内容説明
資本主義はどこに向かっていくのか―。経済、農業、社会、教育等、第一線研究者による最先端の問題意識から、現代文明社会をめぐる難問に鋭く迫る。
目次
第1部 講演(経済の中に倫理を見出す―資本主義の新しい形と伝統芸能;社会を支える農業・農村―新潮流と変わらぬ本質;資本主義経済をつくる―体制転換三〇年を振り返る)
第2部 討論・日本社会における資本主義と倫理(制度的環境と人間の心;「幸福な人」とはどういう人か;一元化された幸福感 ほか)
パネル・ディスカッション(ポスト産業資本主義;GDPと幸福度;学際的なコミュニケーション ほか)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
92
京都大学での表題のとおりのシンポジウムです。講演が3つとそれに伴うパネルディスカッションが収められています。非常にコンパクトにまとめられています。論点を絞っての話なので分かりやすいイメージはあるのですが、論文等であればもう少し深堀ができたような気がします。資本主義と倫理という今後もかなりの問題敵を起こしていく内容だと思います。ぜひ参加者の皆さんの書物での分析をお願いしたいと思いました。2019/05/25
りさ
5
ポスト産業資本主義になると、知識が重要となり、知識が分業化する。そのため情報の非対称的な人間関係がますますいろいろな場面で必要となる。それは契約関係ではなく、信任関係といえる。一方が他方に信頼によぬわて仕事を一方的に任せるので、【倫理】が要求される。資本主義の目指すところは倫理が必要なく、システムがよければ良い社会になるロジックだったが、破綻してることは皆認めている。
青雲空
5
岩井克人氏の信任に関する分析はさすが。この先生ならではの着眼点で、新古典派経済学の限界を看破するのは見事。 新古典派は結局、前提からしておかしい。おかしな前提の上で空理空論を重ねるから、出てくる処方箋が正しいわけがない。2019/07/17
akio numazawa
2
主流派経済学は理論体系から倫理を葬り去ることで成立した。だがその中核に真因関係における忠実義務として倫理が存在する。 農村などのコミュニティには共助、共存のしくみがあり倫理に支えられる。 コミュニティの倫理感や価値観の形成のためにはある種のプロフェッショナルも必要。2019/07/18
Tad
1
京大シンポジウムの書籍化。 3つのテーマごとの講演(「経済の中に倫理を見出す」「社会を支える農業・農村」「資本主義経済をつくる」)とパネルディスカッション。 GDPと主観的幸福感のグラフとそこからの解釈が興味深かった。 ディスカッションにおける「経済学にはあらゆる分野に触手を伸ばすことができると思わせるパワーがあるが、ロジカルに演繹はできてもその議論は問題の本質的な部分を把握できていないのではないか」という指摘も心に留めておきたい。2021/09/26
-
- 電子書籍
- 蒼穹の剣【タテヨミ】第62話 picc…
-
- 和書
- 天敵利用のはなし