創元SF文庫<br> 終着の浜辺

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創元SF文庫
終着の浜辺

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  • サイズ A6判/ページ数 300p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784488629113
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

終末世界を圧倒的な筆致で描ききったバラードを代表する“濃縮小説”の傑作「終着の浜辺」。いつとも知れぬ処刑の日を待ちながらチェスに興じる死刑囚と執行人の静かなる戦い、遺跡に残された美しい少女の幻影装置を拾った青年、襲いくる海の幻影におののく男の話などを通して、絢爛かつ退廃に満ちた内的宇宙をあますところなく描破した鬼才のSF全9編。

著者等紹介

伊藤哲[イトウサトシ]
1925年生まれ。東京大学理学部中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Aster

55
一年前ぐらい前に読み終わったと思っていたが、表題作「終着の浜辺」だけ読んでいなかったことに気づいたので、ようやく今日読み終わった。全作通してバラード節をひしひしと感じる。表題作だけ異常にイメージが掴みづらいが、インナースペースの披歴が素晴らしい。2021/02/12

秋良

10
サブリミナル効果が人間を駆り立てる「識閾下の人間像」、時間が歪んだように思える「甦る海」が良かった。資本主義に振り回される人間の姿は、お話の中だけのこととは言えない。2017/11/06

シロビ

4
どれも良かったが一番は「終着の浜辺」。いくつかの同心円の弧。同心円上に広がる爆撃。爆撃の中心。中心部は未来。未来は死と終末の方向。そんなイメージで読んでいました。自分の世界の中心はいつだって自分で、その思考でしか生きられない恐さと面白さ。好きだぁ。バラードもっと読もう。2015/06/10

uburoi

3
わたしにとっては今までにない理解力でバラードを読み進められた。それでも表題作「終着の浜辺」の水爆実験後の荒廃した世界のビジョンが凄まじく難しいドラマに見えた。とりわけ注意深く読んだのが「ヴィーナスの狩人」だ。ページ数で一番この中では長尺。1963年の発表は三島の『美しい星』が表れた頃と奇妙に一致する。両者が同じく異星人との交感と核兵器の脅威、UFO目撃というテーマを取り上げているところが興味深い。要するにこの時代の日常がこんなテーマを抱えていたということだろう。2017/07/05

3
表題作に出てくる「未来の化石」という表現は、「魂の郊外」がそうであるように、バラードの関心が濃縮されたようなアレゴリー的なフレーズだ。そうした言葉の的確さが随所に散らばっていて、予め分析され、分解されつくした瓦礫のようにして組み立てられていく、思考の核実験の後に広がる未来に取り残された風景。それを空虚で無関心な空気と共存させつつ時間の被爆をうけた突然変異種のような孤立した関心を持った人々や社会の生きる世界を執拗に描き、それを絶滅種とも未来の種とも現代の種とも変奏できるバラードのセンスにはいつも舌を巻く。2011/02/22

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