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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
14
山田名誉教授。懐かしい。フォーディズムの回路図のような、欧州統合半世紀の鳥瞰図は因果関係を整理している(48頁)。82頁の同一の欧州条約の図式は、太鼓のようなカーブで説明されている。上はECBの考え方で、下は経済的ガバナンスのための主導的メカニズムとのこと(ボワイエ2000年)。上は独仏対立の力学を表したかったようだ。リーマンショック以後のPIIGSの3か国は国債借換えコストの爆発的増加をともなっていた(傍点98頁)という。財政赤字ゆえに2012年までマイナスに留まっている。厳しい。2014/01/27
メルセ・ひすい
4
クルーグマン曰く…危機は放漫財政の誘因ではなく、政治家ありきの創設それ自体によって引き起こされたと喝破。筆者ボワイエ分析は単一通貨での加盟国経済の調整様式の異質性と国際的ガバナンスの政治過程に因ありとする。ヨーロッパを代表するレギュラシオンの旗手が、独自なユーロ危機分析。ユーロ創設当初の成功、ならびにギリシャで国家債務危機が爆発して以来の苦痛にみちた混乱について、7つの結論を導き出している。三つの相互依存的プロセスとは①新しい古典派のマクロ経済学②各国中の政治プロセス③金融規制緩和とグロバリーゼーション2013/05/20
sekaisi
2
ギリシャになぜEUが騙されたのか疑問。2021/04/28
Humbaba
2
一国であっても,その中で議論は百出し,なかなかまとまってくれない.まして,多くの国が同じ制度に属していては,中々うまくまとめることは困難である.ユーロは様々な問題の根源となることが有り,そしてそれは今後も変わらないだろう.2013/05/20
K
0
平和への理想を基にした連合体が経済統合をすすめ、さらには経済政策や調整方法の統一がないまま共通通貨の導入に至ったのには無理があったのね。文章は難しく理解には骨が折れたが、挿入される図表がいずれも整理されていて、理解を助けてくれた。金融が自らの忠実な僕になると信じてその霊を解き放った政府が、やがて「金融をアラジンの魔法のランプに戻すことができなくなった」という一節に、ウォール街が政策決定に多大な影響を行使したり、中立性を失った中央銀行によるバズーカが不発に終わる現実を鑑みて、暗澹たる思いになる。2016/11/15