出版社内容情報
首尾一貫した経済学に基づいた政策論の視点を身に付けるためのテキスト。不況期の政府と市場の役割分担について見直し、効率化政策が格差是正につながることを示す。
内容説明
本書は、経済学を初めて学ぶ人が、さまざまな経済政策問題への対応策を自分自身で考えられるようになることを目的としている。本巻(2)では、労働・土地・資本市場をくわしく分析し、それを土台に、格差是正政策と効率化政策との関連を明確にする。さらに、その視点から現在日本の経済政策を評価する。
目次
フローとストック
労働
生産要素の総量市場と帰属所得
供給者による自家消費
混雑
長期と最長期
生産と消費の基礎理論
厚生経済学の基本定理
社会的厚生
効率化政策
格差是正政策
効率化政策と格差是正政策の両立
著者等紹介
八田達夫[ハツタタツオ]
1943年東京都に生まれる。1966年国際基督教大学(ICU)教養学部卒業。1973年ジョンズ・ホプキンス大学経済学博士(Ph.D.)。オハイオ州立大学助教授、埼玉大学助教授、ジョンズ・ホプキンス大学助教授・准教授・教授、大阪大学教授、東京大学教授、国際基督教大学教授、を経て2007年より政策研究大学院大学(GRIPS)学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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void
4
【★★★★★】具体的な政策評価・提言を特徴とする本書の真骨頂はやはり厚生経済学。社会的厚生を高めることを目的とし、その手段として、第一段階:効率化政策の実行による効用フロンティアへの到達、第二段階:効用可能性曲線上を移動し格差是正を図る。(但し同時並行的実施。前者はデータに基いて官僚組織が透明性・明確性をもって実施可能で、後者は国民の平等感が基準となることから政治の役割が大きい)「弱者保護」である最低賃金法や継続法理といった政策が「(雇用状態にある者の)既得権」と結びついているといった視点はおさえなければ2012/07/18
KAZOO
0
ミクロ経済学とは言っていますが内容的には、かなり経済政策に関する部分が多いように感じました。最近のミクロ経済学というのは範囲が広がってきているのですねえ。昔は消費関数や生産理論などあとは基本の需要と供給の理論などがほとんどでしたが、厚生経済学的な観点からの部分が多くなった感じがします。それによってかなり現実の経済状況を理解するのには便利にはなっていると感じますが。2013/05/08