出版社内容情報
新規公開株の異常に高いリターンは正当化されるのか。データに基づく分析を基にそうした現象の背景を解明し、制度の改善を提言。
内容説明
本書はIPO(Initial Public Offering)の値付けに焦点を絞った研究書である。具体的には、いまの日本の値付けメカニズムがいかに特異なものであるかを指摘し、その現象がなぜ起こっているのかを解明し、制度をどう改善すべきかの提言を行う。
目次
第1章 日本のIPOの何が問題か―本書の目的と概要
第2章 日本のIPO制度―値付け方法と配分方法を中心に
第3章 過小値付け現象に関する先行研究
第4章 入札方式下の主幹事の「適正値付け」行動
第5章 不正確性プレミアム仮説―謎1の解明
第6章 現行方式の特異性に関する観察事実
第7章 利益相反仮説の提示とその根拠
第8章 利益相反仮説の検証―謎2の解明
第9章 結論
著者等紹介
金子隆[カネコタカシ]
慶應義塾大学名誉教授。1953年生まれ。1975年慶應義塾大学経済学部卒業。1980年慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学。慶應義塾大学商学部助手、助教授を経て、1992年教授。2013~15年商学部長。専門分野はファイナンス(特に企業金融論)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mdo
1
卒論のテーマの候補の一つとして検討2021/02/19
plumriver
1
「IPO株は儲かる」説を学術的に解き明かしていく。なぜ、日本ではBB方式のもとで初値が公開価格を大きく上回るのか、それは合理的とは言えない過小値付けではないか、というのが本書の問い。発行体、証券会社、投資家というプレーヤーの動機などを分析し、証券会社が発行体より投資家の利益を優先しがちであることや、発行体の証券会社に対する交渉力の弱さを指摘する。遠い図書館から取り寄せた甲斐あって、とても勉強になった。IPOに研究者がいることも知らなかったし、IPO株を買う投資家が日米で大きく異なるのも意外だった。2020/06/29