内容説明
大戦のあいだ、ぼくらは一人のユダヤ人を「箱」のなかに隠していた―。語り手のぼく、十三歳のニキが盲腸炎で苦しんでいたとき、手術を施してくれたのがこのユダヤ人医師だった。命の恩人。その彼が収容所行きを逃れ、今度はぼくらに助けを求めてきた。父は一大決心の末、納屋の屋根裏に「箱」を設える。ユダヤ人は雲のひとかけらも見ることができなくなった。この日から、ぼくと、ぼくの幼なじみの少女ジギが、彼と外界をむすぶ唯一のパイプ役となる。二年以上にわたる極限状態を、人はいかにして生き延びるか?オーストリアの山間の村で、数多の秘密と緊迫のドラマが交錯する。
著者等紹介
モラン,トマス[モラン,トマス][Moran,Thomas]
ニューヨーク在住の編集者。ジャーナリストとしては、ニューヨークの服飾産業におけるマフィア支配についてのシリーズを手がけ、ピュリッツァー賞にノミネートされた。『箱のなかのユダヤ人』が長編小説第一作。ブック・オブ・ザ・マンスリー・クラブの選定を受けるなど注目を集め、The World That I Made For Her(1998)、Water,Carry Me(2000)、What Harry Saw(2002)と続けて発表された長編では、それぞれの舞台設定は全く異なるものの、いずれも個人の力の及ばない、時代や社会に翻弄される人物を、静かながら圧倒的な筆力で描き出している
小林理子[コバヤシアヤコ]
翻訳家
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感想・レビュー
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しろ
Borasisi
Borasisi
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
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