方々などが,夏休みなどに,一日1章をざっと読んでもらえば2週間で臨床MRIの読影に必要な知識を身につけられる,少なくとも一度は聞いたことがあるようになるために作った本です.最初の原理,信号強度の解釈,頭部その1はできるだけ先に読んだ方がよいですが,それ以外はどの部位を先に読んでもかまいませんので,脳だけ,脊髄だけ,肝だけなどの一部のみを早く知ろうという場合にも対応しているつもりです. 各部位の最初には適応,検査方法,正常解剖を挙げ,基本的には奇形,感染症,腫瘍,外傷,血管障害,代謝・内分泌,その他に分けて,MRIがとくに有用な病変はできるだけ網羅したつもりです.画像診断を行ううえで,臨床情報は非常に重要ですが,とくに年齢は各年齢ごとに正常像が異なり,さらに鑑別疾患も異なるため欠くことができない情報と思います.そのため,この種の本では省略されることも多い年齢と性別をつけるようにしました.病変部以外の部位も年齢を考慮しながら観察すれば,読影力が向上すると思います.また,脳脊髄関係が多くなっていますが,それは最近の医療環境から考えて,超音波,CTでは代替できない,他に代わる検査のない分野が,MRでは今後さらに重要視されると思われたためです. MRは現在まだ発展途上で,MRアンギオ,MRCP,EPI法とその応用,interventional MRなど,大きなフロンティアが開けていると思います.しかし,臨床の画像診断という点では極端にかわることなく,画質の向上より検査時間の短縮に向かうと思われます.若輩浅学のため不備な点があるとは思われますが,この時点で臨床の入門書をまとめる意味はあるのではないかと考えて執筆いたしました. この本の刊行にあたって,これまで多方面にわたり御指導を賜わった山梨医科大学,東京大学および,東京都立駒込病院の放射線科の諸先生方,豊富な症例を検討する機会を与えて下さった他科の諸先生方に心から感謝いたします.そして多くの技師・看護婦の方々には無理な検査を快くひきうけて下さったことを改めて感謝いたします.最後になりましたが,この本の企画・制作に尽力いただいた,中外医学社の小川孝志氏,上村裕也氏に書面を借りて深謝いたします. 1997年4月ヘール・ボップ彗星を観望しつつ青木茂樹 《目次》 目 次Lesson 1 MRIの原理と信号強度の解釈 …1MRIの原理 …2 1.NMR現象 …2 2.画像再構成 : 傾斜磁場とFOURIER変換 …3 3.MRの信号強度を決める因子 …3MRIの読み方(MRIの読影のステップ) …6Lesson 2 頭部その1 …9適応 …9検査方法 …10読影のポイント …10頭部MRIの信号強度の解釈 …11 1.MRIの非特異的信号強度と比較的特異的信号強度 …11 2.出血 …13 3.脂肪 …14 4.高蛋白含有の嚢胞 …15 5.石灰化 …15 6.鉄 …15 7.血流 …17 8.下垂体後葉 …17 9.その他 …17Lesson 3 頭部その2 …19正常解剖 …19 小児における正常MRI …22脳腫瘍 …23 1.脳腫瘍のMRI診断のポイント …23 2.脳腫瘍の分類 …24 3.主な脳腫瘍のMRI所見 …25Lesson 4頭部その3 …31脳血管障害 …31 1.脳梗塞 …31 2.加齢変化とT2強調像の高信号域 …35 3.脳出血 …36 4.動脈瘤 …37 5.その他の脳血管病変 …39頭部外傷 …40Lesson 5頭部その4 …42脱髄,代謝,変性疾患 …42 1.多発性硬化症 …43 2.髄鞘形成不全性疾患(白質変性症) …44 3.osmotic myelinolysis/central pontine myelinolysis …44 4.変性疾患 …45 5.その他 …45感染C炎症 …46先天奇形C母斑症 …48 1.migration anomaly(細胞移動の障害) …49 2.CHIARI奇形 …50 3.母斑症 …51Lesson 6脊髄C脊椎その1 …54脊髄,脊椎領域でのMRIの適応と特徴 …54検査方法 …55読影のポイント …55正常解剖 …56Lesson 7脊髄C脊椎その2 …60脊髄,脊椎の奇形 …60 1.先天性脊髄奇形 …60 2.頭蓋頚椎移行部奇形 …60脊髄,脊椎の炎症性病変 …61 1.脊椎炎 …61 2.硬膜外膿瘍 …62 3.髄膜炎 …62 4.脊髄炎 …62脊髄,脊椎の腫瘍性病変 …63 1.髄内腫瘍 …63 2.硬膜内髄外腫瘍 …64 3.硬膜外腫瘍C椎体骨腫瘍 …65脊髄,脊椎の血管性病変 …67 1.動静脈奇形 …67 2.脊髄梗塞 …68 3.髄内出血 …69Lesson 8脊髄C脊椎その3 …70脊椎の変性疾患 …70椎間板の変性疾患 …72椎間板ヘルニア …73靭帯骨化症 …74その他 …76 1.多発性硬化症 …76 2.骨髄疾患 …76 3.脊髄,脊椎の外傷 …77Lesson 9頭頚部 …79頭頚部でのMRIの適応と特徴 …79検査方法 …80読影のポイントと信号強度 …80正常解剖 …81頭頚部MRIの臨床 …83 1.側頭骨C頭蓋底 …83 2.眼窩 …83 3.副鼻腔C鼻腔 …84 4.咽頭,傍咽頭間隙(上咽頭C中咽頭) …86 5.頚部リンパ節 …88 6.下咽頭C喉頭 …88 7.甲状腺 …89 8.顔面 …89 9.頚部嚢胞 …89Lesson 10胸部C心臓 …91胸部,心臓でのMRIの適応と特徴 …91検査方法 …91読影のポイントと信号強度 …92正常解剖 …93心大血管 …95縦隔 …96胸壁C胸膜 …98乳腺 …99肺野 …99Lesson 11上腹部その1 …101上腹部でのMRIの適応と特徴 …101検査方法 …102読影のポイントと信号強度 …103正常解剖 …105Lesson 12上腹部その2 …108肝 …108 1.びまん性肝疾患 …108 2.肝細胞癌と類似疾患 …109 3.良性腫瘍 …111 4.肝転移,その他 …112胆嚢C胆管 …113膵 …114副腎 …116腎 …116その他 …118Lesson 13骨盤 …119骨盤部でのMRIの適応と特徴 …119検査方法 …120読影のポイントと信号強度 …120正常解剖 …121婦人科疾患 …123 1.子宮筋腫 …123 2.子宮腺筋症(内性子宮内膜症) …124 3.内膜症性嚢胞 …126 4.類皮嚢胞腫 …127 5.卵巣腫瘍 …127 6.子宮頚癌 …129 7.子宮体癌 …129 8.その他の子宮病変 …130男性骨盤,その他 …130 1.前立腺癌 …130 2.BPH …131 3.膀胱C直腸C睾丸 …131Lesson 14骨C軟部 …132骨,軟部でのMRIの適応と特徴 …132検査方法 …133読影のポイントと信号強度 …134正常解剖 …135臨床 …137 1.骨髄 …137 2.軟部組織 …138 3.膝関節 …139 4.股関節 …142 5.肩関節 …143 6.骨腫瘍とその類似疾患 …145MRの基本用語 …146欧文索引 …154和文索引 …158 ●コラム● アーチファクト 8T1値(縦緩和時間) 18FLAIR 30T2値(横緩和時間) 53flow void 78MRA 90MRCP 100MRIの造影剤 107脂肪抑制法 131拡散強調画像 145
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