出版社内容情報
J・P・ホーガン[ホーガン]
著・文・その他
大島豊[オオシマユタカ]
翻訳
内容説明
科学者ジョー・コリガンは見知らぬ病院で目を覚ました。彼は現実に限りなく近いヴァーチャル・リアリティの開発に従事していたが、テストとして自ら神経接合した後の記憶は失われている。開発計画は失敗し、放棄されたらしい…。だが、ある女が現れて言う。二人ともまだ、シミュレーション内に取り残されているのだ、と。あまりにリアルな仮想現実から、脱出する方法はあるのか?
著者等紹介
ホーガン,ジェイムズ・P.[ホーガン,ジェイムズP.] [Hogan,James P.]
1941年、英国ロンドン生まれ。コンピュータ・セールスマンだったが、1977年に一気に書き上げた長編『星を継ぐもの』でデビュー。同書は日本に翻訳紹介されると同時に爆発的な人気を博し、翌年の星雲賞を受賞する。さらに『創世記機械』『内なる宇宙』でも同賞を受賞した。2010年没
大島豊[オオシマユタカ]
1955年生まれ。上智大学外国語学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
-
乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
48
IT技術の進化により、話題になるバーチャルリアリティ(VR)だけど、自分が十代の頃、第一次的流行があったと思う。CGも今と比べればお粗末だし、映画(結局エロ目的)もあった。その頃の作品(?)だからか、今進行している物語がダミーと疑ってかかったゆえに、搦め手のキモとなるオチにイマイチ楽しめず、仮想世界のリピートが主人公同様、不毛な人生を繰り返されるような感じがした。この手の作品のテーマは「現実を生きよ」なのだが、仏教だとその現実すら虚構、空となってしまうので、お釈迦さんに勝てる小説が読みたい。2019/02/07
SINKEN
10
【総評】★★★☆☆【感想】ちょっと難しかったかな。ただ、非常にホーガンらしさ溢れた作品だった。邦題の通り、仮想現実(VR)世界の構築に主眼を置いたストーリーだけど、執筆時点(1995年)で既にビッグデータを利用したAIの育成など、現在の主流な理論を展開しているところが流石です。究極の仮想空間は現実世界を併呑できるのか否か非常に興味深いテーマで、今いる世界はひょっとしたらVR内なんじゃないかとか考えると少しドキドキします。2018/12/30
roughfractus02
10
VRの時間は現実の時間と同じではない。作者は、夢の時間感覚をVR世界に導入し、VR内の12年が現実では3週間の経過でしかないというギャップを物語世界に与える。一方、この世界がVRだと気づくのは、AIの予測を越えた挙動による偶然によってであり、気づいた者がVR内でテロを起こし、この計画を作る企業が動くのを待たなくてはならない。本書は、VR内での精神の成熟と現実の肉体の若さを具え、脱出プログラムを探し出す主人公が幸福な結末に向かう物語を提供する一方で、読者の「自我」もまた世界の複数性を前提とする点を示唆する。2018/09/20
Masa
10
読了。いやぁ、すごかったぞこれ! なんでこんな良い物語が絶版? 在庫切れ? になってたんだ。まったくもって信じられない。まさにいまの時代に読まれるべきSF。「物語」自体が他人の人生を追体験する仮想空間だとすれば、本書では仮想空間の中の仮想空間に迷い込む。非常に深いところに落ちていった印象。いやぁ、すごいぞこれ! すごいぞホーガン! エンタテイメントとしても非常に良く出来ていて、大満足の1冊になりました。2017/10/04
ビター
6
真面目なハードSFは久しぶりだが思った以上に楽しめた。主人公の心境の変化による行動の変化からAIの行動原理が改まって現実よりも理想的な世界になっていったのには笑った。その後いろいろぶち壊しになるのにも。あとアイルランドジョーク。そりゃ良かったねってコリガン自身も言われてんじゃんww 「情報は聞き手の中にあるんだ、語り手ではなく」2014/06/26
-
- 和書
- デザインの仕事