内容説明
今や至尊の冠を戴く存在となったラインハルトを襲う暗殺事件。各処で暗躍する“地球教団”の差し金と知り、ラインハルトは彼らの聖地たる地球に軍を派遣する。一方、悠々自適の退役生活を楽しむヤンも、己の周囲に監視網が巡らされていることに気づく。やがてある日、彼の元を黒服に身を包んだ男たちが訪れた。一度は平穏の時を迎えた銀河は、再び動乱に呑まれようとしていた。
著者等紹介
田中芳樹[タナカヨシキ]
1952年、熊本県生まれ。学習院大学大学院修了。78年「緑の草原に…」で幻影城新人賞受賞。88年『銀河英雄伝説』で第19回星雲賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カピバラKS
120
●本シリーズ前史の地球衰退、宇宙覇権国家黄金樹王朝の退廃、そして現代での宗教テロ、新進専制国家の内訌と老民主国家の機能不全を描く。人類史は重苦しくて陰惨だ。●国家レベルの話は暗いが、個人レベルでは明るい話もある。フレデリカの花嫁修行は微笑ましい。とはいえ、市井の平穏な生活は国家の不穏な動向に踏み潰されていく。●ところでヤンは30過ぎで年金生活が可能となった。ダメな民主国家とされる自由惑星連合だが、令和日本と比べ、わりと呑気に暮らせそうである。いいなあ。2024/07/24
ぶち
106
年金よ、さらば。あらあら、ほんの二カ月で働かずに食べていける年金生活が逃げていってしまいました。新妻はもちろん逃げていきませんでしたが、甘い新婚生活は軍艦の上で続きを....ということにはなりませんよね。新妻は花柄のエプロンから軍服に着替えてしまったし。それにしても、ヤンやラインハルトには、"平穏無事"とか"平時"とか、"のんびり"とかいう言葉に見放されていますよね。 さて、副題の"飛翔"は、ヤンとラインハルトのどちらにより似つかわしいのでしょうか?次巻で少し見えてくるのでしょうか.....2021/06/21
おかむー
93
ここから復路となる第六巻。『よくできました』。前巻で帝国vs同盟の戦争には決着がつき、ラインハルトは皇帝の座に、ヤン・ウェンリーは退役してフレデリカとの新婚生活。このまま物語はめでたし・・・とはいくわけもなく、ラインハルト暗殺未遂、地球教討伐、そしてレンネンカンプの暴走によりヤンに迫る危機と展開がとどまることはない。とはいえこの巻では謀略の比重が大きいため、シェーンコップの見せ場があるぐらいで、銀英伝の華ともいえる艦隊戦がないのである。まぁこの後まだ4巻あるので贅沢ではあるか2017/02/25
金吾
90
○この巻では、レベロは高潔な政治家も国家を背負ったと思った瞬間に自らには課すことのない犠牲を他の個人に美名をもって強要出来るようになる点、地球教は大多数の無名の信者は教団に利用され尽くす存在である点において印象的でした。2020/07/02
かえで
83
シリーズ6巻目。前巻でひと段落した物語は、早くも大きく動き始めます。ラインハルト暗殺未遂、地球教の本拠地である地球への潜入、そしてヤン・ウェンリー拘束..クライマックスに向けて様々な事柄が起こります。銀河英雄伝説は「架空の歴史譚」として書かれているので、「このときの選択を○○は後に悔いることになる」みたいな記述は結構出てくるのですが、そういうところが物語に更なる深みを与えています。次の巻ではさらに物語が動きそうです。楽しみです。2018/07/11