出版社内容情報
ヨーロッパの経済問題に深い関心を払うケインズが、第一次大戦後の苛酷で不条理な対独賠償要求とその帰結に警告を発しその是正を求めた義憤の書。当時11ヵ国で訳された。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ノーマン・ノーバディ
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最初kindleで原書を読んでいたが、条約の細目についての議論などはついていけないと思ったので、翻訳で読み、気になって箇所だけkindleで確認するようにした。時間の節約になり助かった。時々この本が「第二次世界大戦を予言した書」みたいに紹介されることがあるけど、この一冊から判断する限りそれはちょっと大げさかなと思った。最初の方では国家元首を皮肉混じりにルポしたりしているが、大半は統計的数値の検討と実務的な提言であって、センセーショナルに危機を訴えるような調子はほとんどない(だからこそすごい、とは言える)。2019/03/13
ワタル
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"19世紀の新興の富者たちは、大きな支出をするようには育てられていず、即時の消費の快楽よりも、投資の自己にもたらす力の方を選好した。 実のところ、富の分配の不平等こそが、あの時代を他のあらゆる時代と区別する、固定的な富と資本改善とのあの膨大な蓄積をまさに可能にしたものに他ならない。 資本主義体制の正当化の主要根拠は、実に、この点にあった。" ドイツへ過大な賠償金を課すことの愚を説いた本。その戦前の分析や戦争の影響と各国首脳の描写が的確である。2018/06/30