出版社内容情報
著者のライシュがこれまで展開してきた「新しい資本主義」(政府か市場かの二者択一ではなく、市場メカニズムの根幹となる市場のルールそのものを見直してサテナブルな資本主義を構築する)から一歩進んで、「よき市民社会をつくるためには、何が必要か」に焦点を当てた本。
50年ほど前から、富と権力をもつ一握りの人々が、さらに多くの富と権力を手中に得ようと、社会に広がる「信頼」を搾取し始め、かつてはコモングッドと定義され、履行されてきた暗黙のルールが浸食されることになった。「私はどんな手段を使ってでも可能な限りの富と権力を手中に集める。慎み深く責任を持つなんていうのは負け犬がすることだ」と。
本書は、同じ社会を生きる一員として、人々はそもそもお互いにどんな義務を負っているのかについて再考し、どんな「理想」を共有すべきかについて考える。今よりもはるかに機能する社会、よい社会を取り戻したいのであれば、今は失われてしまった人々の間にあった共通の善、つまりコモングッド(良識)を取り戻さなければならない。
本書はアメリカ社会の話をしているが、アメリカに限定した話ではない。互いにつながっているという感覚を失い、お互いの共通認識としての「理想」をも失っている現代のすべての市民社会において、共通して考えなければならない問題である。そしてコモングッドを取り戻すため、市民として互いに負う義務を学ぶ市民教育を徹底できるか、と著者は訴える。われわれのよりよい社会の将来は、自分の実入りをよくするための「私的投資」としての教育に終わらず、よりよい市民社会を支える公的投資、「みんなのための市民教育」ができるか、にかかっているのである。
内容説明
コモングッドについて、いったい何が起きてしまったのか、そしてそれを回復させるために、私たちは何をすべきかという議論を喚起したい。おそらく本書は、互いに異なる見解を持つ人々が、こうしたことについて礼儀正しく討論するための手がかりを提供することとなろう。私の目標は、人々がみんな「コモングッド」に賛同することではない。そうではなくて、コモングッドについて人々が語り、考え、他者の見解に耳を傾けることを、慣習として身につけることを目的としている。それだけでも大きな前進なのである。
目次
第1部 「コモングッド」とは何か(シュクレリ;私たちはどんなコモングッドを共有しているのか;「コモングッド」の起源)
第2部 「コモングッド」に何が起こったか(搾取;三つの構造的崩壊;「コモングッド」の衰退)
第3部 「コモングッド」は取り戻せるか(受託者精神というリーダーシップ;名誉と恥;真実の復活;みんなのための市民教育)
著者等紹介
ライシュ,ロバート・B.[ライシュ,ロバートB.] [Reich,Robert B.]
1946年、ペンシルバニア州に生まれる。カリフォルニア大学バークレー校ゴールドマン公共政策大学院教授およびブルム開発経済センターのシニア・フェロー。ビル・クリントン政権での労働長官をはじめ3つの政権に仕えたほか、オバマ大統領のアドバイザーも務めた。2017年のNetflixオリジナルドキュメンタリーSaving Capitalism(『資本主義の救済』)および2013年にサンダンス映画祭ドキュメンタリー部門にて審査員特別賞を受賞した映画Inequality for All(『みんなのための資本論』)の共同制作者。市民団体「コモン・コーズ」名誉理事長であり、アメリカ芸術科学アカデミーのフェロー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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