内容説明
時という、越えることのできない絶対的な壁。これに挑むことを夢見てタイム・トラヴェルというアイデアが現れて一世紀以上が過ぎた。時間SFはことのほかロマンスと相性がよく傑作秀作が数多く生まれている。本集にはこのジャンルの定番作家といえるフィニイ、ヤングらの心温まる恋の物語から作品の仕掛けに技巧を凝らした傑作まで名手たちの9編を収録。本邦初訳作3編を含む。
著者等紹介
中村融[ナカムラトオル]
1960年生まれ。中央大学法学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハイランド
117
誰もが思う、あの時こうしていれば、あちらを選択さえしていれば、今はもっと違ったものになっていたはずなのに。でも時間は無情に過去から未来へと一方向に進み続ける。だからこそ私たちはタイムマシンに儚き憧れをもつのでしょうか。広大なSF小説の世界の中で、タイムトリップ、そして恋愛要素を持つ短編を集めた一冊。難解なもの、最初からオチが予想できるもの、甘々小説に悲劇的結末。一口に時間旅行ものといってもテイストは様々で楽しめました。ヤングの「時が新しかったころ」の中編が目当てで読んだ本だがこれは長編のほうが好みだった。2015/09/13
佐々陽太朗(K.Tsubota)
94
談志師匠の落語に『二階ぞめき』というのがある。ある大店の若旦那のために屋敷の二階に吉原を造ってしまう噺。若旦那が番頭さんに訊きます。「二階に吉原なんて造れるの?」 番頭さん答えて「造れるでしょうそりゃあ、落語なんですから」――本書にはSF仕立てのロマンティックな短編が九編収められています。ある意味何でもありです。それはもうすごいことになっています。だってSFなんですから(笑) それだけに作者のこうあってほしいという思いが伝わってくるステキなお話です。ロバート・F・ヤングの『時が新しかったころ』の甘さに悶絶2012/08/30
ちはや@灯れ松明の火
77
円はどこで終わるの?どこから始まるの?もしも時を越えることができるならば。あなたのいない場所に流されていくか、あなたを探して時を遡るか、顧みる必要などない分岐点。痛みを感じても、他の何を失うことになっても。刻まれた真摯なことづて、色褪せた情熱的な台詞、昔と今の深淵に隔てられようとどこかで交わる平行線。ほしいものはたったひとつ、あなたと過ごす時間だけ。あの日あなたと出会ったから、いつかあなたに巡り逢うために、逆説と因果律で編まれた糸を辿る旅路。詫びるように響く別れのことばから、ふたりで生きる未来は始まる。 2016/07/23
Panzer Leader
73
「時が新しかった頃」「台詞指導」「時のいたみ」などが良かった。特に「時が...」はメカニカルなアクションシーンも盛り込まれていて映画ばえしそうな傑作。ハッピーエンドは少なめで切ないラストの物語も心に染み込む。ロマンチックな時間SFとの題名通り、その手の作品好きな自分には大満足の短編集でした。2016/01/16
sin
70
タイムトラベルはワインの味わいに似て*ここに年代や産地の違うボトルが何本が揃えてあります。そしてその味わいは時間という味方を得て格別なものに育って行く、まるでタイムトラベルを扱った小説のようではないでしょうか?その深みのある一杯にはロマンスを際立たせる力も在ります。しかしフルーティーな甘いそれではなく、時にきびしく味覚に訴えてくるのです。さあ、今宵あなたにこの一杯を、おやおやボトルを手にされましたね?酔いつぶれても知りませんよ2014/02/15
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