内容説明
ハンガリーの学者アルバッド・サボーは1960年ころからギリシアの理論数学の形成に関して説得力ある論文を次々に発表し、いまやギリシア数学史、哲学史の碩学として広く知られている。緻密な文献学的手法と卓抜な史眼による議論の展開は、哲学史におけるエレア派の意義や数学におけるユークリッド幾何学の形成過程等に関する従来の常識を一変した。サボーの代表的論文四編と日本で行なった講演を収載した本書は、数学史・哲学史・科学史における画期的な名著である。
目次
1 数学の演繹的科学への変貌と定義・公理に基づく数学基礎づけの起源(数学的証明の発展・明証性の概念の発展;ギリシア数学の原理の起源)
2 思考のディアレクティークの歴史に寄せて(エレア派の理解に寄せて)
3 アナロギア
付録 数学的知識の歴史的成長