出版社内容情報
少女の心とチタン製の身体を持つ
宇宙船ヘルヴァの活躍と成長
旧版の6編に、のちに書かれた短編2編を追加収録した
歴史的傑作の新訳完全版!
この世に生まれ出た彼女の頭脳は申し分ないものだった。だが身体のほうは、機械の助けなしには生きていけない状態だった。そこで〈中央諸世界〉は彼女に宇宙船の身体を与えた──優秀なサイボーグ宇宙船となった彼女は銀河を思うさま駆けめぐる。少女の心とチタン製の身体を持つ宇宙船ヘルヴァの活躍と成長を描く旧版の6編に、のちに書かれた短編2編を追加収録した、新訳完全版! 旧版解説=新藤克己/完全版解説=三村美衣
■目次
「船は歌った」
「船は悼んだ」
「船は殺した」
「劇的任務」
「船は欺いた」
「船はパートナーを得た」
「ハネムーン」
「船は還った」
内容説明
この世に生まれ出た彼女の頭脳は申し分ないものだった。だが身体のほうは、機械の助けなしには生きていけない状態だった。そこで“中央諸世界”は彼女に宇宙船の身体を与えた―優秀なサイボーグ宇宙船となった彼女は銀河を思うさま駆けめぐる。少女の心とチタン製の身体を持つ宇宙船ヘルヴァの活躍と成長を描く旧版の6編に、のちに書かれた短編2編を追加収録した、新訳完全版!
著者等紹介
嶋田洋一[シマダヨウイチ]
1956年生まれ。静岡大学人文学部卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ざるこ
39
人間の神経が接続された宇宙船というのがとても魅力的。サイボーグ化した身体が宇宙船の柱に納められ大宇宙を駆け巡る。同乗する「動ける」人間とパートナーを組み任務を遂行。船となるまでの費用は個人の負債とされ仕事を完遂することで返済するという俗な感じがまた面白いのだけど完済して自由船になることを目指すなど緻密な設定がよい。動く身体を欲しそうだけどヘルヴァは自分の意志で動く宇宙船に誇りを持っており必要ないという。意外だけどそこがいい。SF的戦闘も恋も別れもある。イメージはアニメ調だけど多様な人間性を堪能できた。2024/09/07
tom
23
ヘルヴァが産まれたとき、重度の障害が見つかった。両親は生かせるか死なせるかの選択を迫られて、生かせることを選ぶ。彼女の脳は取り出され、金属の殻の中に収められる。さまざまな訓練を受けて育ち、成長したのち、彼女の脳は宇宙船につながれた。彼女はサイボーグ宇宙船になった。ここまでは、ありそうなSF。でも、ここからが楽しませてくれた。サイボーグとしての彼女の出会いと愛と死の物語。ちょっとだけ涙腺がゆるみそうになる。ハードSFも良いけれど、このロマンチックさ。しみじみと楽しむ。著者の他の本も読むことにした。2024/09/03
くさてる
23
題名は知っていたけれど未読だった古典SF。「完全版」という副題と装丁、連作短編という形式に惹かれて手に取ったけれど、参りました。面白かった!いまとなってはオールドスクールなSFなのかもしれないけれど、この構成、この展開、この運命、このロマンス。長く名前が残る作品には、それだけの理由があるなと思いました。未読の方にはぜひお薦めです。2024/08/10
本の蟲
21
今ではSF定番とも言える「意思と人格を持った宇宙船(もちろん女性)」初期名作新訳版。AIではなく、先天性異常の新生児の脳を、金属外殻で覆い、特殊な調整・教育を施したサイボーグ(殻人)。銀河探索船の〈頭脳〉となった主人公ヘルヴァとその相棒となる探索員〈筋肉〉、あるいは乗客等様々な人との出会いや別れ、各惑星での出来事を描いた短編連作。正直評判が芳しくない旧訳よりも、今回の、語順倒置の新訳版各短編タイトルの方が不満。しかし追加収録された「還る船」はヘルヴァの物語の締めくくりにふさわしく、通して読むと一層泣ける2024/07/28
おだまん
10
実は初読みでした。現代の大御所に影響を与えているなぁという古典で文学的でもありながら古さを感じさせないフレッシュな作品。訳もあると思いますが嶋田さんの最後のお仕事とのこと。完全版まで読めて本当に嬉しい。2024/11/29