内容説明
一度は〈闇の者〉ジェレラクの手により地獄に堕とされた伝説の騎士、ディルヴィシュ。いま、彼はこの世のものならぬ漆黒の鋼の馬ブラックを伴い、ボータロイに甦った。彼を待ち受けるものは〈西の将〉ライリシュ、そして宿敵ジェレラクの要塞、氷の塔…。神話性をたたえた、異才ゼラズニイの代表的ヒロイック・ファンタジイ、ここに邦訳なる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニミッツクラス
29
88年(昭和63年)の530円の文庫初版。紙幅無いのでヨイショする。ゼラズニイでヒロイック・ファンタシイで天野氏のカバー絵面なら、そっち系苦手な人は最初から手を付けないよね。だが本書は存外面白い。連作短編集で、雑誌初出が掲載誌バラバラで不定期で15年近く費やした11編を収録。情景描写も黒丸訳も濃いが、艱難辛苦の復讐譚的重苦しさが無く、ある意味テキトーで主人公コンビは無双。やられっ放しのムーアのNWスミス物、裏切りのファーマーの階層宇宙物などより爽快。本書では敵討ちまでいかず、続きは長編となる。★★★★☆☆2023/07/12
スターライト
14
一度は地獄に堕とされたディルヴィシュが、その復讐をすべく愛馬ブラックとともに各地を放浪し、そこで遭遇する奇怪な出来事を綴る連作短篇集。ゼラズニイがこれほどヒロイック・ファンタシイ色の濃い作品を発表していることに驚き。しかしこれも彼が創造した神話とすれば、得心も行く。ブラックがただの馬ではなく鋼鉄でできており、人語を理解ししゃべれる設定が目を引く。読み応え抜群の傑作なのだが、唯一の不満は新刊書店で入手できないこと。いつか復刊してほしい傑作。2018/05/24
しまっち。
6
自分に呪いをかけ、二世紀以上もの間地獄に堕としめた〈闇の者〉ジュレラクへの復讐を誓った妖精族の騎士ディルヴィシュが、馬ならぬ馬の相棒ブラックと辿る壮絶な復讐の物語、であるはずなのだけど・・・。なんでしょう、このおかしみは。好奇心のままにあれこれ首を突っ込むディルヴィシュ、それをたしなめながらもしっかりガードしてくれるブラック。彼らの小気味よい掛け合い。「こんにちは」と挨拶するディルヴィシュ。漫才めいた会話。飄々としたのんきな旅の間のエピソード。ちょっと違うイメージのファンタジーなんだけど、妙に面白かった。2015/10/28
Smith, Ordinary. Person.
2
暗黒面に堕ちた魔術師により地獄に堕とされ、二百余年の後に復活した妖精の血を引く騎士。その名はディルヴィシュ。相棒であり愛馬であるブラックに乗り、大地を放浪するディルヴィシュは、はたして復讐を果たすことはできるのか――。2024/07/06
冬至楼均
1
作品ごとに微妙に色調が違って、それがまとまって深みをかもし出す。2015/01/19
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- 和書
- 青木世界観