内容説明
中国文明の黎明期、古代人の生活空間の外側には、野獣や猛禽・蝮蛇が跳梁跋扈する鬱蒼たる森林・荒漠たる原野=「外なる世界」が広がっていた。そこは善悪さまざまな超自然的存在―悪鬼・鬼神・怪神・怪獣・瑞獣が巣くう、神聖にして恐ろしい空間であった。本書は、「外なる世界」の山川藪沢とそこに棲む超自然的存在について誌した来歴不明の古書『山海経』を手がかりに、古代人が「外なる世界」をいかに恐れ、また活用していたのかを探り、古代中国民俗の一側面を浮かび上がらせる。1986年刊行の名著を新装新組で復刊したもので、現在の研究状況の概説および補論2編を付す。
目次
1 文明社会の内と外
2 祟りの悪鬼(人を喰う妖怪たち;疫病神たち;災禍をまねく怪神たち―洪水・ひでり;災禍をまねく怪神たち―火災・戦禍・蝗害・労役;悪鬼博物誌―災いをさける方法)
3 恵みの鬼神(山川の恵み;内科・外科の薬物;懐妊・避妊の薬物;家畜用の薬物;善獣・瑞獣たち―悪鬼から善神へ)
4 妖怪・鬼神たちの素顔
5 補論
著者等紹介
伊藤清司[イトウセイジ]
1924年岩手県生まれ。慶應義塾大学卒業。慶應義塾大学名誉教授、中国・雲南大学名誉教授。2007年没。中国古代史、民族学専攻。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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