出版社内容情報
日本は全土が、世界でも類を見ないアメリカのための「基地国家」である。そこには平和憲法と??同盟という?盾が同居しているが、本書は朝鮮戦争を機にアメリカ軍の駐留を日本政府および国民が望むに至った過程に迫る。
内容説明
1953年1月31日当時、日本国内733ヵ所に米軍基地が展開していた。朝鮮戦争の「前線基地」であり「生産基地」や「後方基地」としても戦争に参画した日本。日本政府、旧軍人、右翼、左翼、学者、ジャーナリスト、マスコミ、そして大衆は、米軍基地とどう向き合ったのか?
目次
序章 「日本=基地国家」論の提起
第1章 朝鮮戦争直前、東アジア冷戦の中の日本―冷戦の前線
第2章 朝鮮戦争の勃発と日本―「基地国家」の誕生
第3章 特別需要の発生―「生産基地」日本
第4章 日本の戦争協力―「基地国家」の戦争と外交
第5章 再武装論の登場―「普通の国」論の源流
第6章 武装闘争の失敗―「基地国家」における革命と戦争
第7章 「戦後平和主義」―「基地国家」における平和論
第8章 朝鮮戦争の勃発と日本国民―「基地国家」の選択
終章 「基地国家」の誕生とその含意
補論 朝鮮半島休戦体制解体の中の「基地国家」日本
著者等紹介
市村繁和[イチムラシゲカズ]
翻訳家、独立研究者。主な関心領域は、近現代東アジア交流史ならびに日韓の社会文化交流。韓国外国語大学国際地域大学院韓国学科にて博士学位(韓国学「韓国社会・文化専攻」)を取得した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
120
独立回復後の国家像を巡り、戦前並みの国防国家を目指す右翼や旧軍部の勢力は根強かったが、彼らに弾圧された経験を持つ吉田首相は軽武装国家を望んだ。そこに朝鮮戦争が起きると、吉田は基地存続で国防を事実上米軍に委ねて軍の代わりとし、憲法が掲げる平和国家を空洞化させた「基地国家」として再出発させた。一方で米軍の後方基地となった日本を攪乱すべく、ソ連は共産党を武装蜂起させたが失敗した。いわば吉田は反共を掲げて右派の再軍備論を抑え、左派は共産党の暴走で支持者を失望させ、国民には特需を与える三兎を追う策を成功させたのだ。2024/03/19
takao
3
ふむ2024/01/29