出版社内容情報
次の錦織圭、大坂なおみを育てていくために――
女子テニス界のレジェンドが危惧するコートサーフェス問題!
私が望むことは、日本の環境で育ったプレーヤーの中から世界トップレベルで活躍する選手が出てくること。そのためにはテクニックを教えるだけではなく、サーフェスの環境整備にエネルギーを注ぐことができる、テニス愛に溢れている人たちの力が必要になります。(――はじめにより)
本書は、日本人初の世界ランキングトップ10入り(最高ランク4位)、日本人21年ぶりのグランドスラムシングルスベスト4など、テニス界に数々の記録を打ち立てた伊達公子氏が、テニスコートのサーフェスについて調査・研究をまとめた一冊です。
●テニスコートのサーフェスとは?
テニスコートのサーフェスは大きく分けて、天然芝コート、クレーコート、ハードコート、人工芝コートがあります。全英オープン(ウィンブルドン)は天然芝コート、全仏オープンはレッドクレー、全米オープンと全豪オープンはハードコートで行われます。日本では砂入り人工芝コートが主流で国内でも約半数を占めており、また国内大会も半数近く砂入り人工芝コートで行われます。
●伊達氏自らアンケートを実施して統計
26歳の若さで一度プロ生活を引退をするものの、2008年に12年のブランクを経て競技テニス界に復帰した伊達氏。その復帰戦の舞台となった会場が、砂入り人工芝のコートでした。この頃からずっと違和感があったという伊達氏は、テニスコートのサーフェスについて調査・研究するのです。サーフェスの影響や問題点を指摘し、国内のトッププレーヤーやコーチ、テニスクラブ経営者らに大掛かりなアンケート調査を実施。その調査結果をグラフ化したうえで、世界と日本の環境の違いについて問題提起をしています。
●調査から見えてきたことは?
世界は育成年代から四大大会で使用される天然芝、クレーコート、ハードコートで戦うときの注意点、戦略、ポジショニングの取り方、ショットの変化などを考えて対策を立て、練習を重ねるのです。一方、日本は育成・強化期であっても砂入り人工芝コートでのプレーが多く、世界的トッププレーヤーを輩出しにくい環境であることは明らかでした。第二の錦織圭、大坂なおみ、つまりテニストッププレーヤーを日本で育てるためには、どういった環境が必要かを考えさせられる本となっております。
内容説明
大坂なおみ選手や錦織圭選手といった世界的に活躍できるプレーヤーを育てるために…。いま、日本に必要なコートサーフェスとは何か。ハードコート化実現のために!テニス界のレジェンドが国内の現状を調査・研究。
目次
1 調査の目的(研究を始めた理由;サーフェスの歴史と現状 ほか)
2 調査方法(調査方法と対象;調査内容と分析方法など)
3 調査の結果(世界的トッププレーヤー;国内プレーヤー ほか)
4 調査から見えてきたこと(日本テニス界の課題;ハードコート化)
5 調査のまとめ(総合考察;結論)
著者等紹介
伊達公子[ダテキミコ]
1970年9月28日、京都府生まれ。6歳からテニスを始める。兵庫県の園田学園高校3年時のインターハイでシングルス・ダブルス・団体の3冠を達成。1989年、高校卒業と同時にプロテニスプレーヤーに転向した。1990年、全豪でグランドスラム初のベスト16入り。1993年には全米オープンベスト8に進出。1994年のNSWオープン(シドニー)では海外ツアー初優勝後、日本人選手として初めてWTAランキングトップ10入り(9位)を果たす。1996年11月、WTAランキング8位のまま引退した。2008年4月プロテニスプレーヤーとして「新たなる挑戦」を宣言し、37歳で11年半ぶりの現役に復帰。2017年9月12日のジャパンウイメンズオープンを最後に2度目の引退をした。その後、2018年に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に入学し、1年間の修士課程を修了。テニス解説やジュニア育成、テニスコート&スポーツスタジオやベーカリーストアのプロデュースなど、多方面で活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。