出版社内容情報
人口、経済、情報、テクノロジー、債務・・・・・・
スローダウンはすでに始まっている!
オックスフォード大学の地理学者が
膨大なデータと事実(ファクト)で明らかにした
「加速時代の終焉」と「世界の安定化」
読者が突きつけられる
「直感に反する現実」と「人類の未来」とは?
山口周解説
ーー本書は現代人を振り回す「全ては加速している」という迷信を解除してくれる
内容説明
オックスフォード大学の地理学者が膨大なデータとファクトで明らかにした「加速時代の終焉」と「世界の安定化」。人口、経済、技術革新、債務…あらゆるものがすでに減速している。直感に反する現実と人類の未来。
目次
この先に待ち受ける未来
ほとんどすべてのことがスローダウンする
債務―減速の兆し
データ―新しいものがどんどん減っていく
気候―産業活動、戦争、炭素、カオス
気温―破滅へと続く例外
人口動態―人口に急ブレーキがかかる
出生数―過去最大のスローダウン
経済―生活水準が安定する
スローダウンの時代の地政学
大加速化が終わった後の暮らし
人―認知とナマズ
エピローグ パンデミック
付録 時系列線の読み方と描き方
著者等紹介
ドーリング,ダニー[ドーリング,ダニー] [Dorling,Danny]
オックスフォード大学ハルフォード・マッキンダー地理学教授。デジタル世界地図サイト「ワールドマッパー」共同開設者
遠藤真美[エンドウマサミ]
翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よしたけ
63
出生率、身長、経済成長、技術進歩...世界では様々なものがスローダウン中。本書は「移送ポートレート」と呼ばれる特殊な形状のグラフを用い、各指標推移を参照しながら論理的に考察を進める。例えば、途上国では人口増が止まらない印象あるが、全世界出生率は1964年に5.0をピークに2.4を割込む水準に減速中。スローダウンで世界は均質化し、時間に追われなくなり、考える時間増える。環境問題に向き合ったり、大事な人と共有する時間が増える。スローダウン=成長停止というネガティブではなく、ポジティブな側面に気づかせてくれた。2023/05/05
よっち
34
現代を生きる私たちを絡め取る迷信「あらゆるものが加速している。そして加速はとてもよいことである」著者は様々な統計データを用いながら世界のあらゆるものはむしろ減速していることを示す一冊。世界人口の増加ペース、経済成長を示すGDPといった指標、幾何学的に増加する情報、学生ローンや自動車ローンといった債務、例外的に破壊的加速を続ける気温、そしてスローダウン先進国日本。やや冗長に感じるところもありましたが、ひたすら事例を積み重ねることでこれから資本主義が向かうべき方向性を示唆していたのは興味深かったです。2022/11/21
ta_chanko
26
20世紀初頭から急速に発展・拡大・増加してきた現代文明は、1960年代からその速度が遅くなり、人口・データ・債務・新技術など、ほぼ全ての分野で増加のペースがスローダウンしている。過去5世代の間に目まぐるしく世界は変わったが、これからの数世代は変化の少ない安定(停滞)した世界を生きることになる。世界人口は予想よりも早くピークに達し、21世紀半ばには減少に転じる。そのとき、世界で何が起きるのか。発展・拡大を前提としてきた現代文明が、間もなく新たな局面を迎える。どんな世界、価値観が生まれるのか楽しみ。2022/09/15
Satoshi
18
BSドキュメンタリーでイギリスのおばあちゃんが経済はなぜ成長しなければならないか調査する番組を見たが、本書はエビデンスをもとに世界は減速していると論評している。そして、そのファーストケースが日本である。現状で価格が高騰している不動産や株式についても、投機が高騰の原因であり、減少する人口に応じて減速するとのこと。確かに、減速するというより飽和しているというイメージはある。ここ数十年で発明されたものは機械ではなくブランドであるは同意。個人で楽しむという意味ではスマホはポケットラジオのアップグレードしかない。2022/08/17
佐倉
15
現在から未来にかけてあらゆるものが減速していると著者は言う。縦軸を総量、横軸を変化の速度に設定した図を元に経済、人口、資源、技術といった様々なデータからスローダウンを論じていく。表の見方が分かるまで時間が掛かったが慣れてくると加速と減速が渦巻きを描く時系列線たちは興味深く思える。本書では日本を世界に先んじて減速し安定に向かっている国として持ち上げている部分が多いが、政府の施策が出生率を上げてエリートを作り経済成長させる方に向いている以上、著者の言う通りの未来になっても結局後手に回りそうな気がしてしまう。2025/01/21