出版社内容情報
■本書の概要
本書では、資質・能力ベースの学校数学カリキュラムの構築をめざして、その方法論を明らかにします。国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)等で示される「意図されたカリキュラム」「実施されたカリキュラム」「達成されたカリキュラム」を観点に、これら三層を跨ぎ動的なものとして整合させる、アラインメント(Alignment)の実態を把握することが、本書の研究目的となります。
■本書からわかること
カリキュラムのアライメントとは何か
アラインメント(Alignment)とは「整列」や「調整」を意味し、本書では特に、教育における「意図されたカリキュラム」(目標)、「実施されたカリキュラム」(指導)、「達成されたカリキュラム」(評価)が整合的かつ機能的に整列している状態を指す単語として用いられます。
「意図されたカリキュラム」:教育の設計段階で意図される層。文部科学省の学習指導要領や学校の教育課程編成、教師の授業計画など。
「実施されたカリキュラム」:実際に授業や教育活動として展開される層。教師が授業でどう取り扱ったのか、どんな教材を使ったのか、授業の進め方など、現場で行われた教育実践を指す。
「達成されたカリキュラム」:学習者が実際に習得した知識・技能・態度など、教育の結果として生徒の側に生じた学習成果をみる層
こんな先生におすすめ
・算数・数学教育学のカリキュラム論に関心のある教師・研究者
・児童生徒の資質・能力の確かな育成をめざす教師
・学習指導要領から指導案の作成、学習評価まで組織化されたカリキュラム構築の方法を知りたい教師
【目次】
はしがき……………………………………………………… i
第1章 移行期における,学校数学カリキュラムのアラインメントの解明―実相の把握のための研究課題の設定― ………… 1
第2章 学校数学における意図されたカリキュラムに基づく実施されたカリキュラムの層縦断的な改善の特徴 ………………15
第3章 教科書の分析による学校数学カリキュラムのアラインメントの把握―小学校・中学校の単元「比例・反比例」に焦点を当てて―……………………………………………33
第4章 教科書分析による中学校数学科と高等学校数学科のカリキュラムアラインメントの把握 …………………………59
第5章 学校エージェントによる算数科・数学科カリキュラムのアラインメントへの意識 ………………………………77
第6章 意図と実施のアラインメントの実態:多元分析の方法論的アプローチ………………………………………………93
第7章 学校数学の「経験されたカリキュラム」の把握―カリキュラム・アラインメントの実相の解明に向けて― ……… 113
第8章 授業分析による学校数学カリキュラムのアラインメントの把握―中学校数学科「比例」に焦点を当てて― ………… 129
第9章 数学科における意図されたカリキュラムと実施されたカリキュラムの架け橋としての授業研究の役割 ……… 147
第10章 算数・数学科における学習指導要領の趣旨の実現を図る取組 ……………………………………………………… 163
あとがき……………………………………………………… 171