内容説明
一九二七年三月の深夜、厳寒のカナダはハリファクスのホテルで、写真家助手のピーターは雇い主の妻とベッドに横たわっていた。まもなく英国から鑑定人がやってくる―数カ月前の飛行機事故の現場写真は、犠牲となったエスキモーたちの霊魂が昇天していくさまを捉えていた。本物と認定されれば破産は免れる。撮影したのは雇い主ヴィエナ・リン。超自然現象に執心する富豪との契約により、心霊写真を撮るためだけに鉄道・飛行機事故を起こし続けてきたが…。科学の世紀の曙にふさわしい犯罪を重ねる写真家、十九世紀の心霊写真家を信奉するその妻、若き助手の三人をめぐる、謎めいた愛憎劇。
