出版社内容情報
本書の概要
次期学習指導要領に向けて「多様性の包摂」がひとつの柱として打ちだされ、障害者差別解消法改正にともない「合理的配慮」の提供が義務化されるなど、社会の多様性への共通認識がこの数年で少しずつ広まってきました。
一方で、「多様性と学びの質はトレードオフ(二律背反)だ」という声を耳にします。「質の高い教師の育成」という用語も目にします。このとき語られる「質」ーーこれまで「質の高い教育」とされてきたものとは、どのような社会をめざしてきたでしょうか。従来の教育は、果たしてその社会を実現してきたでしょうか。あるいは、ほかならないその「質」によって失われたものはーー?
「多様性」がその内実以上に用語として広まる今、公教育が社会モデルの実装をする意味、多様な他者を知り、学ぶ場を提供する意味について対話から考える1冊です。
本書からわかること
「質の高い教育」とはなんなのか
社会にもとから存在する多様性が、さまざまな声や政策から少しずつ広まってきました。次期学習指導要領改訂をめぐる議論でも、「多様性の包摂(Equity)」が柱のひとつとして打ちだされています。
一方で、社会の実態に目を向ければ、言葉こそ広まりをみせるものの、差別や排除、分断の強まりを感じることも増えています。このなかにあって、同質性を高めた集団で競い合わせる教育が、はたしてよりよい未来を招くのか? 本書はこうした疑問からはじまります。
社会は、多様な他者でできている
不登校児童・生徒が40万人を超え、特別支援学校・特別支援学級の数も増加し続けています。学びの選択肢が増えること、それによって子どもたち一人ひとりによりあった教育を 受けられることは大切です。しかし、そこには排除の構造も隠れています。またその一方で、通常の学級は、その同質性を保ったまま、あるいはこれまで以上にせばまった「ふつう」により、ますます同質的な集団になりつつあります。デモクラシーの根幹である「多様な他者を知り、折り合うことを学ぶ」のは、より難しい環境となっています。そのなかでは、教師が「ふつう」を管理し続けなければならないこともまた、苦しみの多い時間です。
ここで葛藤の種となるのが、「多様性」と「学び(教育)の質はトレードオフである」という言説です。
私もみんなも共に生きていくために。
デモクラシーを守る教育とは
本書では、立場や所属の異なるみなさんとの3つの対話を軸に、「多様性と学びの質は両立できるのか」について考えていきます。
「質」を問うことは、学校の役割、その目指す社会を問い返すこと。葛藤も可能性も聞きひらいた1冊です。
【目次】
はじめに
第1章 同質性と排除による教育は、どんな社会をつくってきたか
第2章 学校を「共に生きる」を学ぶ場にするために
対話1 多様性がないことで失われる学び
話を聞いた人 今井むつみ
対話2 多様な子どもと多様に学ぶ教室で
話を聞いた人 尾上浩二、髙津梓、髙山桂
特別寄稿 バリアフリー演劇とインクルージョン(尾上浩二)
対話3 多様性を踏まえた評価は可能なのか
話を聞いた人 松下佳代、村田耕一、池田美友貴
特別寄稿 質と多様性の両立をめざすとき、評価はどんな形をとるのか?(松下佳代)
第3章 多様性と学びの質は両立できるのか--教育とデモクラシー
おわりに
内容説明
排除と同質化による「質の高い教育」がつくった社会。評価、能力主義と社会モデル。「多様性」の記号接地。学校とデモクラシー。葛藤はある。可能性もある。たずねた問いは、学校を、「共に生きる」を学ぶ場にするにはどうしたらいい?3つの対話から考える、学校の社会モデル実装。
目次
第1章 同質性と排除による教育は、どんな社会をつくってきたか
第2章 学校を「共に生きる」を学ぶ場にするために(対話1 多様性がないことで失われる学び(話を聞いた人 今井むつみ)
対話2 多様な子どもと多様に学ぶ教室で(話を聞いた人 尾上浩二、高津梓、高山桂)
特別寄稿 バリアフリー演劇とインクルージョン―尾上浩二
対話3 多様性を踏まえた評価は可能なのか(話を聞いた人 松下佳代、村田耕一、池田美友貴)
特別寄稿 質と多様性の両立をめざすとき、評価はどんな形をとるのか?―松下佳代)
第3章 多様性と学びの質は両立できるのか―教育とデモクラシー
著者等紹介
野口晃菜[ノグチアキナ]
博士(障害科学)/一般社団法人UNIVA理事。小学校6年生の時にアメリカへ渡り、障害児教育に関心を持つ。高校卒業後に日本へ帰国、筑波大学にて多様な子どもが共に学ぶインクルーシブ教育について研究。小学校講師、障害者支援会社の執行役員を経て、現在一般社団法人UNIVA理事として、学校、教育委員会、企業などと共にインクルージョンの実現を目指す。文部科学省中央教育審議会教育課程企画特別部会委員
合田哲雄[ゴウダテツオ]
文部科学省高等教育局長。岡山県倉敷市出身。1992年旧文部省に入省し、福岡県教育庁高校教育課長、初等中等教育局教育課程課長、同局財務課長などを歴任。国立大学法人化や2度の学習指導要領改訂(2008年、2017年)に携わり、文化庁次長を経て2025年7月より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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みみこ
にくきゅー




