内容説明
日本と米国、沖縄とアメリカ、大和と琉球。幾重にもからまった桎梏のなかで、司法の独立を守る使命を負わされた琉球検事は、戦後日本が抱えざるを得なかった矛盾の一断面をかたどる存在である。本書は、これまでほとんど表に出ることがなかった琉球検事たちの証言をもとに、激動の戦後沖縄史に新たな光を当てる。
目次
第1章 支配下の「独立」
第2章 燃えるコザ
第3章 最後の検事長
第4章 見えない首謀者
第5章 “巨影”瀬長亀次郎
第6章 事件の真相と深層
第7章 本土復帰と琉球検察の終焉
著者等紹介
七尾和晃[ナナオカズアキ]
著述家。石川県金沢市出身(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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arnie ozawa
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言葉としては知っていても、その内容は知らなかった沖縄返還前の事件「コザ暴動」。歴史的事実を関係者の証言を交えながら描きつつ背景にある沖縄と米国と日本の軋轢とその中での人々の思惑や思想も追う。同時に全く知らなかった米国統治時の沖縄における法制度などめちゃくちゃ興味深い話も。昭和史好きは必読。2013/10/09
てくてく
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日本への復帰を控えた1970年12月に発生したゴザ暴動とは何かを取り上げて、琉球と日本との関係、そして戦後の琉球検察庁の人々を描いた一冊。タイトルが「ゴザ暴動」ではなく「琉球検事」とするならば、最後の方で取り上げていた「本土の司法試験に通らずんば人にあらず」という法曹における沖縄差別などもじっくり描いてもらいたかったような印象を受けた。2013/03/11
AMOROS
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「核も基地も米軍もいない沖縄返還を」日本政府に向けられたコザ暴動の内幕。「琉球検事こそ国際人」は重みがある言葉。瀬長亀次郎すごい。 2013/02/05
SU
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題材は素晴らしい。が、何か物足りない。コザ騒動を取り上げているが、ぼやけている気がする。2013/01/30
kozawa
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戦後のアメリカによる沖縄統治時代の検察組織について近年の関係者取材も踏まえて。本土の弁護士資格を持つ者もほとんどいない中で、米国流でもあり日本流でもあるような独特の組織。本土復帰運動関連事件等米国が絡む案件では時に板ばさみ的な立場にもおかれ、等々。著者のポジションは他の著書等から明らかな気はするけどこれはこれで存在意義はあるのかなぁ、などと。2012/11/03