内容説明
アメリカ戦略空軍司令部のモニターが未確認飛行物体を映し出した。ただちに警報が発せられ、20メガトンの核爆弾を積んだ爆撃機がソ連国境に向かう。やがて飛行物体はコースをはずれた旅客機と判明、爆撃機に帰還命令が伝えられた。だが―他機が続々と方向転換を始めるなか、一編隊だけがそのままソ連国境を越えていったのだ!偶発核戦争の恐怖を描き、世界を震撼させた傑作。
著者等紹介
橋口稔[ハシグチミノル]
1930年生まれ、東大英文科卒業
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感想・レビュー
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詩 音像(utaotozo)
25
偶発的核戦争の危機を描く傑作。奥付では1980年7月4日(米独立記念日!)刊。映画を先に観たせいか長年寝かせた末、ようやく読了。原著発行は1962年で大統領の特徴は明らかにケネディ。発表時の雑誌連載期間がキューバ危機と一致というのが運命的。64年シドニー・ルメット監督『未知への飛行』として映画化。原作の要素を見事に抽出。大統領の音声による説得は規定で無視されるが、次の一手が映画独自のアイデアと解り、確かにクライマックスの盛り上げに有効と感心。G・クルーニーが2000年、生放送でTVドラマ化。これも傑作。2016/01/19
ヴァン
3
ずいぶん前に読んだ終末SFもの。作戦行動中の米軍の戦略爆撃機が引き返しポイントを越えてソビエトに向かってしまう。基地では呼び戻そうと努力するが規定により、爆撃機は口頭での命令は受け付けない。大統領はホットラインを使ってソ連書記長と緊急連絡をするが・・・。冷戦期に書かれた傑作である。シドニー・ルメットにより映画化された。いまの国際情勢と重なるところがある。
すらっぱ
2
モスクワで原爆が爆発したら電話器がドロドロにとけて、キーー!って甲高い音がする…それが滅びの始まりだ…。っていうのが凄く印象的なストーリー。世界の破滅が主題なのに、バトル要素とかはぜんぜんなくてひたすら密室のなかで話が進行していくのが斬新ポイント。12人の怒れる男(核戦争バージョン)。いま気づいたけど、「12人の怒れる男」も、この小説を映画化した「未知への飛行」も、唯一冷静沈着でクールで賢いリーダーはヘンリー・フォンダが演じてた。2013/07/11