内容説明
古代兵器の暴走でロンドンが炎上して二年あまり、トムとヘスターは飛行船を飛ばしていた。だが北の氷原で移動都市アンカレジに拾われたことから、ふたりの運命は急転する。最終戦争で文明が荒廃した遥かな未来。移動しながら食ったり食われたりを繰り返す都市と、それに反撥する反移動都市同盟が争う奇怪な世界で生きる、トムとヘスターの冒険。星雲賞受賞の『移動都市』続編。
著者等紹介
安野玲[アンノレイ]
1963年生まれ。お茶の水女子大学卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
30
古代兵器の暴走でロンドンが炎上して二年あまり、トムとヘスターは飛行船を飛ばしていた。だが北の氷原で移動都市アンカレジに拾われたことから、ふたりの運命は急転する。最終戦争で文明が荒廃した遥かな未来。移動しながら食ったり食われたりを繰り返す都市と、それに反撥する反移動都市同盟が争う奇怪な世界で生きる、トムとヘスターの冒険。星雲賞受賞の『移動都市』続編。2022/06/06
イツキ
7
前作以上のスピード感と迫力があり読み応え抜群でした。複数の視点から描かれる物語が少しずつ一つに縒り合わされていく様が見事で作者の筆力と構成力の高さが感じられます。若さもあってか心が揺れ動いてしまうトムとそれに嫉妬して思いもよらない非道な行動に走ってしまうへスター、仕方ないとは思いますし共感もできますがこれ周りからしたらたまったものじゃないなとも思いました。2019/03/23
Masa
5
読了。『移動都市』を読んだのがだいぶ前で、ストーリーも登場人物も全然覚えていなくて読み直してから本作読みたかった。今回もすごく面白くて一気読み。ムカつく大人とトムとヘスターの心情。うーん、とても良い! 続きも読みたいなぁ。2024/04/27
こぐれ
4
前作・移動都市の続編。とある氷上都市が"アメリカ"を目指すがそこにトム達が不時着し、てんやわんやするお話。アルハンゲリクスやロストボーイなど"移動都市"で名前だけの登場で触れられなかった内容が中心になる。ヘスターの「変化」が前作の見所の一つだったが今作では「葛藤」が見物。ただ、次作が視野に入っているので、"掠奪都市"一冊では消化不良な感は否めない。"移動都市"にはやや劣るものの、アナの動向やヘスターの体調の変化など、大いに引っ張ってくれたため、"掠奪都市"の存在意義は大きい。2011/06/30
すけきよ
4
正直、深みは今ひとつで、意外な人間関係は別に驚きはないし、けっこうダメ男なトムや、様々に悩むヘスター、その他のキャラの心理描写をもっと掘り下げて欲しいけど、それを置いていって気にならないほど魅力的なのが、都市が都市を食べるという強烈なヴィジュアル、惜しげもなく出されるSFガジェットの数々。その世界に浸って、彼らを追うことで十分に満足。また、珍妙な解釈がされている遠未来の考古学も楽しい。2007/12/12