内容説明
世界各地に広がる華人街をささえるあつい道教信仰と“宗族”の絆。道教研究の泰斗が、中国・台湾・香港から、タイ・マレーシア、シンガポール、フィリピンなど東南アジア諸地域を調査、華人社会の根底に迫る!
目次
第1部 道教とは、宗族とは(道教とはなにか;民間における儒教と道教;宗族とはなにか;宗族と復讐)
第2部 各地の道教と宗族(バンコク・ペナン・マラッカ・クアラルンプール華人街の道教;シンガポール華人の住居・墓地・会館・宮廟;マニラ華人街の道教・同郷会館・宗親会;金門島と鹿港の道教宮廟)
総括 東南アジア華人社会の道教信仰と宗族的結合―タイ・マレーシア・シンガポール・フィリピン
著者等紹介
坂出祥伸[サカデヨシノブ]
1934年、鳥取県に生まれる。大阪外国語大学中国語学科卒業、京都大学大学院文学研究科修士課程(中国哲学史)修了。関西大学文学部教授を経て、同大学名誉教授。森ノ宮医療大学教授。文学博士。日本道教学会元会長、名誉理事。人体科学会顧問など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
9
道教とはなんぞやという本を過去にいくつか読んだことがあるのだが、ひさびさにそのたぐいの理解が進んだ。西欧の中国研究の目的は宣教であるため、民衆が信仰している「道教」をポイントにしている。もうひとつ、宋代の科挙制による官僚体制が成立すると、古来の宗族制の再編成が行われる。古代に儒教や道教が仏教の影響を受けて形が変わったことの方が重要だと思っていたが、芯を捉え損ねていたようだ▲華僑は孔子廟を持たないが、それは本土を離れた海外では科挙がないので科挙に合格するというご利益が不要だからである。2019/09/23