出版社内容情報
近現代中国文学を代表する女性作家・丁玲。その経歴につねにつきまとい、数々の批判の要因となった1930年代南京での国民党による秘密逮捕・監禁と転向疑惑。丁玲がその晩年、自らすべての真実を語った「暗黒の世界で」。反党集団を結成したとして右派のレッテルを貼られ北方の農場へ送られた60年代、文化大革命の批判闘争の中ですべての権利を剥奪され収容所に入れられた70年代を回想する「風雪に耐えて」。苛酷な時代の中で出会った人々、その筆は時に厳しく裏切り者を糾弾し、時に暖かく人情味あふれる無名の人々を讃える。晩年の丁玲が、自らの生命を賭けて描き出した語られざる自伝。
内容説明
国民党の恐怖政治、反右派闘争、文化大革命…受難の時代を生きた中国女性作家の、語られざる歴史―『莎菲女士の日記』『霞村にいた時』の丁玲による、「血の涙で書かれた回想録」。
目次
暗黒の世界で―南京捕囚の記(捕まるまで;南京に連行される;二匹の「イヌ」;雨花台行きか?;国民党の神経戦 ほか)
風雪に耐えて―「反右派闘争」から「文革」へ(北大荒に行く;「牛小屋」点描)
著者等紹介
丁玲[テイレイ]
1904‐1986。中国の湖南省常徳生まれ。1928年、近代的女性の心理を描く「莎菲女士の日記」を発表、当時の文壇に大きな衝撃を与える。その後、次第に左傾化、夫の刑死後、32年には中国共産党に入党する。33年、国民党により逮捕・幽閉されるが、36年共産党統治地区に脱出。恋愛心理を描く都会的女性作家から革命作家へ転身を遂げ毛沢東の賞賛を勝ち得る。「霞村にいた時」「太陽は桑乾河を照らす」等の作品は、新しい中国を代表する文学として邦訳されて広く読まれた。57年反右派闘争では激しい「丁玲批判」にさらされ文壇から姿を消す。二二年間の苦難の末、劇的な復活を果たすのは79年のことであった
田畑佐和子[タバタサワコ]
1938年東京に生まれる。1960年東京外国語大学中国語学科卒業。1962年東京都立大学大学院修士課程修了。中国現代文学専攻。現在、翻訳雑誌『中国現代小説』同人、津田塾大学講師
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