内容説明
仙人になりたい、永遠に生きたい。人生百年に託された古代中国人のさまざまな想い、人生百年をめぐるさまざまな攻防を描く。
目次
序章 人生百年
第1章 長寿から不死へ―彭祖像の変遷
第2章 神仙に蠱惑された皇帝たち―秦の始皇帝と漢の武帝
第3章 さまざまの神仙術―王充の神仙道批判
第4章 長生の理論
第5章 神仙は学んで得べし―『抱朴子』に見る仙人への道
終章 薬の誤る所となる
感想・レビュー
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bapaksejahtera
3
東方選書の26巻目である。先ず彭祖を採り上げ死からの超越者とそれを求める皇帝達。仙術仙薬の諸般と列仙のあれこれが語られる。これらの実在を否定した王充(「論衡」)とて晩年には「養生論」を著し道家と根底は通じる。仏教の流入でインドとは全く逆に「輪廻という死の解決」を知った華人たちも終には現世主義の旗を降ろすことはできなかった。仙人も天界に上れば位階と官職に悩まされ煩いのない地上に逗まるをよしとするのも中国人らしい。やはり日本人は西欧文化ではなくシナ文化に育まれたのが幸いだったと実感する。2020/04/30
韓信
2
長寿から不死の仙人、房中術の祖へと変遷していく彭祖像、方士に幻惑された始皇帝や漢の武帝、後漢~六朝時代の多彩な神仙像と王充の神仙批判、嵆康の長生理論と葛洪の神仙修行論、五石散の流行と弊害まで、史料を博捜して古代中国における神仙観を概観する論考。尸解仙にも刀剣や杖を肉体の身代わりとする剣解や杖解など種類があること、仙人には異気をうけた者しかなれないと見なす嵆康の先天型と、努力で仙人になれるとする葛洪の後天型があるというジャンプ漫画の主人公のような分類など、個人的には発見が多くて面白かった。2019/11/22