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日本奇術の演目について
日本奇術の多くは中国から伝わったが、それが長い年月を経て、日本の文化に溶け込む形で変容していった。そして天下泰平の江戸時代を迎え、文化の爛熟期となる元禄期(一六八八~一七〇四)頃から数々の手品伝授本が発行され、それを元に庶民が余興としての手品を楽しむ時代を迎えた。また職業奇術師は大道から寄席、小屋へと活動の場を広げていった。特に江戸後期には、手品、軽業、曲独楽の名人が数多く輩出し、最盛期を迎えた。人が集まる寺社界隈や大橋のたもとには多くの見世物小屋が立ち並び、人々は競うようにこれらの芸能を楽しんだ。なかでも、歌舞伎や浄瑠璃から題材を得て構成された「芝居仕立ての奇術劇」は、特に人気が高かった。このようにして、日本の手品は世界に類をみない独自の発展を遂げたのである。
江戸時代に発行された手品伝授本は約二一○種である。これらの伝授本に記された演目数を合計すると、その数は数千種に及ぶ。ところが、この中には現在は手品に分類されない秘伝ものやまじない、生活の智恵、遊びなどが数多く含まれており、また内容も時代が下がるにつれて次々と孫引きされていった。そこで重複する演目を整理し、さらに職業奇術師の興行演目を加えると江戸時代の日本奇術は数百種にものぼる。
本書では、江戸時代から令和時代までの日本手品など一〇五四種を現象別、素材別、仕掛け別、年代別等に二○項目に分類し、そのうち六五一種を図説、残りの四〇三種は原文の翻刻を載せた。この中にはプロが演じる高度なものから、庶民が余興として演じるものまで含まれている。これらによって先人が構築した日本手品の全容を知ることができるといえよう。
なお、図説には、図版とその出典、原文の翻刻、現代語訳、手品の現象と方法、演じ方、関連の古記録、初出の伝授本、同演目所載の伝授本、西洋手品との比較、現代の方法などを記載した。
日本奇術演目一覧
第一章 大手妻・奇術劇(28種)
1.呑馬術(どんばじゅつ) / 2.剣(つるぎ)の刃渡り(はわたり) / 3.行燈渡り(あんどんわたり) / 4.天空の琴 / 5.怪談手品 / 6.金魚うつし / 7.鶏卵抜け(けいらんぬけ) / 8.葛籠抜け(つづらぬけ) / 9.子ども釜抜け / 10.長櫃抜け(ながびつぬけ) / 11.水がらくり桶ぬけ / 12.妖怪人形手品の曲 / 13.狐(きつね)の化(ばか)され / 14.文福茶釜(ぶんぷくちゃがま)の曲(きょく) / 15.龍宮浦島(りゅうぐううらしま)の曲(きょく) / 16.天竺徳兵衛妖術(てんじくとくべえようじゅつ)の曲(きょく) / 17.和唐内虎狩(わとうないとらがり) / 18.ろくろ首 / 19.胴切り / 20.化け猫早替わり / 21.骸骨踊り / 22.宙乗り早替わり / 23.千本傘(傘づくし) / 24.長竹の曲 / 25.早替わり / 26.水渡(みずわた)りの術(じゅつ) / 27.人形を遣いながら水に入る術 / 28.龍宮玉取(りゅうぐうたまとり)の曲(きょく) /
第二章 水からくり・水芸(22種)
29.龍泓玉(りゅうこうぎょく) / 30.臥龍竹(がりょうちく) / 31.異龍竹(いりょうちく) / 32.錦龍水(きんりょうすい) / 33.春告鳥(しゅんこくちょう)の宝寿酒 / 34.町家に滝を作る術 / 35.万年銚子の秘伝 / 36.座敷にかけいを作る法 / 37.傘より雨を降らす術 / 38.徳利より水を吹き上げる術 / 39.コンスト ホンテイン / 40.蝋燭(ろうそく)、水からくり / 41.満干(みちひ)の玉(たま) / 42.扇水からくり / 43.煙管(きせる)水からくり / 44.曲独楽(きょくごま)水からくり / 45.茶碗水上げ / 46.井桁(いげた)水からくり / 47.手のうちより水からくり / 48.頭から水からくり / 49.若狭(わかさ)の通(かよ)い水からくり / 50.噴水渡り / 水芸の継承 / A.水大からくり / B.田中儀右衛門(たなかぎえもん)(田中久重(ひさしげ)) / C.養老瀧翁斎(ようろうたきおうさい) / D.敷楽斎(しきらくさい) / E.吉田菊丸 / F.吉田菊丸 / G.音羽龍寿斎(おとわたきじゅさい) / H.中村一登久(なかむらいちとく) / I.松旭斎天(しょうきょくさいてん)一座 / J.松旭斎天一座 / K.松旭斎天一一行 / L.小天一(こてんいち)一座 / M.松旭斎天雷(てんらい) / N.二代目吉田菊五郎(よしだきくごろう) / O.三代目吉田菊五郎一座 / P.松旭斎高天勝(てんかつ)一座 / Q.松旭高天洋(てんよう)一座 / R.高松虹天(たかまつこうてん)一行 / S.有田洋行(ありたようこう)一座 / T.映画「滝の白糸」 / U.花柳寿山(はなやぎじゅざん) / V.二代目松旭斎天勝 / W.和妻保存会(日本奇術協会) /
第三章 胡蝶の舞・ヒョコ(19種)
51.紙胡蝶飛 / 52.紙胡蝶 / 53.扇に戯(たわむ)れ胡蝶(こちょう) / 54.扇に胡蝶 / 55.茶碗戯れ胡蝶 / 56.蝶の舞 / 57.胡蝶楽(こちょうがく) / 58.蝶を飛ばす法 / 59.胡蝶の舞 / 60.数多(あまた)の人形を踊らせる術 / 61.踊る紙人形 / 62.扇と踊る紙人形 / 63.座敷なぐさみ / 64.座敷、手からくり / 65.箸踊(はしおど)り / 66.蜘蛛(くも)の巣がらみ / 67.小鳥の餌ひろい / 68.一流新発明 お座敷手品 / 69.座敷一流活動手品 /
第四章宝箱・からくり箱(21種)
70.屏風箱(びょうぶばこ) / 71.緒小桶の曲(おごげのきょく) / 72.三味線箱 / 73.宝の手箱(日本せいろう) / 74.組み上げ蒸籠(せいろう) / 75.子持ち達磨(だるま) / 76.取り寄せ箱 / 77.五色の網を取り出す手品 / 78.引き出し箱 / 79.ふしぎ箪笥(だんす) / 80.女夫引出し(めおとひきだし) / 81.枕引き出し箱 / 82.浦島玉手箱 / 83.通い短冊箱(かよいたんざくばこ) / 84.お菊、皿うつし / 85.四方引き出し箱 / 86.からくり枡(ます) / 87.素麺(そうめん)取り出し鉢 / 88.鉢から素麺を出す手品 / 89.から鉢 / 90.大どんぶりよりいろいろの品を出す法 /
第五章 糸・紐・縄・帯・着物(18種)
91.通い玉(かよいだま) / 92.あやぎせる / 93.通い扇(かよいおうぎ)(扇の糸からくり) / 94.手のひらを通りぬける糸 / 95.天狗通し(てんぐとおし) / 96.神力の縄(しんりきのなわ) / 97.神変奇特の縄(しんぺんきとくのなわ) / 98.縄結び / 99.縄の結び解け / 100.縄抜き / 101.指抜き / 102.扇の銭(ぜに)はずし / 103.縄切り / 104.ひと続きの縄 / 105.藁(わら)人形を踊らす / 106.御幣立て(ごへいだて) / 107.揺れる帯 / 108.下着を上に着替える術 /
第六章 キセル・刀・銭・玉・豆(31種)
109.通いの離れギセル / 110.キセルの曲留(きょくどめ) / 111.キセルの追っかけ / 112.キセルの着物留 / 113.金輪の曲(かなわのきょく) / 114.懐中針(かいちゅうばり) / 115.懐中糸通しの術 / 116.太平守の太刀(たいへいまもりのたち) / 117.刀身箱(とうしんばこ) / 118.小刀(こがたな)の鞘(さや)を抜く法 / 119.茶釜の蓋(ちゃがまのふた) / 120.銭のすり込み / 121.袂(たもと)の銭の抜き取り / 122.銭を消す術 / 123.鏡を目に入れる術 / 124.通いの掘り銭(かよいのにぎりぜに) / 125.通いの銭(かよいのぜに) / 126.銭の抜き取り / 127.天狗のぬけ銭 / 128.天狗のもぎ銭 / 129.仕掛け鏡 / 130.扇のかなめ取り / 131.智恵の板(いた)(銭ぬき板) / 132.浮き銭(うきぜに) / 133.碁石、白黒の入れ替え / 134.お椀と玉(しな玉) / 135.玉の手業(たまのてわざ) / 136.天狗の豆かくし(小豆割り(あずきわり)) / 137.大豆の品玉(だいずのしなだま)(小豆割り) / 138.玉を耳から出す手品 / 139.豆を目から出す手品 /
第七章 徳利・茶碗・算盤・楊枝・扇・紙(26種)
140.徳利つり(とっくりつり) / 141.こよりの徳利つり / 142.茶碗碁石とり / 143.数茶碗持ち上げ / 144.相生茶碗(あいおいちゃわん)(夫婦茶碗) / 145.たもと茶碗 / 146.算盤(そろばん)を動かす法 / 147.算盤玉を動かす法 / 148.巻き上がる掛軸 / 149.楊枝の曲(ようにのきょく) / 150.扇の墨消し / 151.扇の曲 / 152.銭一貫文を紙で釣る(ぜにいっかんでかみをつる) / 153.燃やした紙の復活(福紙(ふくのかみ)) / 154.紙を長くつなぐ術 / 155.比翼包み(ひよくつづみ) / 156.五色染め分けの術 / 157.箸折り / 158.文字千枚通し / 159.継ぎ目なしの紙 / 160.投げ御幣(ごへい) / 161.白糸の滝 / 162.落花(らっか)(紙吹雪) / 163.御幣のお告げ / 164.天女の舞 / 165.屏風の中で逆立ち /
第八章 蝋燭・火(27種)
166.蝋燭(ろうそく)の宙吊り(薬品) / 167.蝋燭の宙吊り(ガマの油) / 168.蝋燭の宙吊り(糸) / 169.蝋燭の宙吊り(糸・針) / 170.蝋燭の宙吊り(針金) / 171.ひとりでに灯る蝋燭 / 172.ひとりでに灯(ともる)る行燈(あんどん) / 173.提灯(ちょうちん)、火うつしの術 / 174.水中吊り灯籠(とうろう) / 175.再び灯る蝋燭の火 / 176.蝋燭の火移し / 177.水火の術 / 178.水中灯火 / 179.水中で消えない火 / 180.燃やしても焦げない布 / 181.燃えない紙の術 / 182.燃える濡れ手ぬぐい / 183.炭火釣り / 184.火中神奇(かちゅうしんき)の糸 / 185.青火炎 / 186.紙花火 / 187.キセル花火 / 188.伽即席提灯製作法 / 189.火焔(かえん)蝋燭とんぼ返り / 190.火吹き達磨(だるま) / 191.忍びあんどん / 192.幽霊行燈(ゆうれいあんどん) /
第九章 水・酒・卵・豆腐・食べ物(32種)
193.天の水を取る / 194.五色(ごしき)の水 / 195.茶釜の湯気(ゆげ) / 196.水を赤くする法 / 197.水入り茶碗の紙抜き / 198.茶碗、手ぬぐい包み / 199.水を氷に変える術 / 200.茶碗つり水 / 201.茶碗水氷 / 202.水入り茶碗の懐中法 / 203.茶碗呼び水 / 204.ざる水盛り / 205.碁盤水盛り / 206.酒山盛り / 207.酒切り / 208.風呂敷に酒を包む法 / 209.酒を多く飲む秘伝 / 210.狸(たぬき)に酒を買いに行かせる法 / 211.白身と黄身の入れ替え卵2 / 212.卵立て / 213.紙たまご / 214.空中へ昇る卵 / 215.卵が煙になる法 / 216.豆腐切り、 / 217.豆腐の上で独楽(こま)を廻す法 / 218.泡の上で独楽を廻す法 / 219.紙を栗にする手品 / 220.お化け大豆 / 221.小豆と栗の入れ替え / 222.茶碗通いの米 / 223.米、小豆、水の三段返し / 224.紙うどん /
第十章 鳥・魚・魚・虫(31種)
225.雀の首切り / 226.紙を燃やして雀にする術 / 227.卵、雀となる術 / 228.雀出し(すずめだし) / 229.鷺出し(さぎだし) / 230.絵、雀になる術 / 231.鴨、籠より出る術 / 232.柿栗、鳩となる術 / 233.卵を親にする術 / 234.卵、おのれと動く術 / 235.瓢箪(ひょうたん)、おのれと動く術 / 236.飛び上がる御幣(ごへい) / 237.笹の葉、泥鰌(どじょう)になる / 238.白紙、泥鰌となる / 239.空中魚釣り / 240.懷中金魚缽 / 241.熱湯の中の金魚 / 242.盃洗(はいせん)に金魚の出現 / 243.鯉出しの法 / 244.紙で作った魚を動かす法 / 245.天昇龍(てんしょうりゅう) / 246.木製の鳥、水中を泳ぐ法 / 247.風なしで舟を動かす法 / 248.紙の亀、ひとり歩かす術 / 249.紙の舟、ひとり歩かす術 / 250.盃(さかずき)を歩かす術 / 251.亀の二つ切り / 252.座敷蛍 / 253.竹筒の蛍 / 254.雪の夜の蛍 / 255.豆が蠅(はえ)を捕まえる法 /
第十一章 植物・月・雪・雨・風・自然(21種)
256.植瓜術(しょっかじゅつ)(マンゴー樹の行術) / 257.種蒔箱(たねまきばこ) / 258.種を植えて即座に双葉にする法 / 259.生け花に露の玉を出現させる法 / 260.時雨の露落とし(しぐれのつゆおとし) / 261.夏に雪を降らす法 / 262.夏、築山に雪を降らす法 / 263.庭を雪景色にする法 / 264.縁側(えんがわ)に雪を降らす法 / 265.障子の中から雪を降らせる法 / 266.座敷に月日を出す法 / 267.闇夜に月を出す法 / 268.座敷に三日月を現す法 / 269.座敷の中に満月を出す法 / 270.座敷を大海にする法 / 271.座敷を大海にする術(果心幻術)(かしんげんじゅつ) / 272.黒雲を発生させる法 / 273.座敷に大雷、大雨、大風を起こす法 / 274.てりふり人形 / 275.虹を出現させる法 / 276.帆かけ舟を走らす法 /
第十二章 音・音楽・声(26種)
277.念仏に応える鉦(かね)の音 / 278.ひとりでに鳴る鉦の音 / 279.寝ている人を遠くの方から起こす法 / 280.ひとりでに鳴る三味線 / 281.ひとりでに鳴る鼓(つづみ) / 282.さかやき、額、肘、尻で笛を吹く法 / 283.遠く近くに聞こえる音の不思議 / 284.八人音曲(おんぎょく) / 285.こわ色の使い方 / 286.遠方から聞こえるような声の出し方 / 287.風の音の響き / 288.障子(しょうじ)に風の響き / 289.遠く近く、声の出し方 / 290.川の流れの音 / 291.遠くから三味線の音 / 292.卵で三味線弾き / 293.さつまいも笛 / 294.屏風(びょうぶ)の中から聞こえる雲雀(ひばり)の鳴き声 / 295.屏風の中から聞こえる怪しい音 / 296.屏風の中から聞こえる時計と鐘(かね)の音 / 297.屏風の中で音楽を鳴らすからくり / 298.家鳴り(やなり) / 299.袂(たもと)の中でポピンの音 / 300.風呂敷の中で蛙の声 / 301.櫛で奏でるひちりきの音 / 302.人に知られない話の仕方 /
第十三章 当てもの・カルタ・パズル(47種)
303.初製目付字(しょせいめつけもじ) / 304.椿の目付字(六四文字) / 305.椿の目付字(二一文字) / 306.桜の目付字 / 307.六十四花の当てもの / 308.十二支射覆(ししゃふく) / 309.心の当てもの(二五種) / 310.絵合わせ(えあわせ) / 311.心の当てもの(一五種) / 312.名香(めいこう)の当てもの / 313.心の文字当て / 314.三社(さんじゃ)の当てもの / 315.焼き御幣(ごへい)、三社の当てもの / 316.天地人、箱の当てもの / 317.竹籤(たけくじ)と札の一致 / 318.カルタ当て / 319.歌カルタの予言 / 320.歌カルタ当てもの秘伝 / 321.文字合わせ / 322.カルタの女夫(めおと)合わせ(文字合わせ) / 323.懐中文字当て / 324.へそに字をよませる法 / 325.文字の嗅ぎ当て / 326.算盤(そろばん)の当てもの / 327.銭(ぜに)の嗅ぎ当て / 328.鼓の音の他心通(つづみのおとのたしんつう) / 329.箱の中の物当て / 330.箱の中の品物を当てる手品 / 331.干支の神通力(えとのじんつうりき) / 332.亀の当てもの / 333.石の当てもの / 334.サイコロの目の合計数当て / 335.隠し人形の当てもの / 336.屏風の中の千里眼(せんりがん) / 337.左右のある方を当てる法 / 338.碁石人数割りの法 / 339.碁石並べの数当て / 340.心に思った石当て / 341.碁石握りの数当て / 342.銭の枚数当て / 343.人の干支(えと)当て / 344.四つ手智恵(ちえ)の輪 / 345.輪の抜き取り / 346.新法智恵の輪 / 347.裁ち合わせ(たちあわせ) / 348.智恵の板 / 349.魔方陣 /
第十四章 科学・化学・物理・文字・絵(63種)
350.阿蘭陀(おらんだ)エレキテル / 351.扇の指南人形 / 352.踊る立雛(たちびな) / 353.鉄の蛇、蛙、なめくじの戦い / 354.キセルを自由自在に廻す法 / 355.紙人形、水上を歩かせる術 / 356.人形に舟をこがせる法 / 357.五色の砂の曲(ごしきのすなのきょく) / 358.鉢の中より雲龍(うんりゅう)を現す術 / 359.作り物の龍を動かす術 / 360.天狗石(てんぐいし)の術 / 361.火中より折り鶴を出す術 / 362.座敷に現れる夜光の玉 / 363.座敷に現れる光る玉 / 364.座敷に現れる人魂(ひとだま) / 365.障子に人の顔を現す法 / 366.障子に現れる幽霊 / 367.青白い狐火 / 368.狐火の出現 / 369.ビードロの臥龍竹(がりゅうちく) / 370.天人眼鏡(てんにんめがね) / 371.五色眼鏡(ごしきめがね)で見る化け物行列 / 372.暗闇で明かりを照らす法 / 373.絵の人物が矢を射る法 / 374.灯心を生き物のように動かす法 / 375.茶碗の底の銭 / 376.水吸い込み茶碗 / 377.水入り茶碗の逆さ法 / 378.箸がひとりでに動く法 / 379.紙玉の感触 / 380.紙の力くらべ / 381.棒切り / 382.迎竹切りの術 / 383.曽我五郎と朝比奈三郎、鎧の草摺引き(よろいのくさずりびき) / 384.這(は)っていく人を引き止められない法 / 385.腹の上に重い物を載せる法 / 386.自動開閉障子 / 387.浮き文字(イカの甲) / 388.浮き文字(明礬(みょうばん)・小豆(あずき)・黄檗(おうばく)) / 389.浮き文字(タバコ) / 390.隠し文 / 391.絵を他の絵に変える術 / 392.腕に絵を現す術 / 393.腕に浮き出る文字 / 394.墨なしで壁に大きな文字を現す法 / 395.掛け軸の絵を空中に飛ばす法 / 396.あぶり出し / 397.忍び文 / 398.鍋墨絵 / 399.墨文字 / 400.水絵 / 401.小野小町双紙洗いの法(おののこまちそうしあらいのほう) / 402.鮑貝(あわびかい)文字 / 403.卵文字 / 404.吹き出し文字 / 405.煙文字 / 406.煙草(たばこ)の煙で文字を書く法 / 407.煙草の煙文字 / 408.石文字が落ちない法 / 409.闇夜に文字を現す法 / 410.墨ながし / 411.阿蘭陀油絵の法 / 412.絵の写し方 /
第十五章 法術・危険術(27種)
413.火渡り / 414.探湯(くかたち)(熱湯術) / 415.釜鳴り(かまなり) / 416.棒寄せ / 417.棒縛り / 418.キセル呑み / 419.脇差(わきざし)を呑む術 / 420.小刀(こがたな)を呑む術 / 421.剣呑み(つるぎのみ) / 422.棒呑み / 423.六尺の棒呑み / 424.小刀を目にいれる手品 / 425.鉄火にぎりの術(小まくら) / 426.鉄火にぎりの術(塩) / 427.鉄火にぎりの術(呪文) / 428.八寸釘を舌に通す術 / 429.紙縒り(こより)を舌に通す術 / 430.針呑み / 431.鉄火箸曲げ(てっかばしまげ) / 432.火箸を捻る(ねじる)術 / 433.鍋かじり / 434.吐炎術(とえんじゅつ) / 435.火喰い術 / 436.口中火炎術 / 437.指先に灯る炎 / 438.口中蝋燭 / 439.大水飲み /
第十六章 釣り物・積み物秘伝(39種)
440.絹糸で釜を釣る法 / 441.麻糸でひき臼や大石を釣る法 / 442.灯心で大石を釣る法 / 443.提灯、釣鐘(つりがね)の釣り分け / 444.灯心ですり鉢を釣る法 / 445.即席花生けの作り方 / 446.積みたまご / 447.刃先きに卵積み上げ / 448.楊枝の先に卵積み上げ / 449.丸竹の上に卵を立てる法 / 450.卵と霧積み上げ / 451.卵十個積み上げ / 452.卵と茶碗積み上げ / 453.積み銭の刃渡り / 454.刀の刃に銭を積む法 / 455.キセルの先に銭を積む法 / 456.キセルつり茶碗 / 457.小皿をキセルに付ける法丹 / 458.扇つり茶碗 / 459.御祓いづり / 460.柱つり茶碗 / 461.茶碗積み上げ / 462.連理の茶碗 / 463.手のひらに吸い付く徳利 / 464.割竹に石臼を付ける法 / 465.卵の上に分銅を載せる法 / 466.提灯に石を載せる法 / 467.土人形の頭に石臼を載せる法 / 468.ダルマの綱渡り / 469.包丁の先に茶碗を載せる法 / 470.刀身の皿留め / 471.生け花の葉に植木鉢を載せる法 / 472.包丁の砂留め(すなどめ) / 473.刀身の葉留め(はどめ) / 474.花の葉留め / 475.大石を水に浮かす法(軽石) / 476.大石を水に浮かす法(ビードロ) / 477.一本の木に異なる色の花を咲かす / 478.水画(みずえ) / 釣り物・積み物秘伝史料 / 丹生(にう)茶わん祭 /
第十七章 からくり(27種)
479.玉子ひよこと成、ひよこ雞となる / 480.陸舩車(りくせんしゃ) / 481.唐人、笛吹からくり / 482.いろは人形のからくり / 483.人形はなれて向へ行、又はたらくからくり / 484.太鼓のからくり / 485.道成寺(どうじょうじ) / 486.小かぢのからくり / 487.天鼓(てんこ)のからくり / 488.人形、吹矢をふくからくり / 489.鳩、鉢の子に入、仏となるからくり / 490.蟻通玉(ぎつうぎょく)のからくり / 491.茶釜の水、茶となるからくり / 492.天神記僧正の車の術 / 493.人形、犬に乗からくり / 494.人形、三味線ひくからくり / 495.百挺からうすのからくり / 496.人形、人にかくさせ、人形が占うからくり / 497.五寸の箱の中へ人形遣いながら入からくり / 498.曲ごま / 499.首引人形 / 500.人形、文字書からくり / 501.三本の扇の内、人の取たるを占う / 502.三段がえり、かるわざ人形 / 503.品玉人形 / 504.茶運び人形 / 505.弓曳童子(ゆみひきどうじ) /
第十八章 曲独楽・影絵・妖怪手品・遊び(48種)
506.南京玉すだれ / 507.曲芸 / 508.曲独楽(きょくごま) / 509.曲毬(きょくまり) / 510.手妻人形 / 511.廻り灯籠(どうろう) / 512.幽魂霊鬼(ゆうこんれいき)を現す術 / 513.座敷に大入道を現す法 / 514.影絵 / 515.ひとりの影を三人に映す法 / 516.化け物ろうそく / 517.鏡影絵 / 518.紋切り / 519.三間紙梯子(さんげんかみばしご) / 520.記憶術 / 521.いろは式記憶術 / 522.座敷に髑髏(どくろ)を現す法 / 523.座敷にろくろ首を出す法 / 524.小穴から大きな化け物を出す術 / 525.狸の七化け / 526.大入道 / 527.高入道 / 528.行燈(あんどん)の化け物 / 529.座敷に現れる化け物(白浴衣・銭・櫛) / 530.座敷に現れる化け物(白襦袢(じゅばん)・はな紙) / 531.三つ目妖怪の術 / 532.摩醯首羅王三目の術(まけいしゅらおうさんもくのじゅつ) / 533.火の玉を現す術 / 534.天井へ三日月を現す法 / 535.逆に歩く女の姿 / 536.座敷に大天狗(てんぐ)を現す術 / 537.座敷に天狗を呼ぶ法 / 538.狸が化けるわけ / 539.鳳凰(ほうおう)の出現 / 540.座敷に狐(きつね)を呼び出す法 / 541.人の鼻を天狗にする法 / 542.竹蛇(たけへび) / 543.猪口(ちょこ)・箸(はし)見立て十二ヵ月 / 544.酒宴(しゅえん)すくい拳玉 / 545.車さかずき酒宴興(しゅえんきょう) / 546.酒宴香(しゅえんこう)の作り方 / 547.三本足の怪 / 548.屏風の中から天神さん / 549.扇飛ばし / 550.羽扇の足くぐり / 551.三本扇の造形遊び / 552.耳鼻輪外し / 553.尻の穴から煙を出す法 /
第十九章 秘法・まじない・生活の知恵(462種)
554.脚焼くと起き上がる紙人形 / 555.熊の黒焼きの法 / 556.たまご細工 / 557.豆腐細工 / 558.大根輪違い切り / 559.大根細工 / 560.竹の輪違い切り / 561.竹細工 / 562.長芋を結ぶ法 / 563.麦を泥鰌(どじょう)にする法 / 564.紙なべ / 565.箱なべ / 566.酒中花の作り方 / 567.大輪の朝顔 / 568.朝顔に模様を描く法 / 569.真昼の朝顔 / 570.花を見事に咲かせる法 / 571.果物鈴なりの法 / 572.竹を呼び込む法 / 573.百発百中弓の秘伝(じまん弓) / 574.天狗飛びきりの術 / 575.水中息つぎの法(小竹) / 576.水中息つぎの法(長竹) / 577.力が出る法 / 578.瀬戸物切り / 579.瓶の中へ手まりを入れる法 / 580.紙茶碗 / 581.人の顔を長く見せる法 / 582.肌の色を白くする法 / 583.人を寝ぼけさせる法 / 584.刺青(いれずみ)の法 / 585.刺青、いぼ、ほくろを取る法 / 586.女性を困らせる法 / 587.人に屁をこかせる法 / 588.大食いしても腹の張らない法 / 589.嫌な人を早く帰す法 / 590.眼鏡のくもりを取る法 / 591.金持ちになる法 / 592.鼠を南京鼠にする法 / 593.鳶(とび)を生け捕りにする法 / 594.鼠を集める法 / 595.猫を呼び寄せる法 / 596.座敷に虫を集める法 / 597.蛙の鳴き声を止める術 / 598.犬が吠えるのを止める法 / 599.蝋燭の蝋が垂れない法 / 600.行燈の火を消す法 / 601.熱湯に入っても熱くない術 / 602.逃げた人を呼び戻す法 / 603.待ち人を呼び寄せる法 / 604.声なしで人を呼ぶ法 / 605.声をかけずに人を呼ぶ法 / 606.思うことを夢に見る法 / 607.縁結びのまじない / 608.女をたぶらかす法 / 609.反魂香(はんごんこう) / 610.災難よけのまじない / 611.天候占い / 612.千載暦(せんさいれき) / 613-624.【メッキ・金属】 / 625-634.【染色】 / 635-646.【染料・薬品製造】 / 647-679.【健康・美容] / 680-744.【治療】 / 745-814.【調理】 / 815-853.【まじない】 / 854-986.【生活の智恵】 / 987-1015.【植物】 /
第二十章 幕末以降の創作日本手品(39種)
1016.地獄の奇術くらべ / 1017.茶碗からくり / 1018.両方へ抜ける引き出し / 1019.一盃すい筒(いっぱいすいつつ) / 1020.むそう扇(色変わり扇子) / 1021.乱れ扇(バラバラ扇子) / 1022.サムタイ(柱抜き) / 1023.壺抜け / 1024.壺抜け(別法) / 1025.空中吊り大籠 / 1026.連理(れんり)の紙 / 1027.若狭の水(若狭の通い水) / 1028.提灯(ちょうちん)取り出し鉢 / 1029.夕涼み(ゆうすずみ) / 1030.一里四方物品取り寄せ術(稲荷魔術) / 1031.成金扇子 / 1032.帯返し / 1033.紙の箸折り / 1034.跳び上がる箸 / 1035.丸めた紙の消失(眉つば) / 1036.ちぎった紙テープの復活 / 1037.コックリさん / 1038.米と水 / 1039.お米の消失 / 1040.口中紡績 / 1041.玉子茶碗(たまごと花吹雪) / 1042.真田紐の焼きつぎ / 1043.袖たまご / 1044.比翼の竹(ひよくのたけ) / 1045.如意独楽(にょいごま) / 1046.末広 / 1047.泥鰌すくい / 1048.福助 / 1049.浪曲奇術 / 1050.落語手品 / 1051.和傘のプロダクション / 1052.ドラゴン・イリュージョン / 1053.ファン・マジック / 1054.藤山大樹の七変化 /
※「日本奇術演目図説」で使用した図版は、所蔵先を明記したもの以外は、すべて河合勝コレクションである。
神仙戯術(しんせんげじゅつ)
本書は元禄九年(一六九六)に発行された日本最古とされる奇術書である。小型横綴じの一三丁の本で、この中に二○種を収録する。初めに著者である陳眉公(ちんびこう)の原文をあげ、次に馬場信武(ばばのぶたけ)による和訳が添えられている。陳眉公は中国・明時代の文人画の大家・陳継儒(ちんけいじゅ)(一五五八 - 一六三九)のことである。また、馬場信武は京都の漢学者で、易占いに詳しく、古典と兵学にも長じた人である。
ところが二〇一六年一月一日、中国の魔幻(まげん)先生からのメールで、「正徳庚午(一五一〇年)刊行の碧雲散仙(へきうんさんせん)著『神仙戯術上・下』の初版本を発見した」という報告を受けた。添付された多くの図版から、日本の『神仙戯術』は、これを底本にしていることが確認された。
二〇種のうち手品らしきものは九種で、その他は秘法や生活の智恵である。「吹紙鶏子(紙ヲ吹イテ鶏子トス)」は、玉子の形に切った紙を口の中に入れ、それを取り出して息を吹き込むと卵になるという奇術。「滾地葫芦(こんちころ)」は、瓢箪(ひょうたん)が自然に動きだす奇術である。
このように、内容を手品、秘法、生活の智恵などで構成する形式は、その後に発行された伝授本の見本になったと考えられる。
10.碁石之曲、鶯の谷渡り
11.郭エ物音上越
12.【茶碗を手拭に付ける伝](169貞)
13.玉子左之眼江入、右之眼より出ス伝
14.水鉢に桜花即座に浮かへ
15.手改め、白紙雪のもミけし
16.煙管吸口より水吹上ル伝(54頁)
17.種蒔箱(271頁)
18.魚うつしの伝
19.手桶に水を入壱枚の白紙にてつり上ル(176頁)
20.霊符の見通し
21.銭三文目へ入ル伝(145頁)
22.極秘かよひの銭
23.赤はだかにて屏風江入、鉢に水取よセ、金魚入持出る伝
24.夜、屏風より火玉光り物出ス伝
25.神伝釼の刃渡り法
26.女におもわるゝ法
神仙戯術
【現代語訳】
これは煙を瓢箪に吸い取らせる方法である。煙は雲に似ているから白雲といい、瓢箪を洞穴にたとえている。雲は洞穴から出て洞穴に入るものである。
「鉄匠家ノ磨刀槽底ノ水」とは、刀鍛治が打ち上がった刀を研ぐのに用いる桶の底に溜まった水のことである。これを取り出し、夜間に干して乾かした後、香炉の中で燃やす。「予メ先ッ小葫芦一箇ヲ討テ孔竅ヲ開キ穰ヲ取リ去ル」とは、燃やすのに先立って小さい瓢箪を一つ用意し、頭部を切り取って、中の種をきれいに取り出すことである。次に、小さくて強力な磁石一個を生漆で瓢箪内部の底に接着する。この瓢箪を逆さまにして香炉の上に持っていくと、立ち昇っている煙が糸のようになって、瓢箪の中に全部吸い込まれていく。
目次
まえがき
日本奇術演目図説
日本奇術の演目について
日本奇術演目一覧
・第一章 大手妻・奇術劇(28種)
・第二章 水からくり・水芸(32種)
・第三章 胡蝶の舞・ヒョコ(19種)
・第四章 宝箱・からくり箱(21種)
・第五章 糸・紐・縄・帯・着物(18種)
・第六章 キセル・刀・銭・玉・豆(31種)
・第七章 徳利・茶碗・算盤・楊枝・扇・紙(26種)
・第八章 蝋燭・火(27種)
・第九章 水・酒・卵・豆腐・食べ物(32種)
・第十章 鳥・魚・亀・虫(31種)
・第十一章 植物・月・雪・雨・風・自然(21種)
・第十二章 音・音楽・声(21種)
・第十三章 当てもの・カルタ・パズル(47種)
・第十四章 科学・化学・物理・文字・絵(63種)
・第十五章 法術・危険術(27種)
・第十六章 釣り物・積み物秘伝(39種)
・第十七章 からくり(27種)
・第十八章 曲独楽・影絵・妖怪手品・遊び(48種)
・第十九章 秘法・まじない・生活の知恵(462種)
【メッキ・金属】613/【染色】615/【染料・薬品製造】616/【健康・美容】619/【治療】624/【調理】633/【まじない】643/【生活の知恵】649/【植物】667
第二十章 幕末以降の創作日本手品(39種)
日本奇術演目概説
資料編
日本奇術書目録(江戸時代)
日本奇術所蔵載演目一覧
「神仙戯術」(図説・彫刻・現代語訳)
日本奇術用語集
小咄「むかしてじな劇場」
参考文献一覧
あとがき
著者プロフィール
河合勝(かわいまさる)
一九四五年愛知県蒲郡市生まれ。三重大学教育学部卒業。元愛知江南短期大学教授。公益社団法人日本奇術協会名誉会員。奇術史研究家。奇術史文献収集家。第5回FISMローザンヌ大会(スイス)に出演。著書に『保育に生かすマジック』(明治図書出版)、「日本奇術演目事典』(日本奇術博物館/第15回日本自費出版文化賞大賞受賞)、共著『日本奇術文化史』(東京堂出版/第27回日本奇術協会賞受賞)、共著『近代日本奇術文化史』(東京堂出版)、論文に「日本古典奇術『胡蝶の舞』について」などがある。
内容説明
江戸時代に発行された手品伝授本はおよそ210冊。そのうち1,054種の演目図説および翻刻を掲載。さらに日本最古の奇術書『神仙戯術』を全文掲載。
目次
日本奇術演目図説(日本奇術の演目について;日本奇術演目一覧;大手妻・奇術劇(28種)
水からくり・水芸(22種)
胡蝶の舞・ヒョコ(19種)
宝箱・からくり箱(21種)
糸・紐・縄・帯・着物(18種)
キセル・豆・銭・玉・豆(31種)
徳利・茶碗・算盤・楊枝・扇・紙(26種)
蝋燭・火(27種) ほか)
資料編
小咄「むかしてじな劇場」
著者等紹介
河合勝[カワイマサル]
1945年愛知県蒲郡市生まれ。三重大学教育学部卒業。元愛知江南短期大学教授。公益社団法人日本奇術協会名誉会員。奇術史研究家。奇術史文献収集家。第15回FISMローザンヌ大会(スイス)に出演。著書に『日本奇術演目事典』(日本奇術博物館/第15回日本自費出版文化賞大賞受賞)、共著『日本奇術文化史』(東京堂出版/第27回日本奇術協会賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。