内容説明
手違いで惑星基地から締めだされた探検隊の一員。融通の利かないロボットを言いくるめなければ命が危うい。彼のとった奇策とは?表題作ほか、気弱な男の突拍子もない人格改造術「コードルが玉ネギに、玉ネギがニンジンに」、大戦以後失われた文学の“記憶”を売る男と村人の交流を描く「記憶売り」など、黒いユーモアとセンチメントが交錯する、奇想作家シェクリーの佳作16編。
著者等紹介
シェクリー,ロバート[シェクリー,ロバート] [Sheckley,Robert]
1928年ニューヨーク生まれ、ニューヨーク大学を卒業。1951年に作家デビューし、諷刺の利いた短編を数多く発表して人気を博す。2005年没
酒匂真理子[サコウマリコ]
1949年生まれ。フェリス女学院高校を経て、1971年、横浜市立大学文理学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kochi
14
エイデルスタインのアパートを訪れた死神は、3つの願いを叶えてくれるというが、最大の敵にはその願いのちょうど倍だけもたらされるという。1万ドルを願えば、敵には2万ドルという訳だ。そしてその通りとなり、腹が立った男が3つ目に望んだものは!?(「倍のお返し」) 1961年頃からの短編集だが、古さを全く感じない。紹介したのは、三つの願いの変奏だが、ひねりがかなり効いている艶笑譚でもある。他作品も純粋なSFではないので一般雑誌収録か?調べてみたい。都会的なウィットにとみ、文章も洗練されている感じ。2020/08/04
ふりや
11
今まで読んだ感じではシェクリーはSFの人だと思っていたので、勝手にSF短編集と思って購入したのですが、そういう訳では無かった。もちろんSFもあるのですが、どちらかというと不思議な話、怪奇・幻想モノが多かったです。作品の幅がかなり広く、飽きさせない16篇。オチに捻りが効いたものから、不思議な読後感のものまで様々。ひとつひとつの作品が非常に短く、サクッと読めます。印象に残ったのは、『倍のお返し』『石化世界』『残酷な方程式』『トリップアウト』『シェフとウェイターと客のパ・ド・トロワ』『疫病巡回路』など。2023/10/21
スターライト
7
標題作を含む全16篇収録の短篇集。巻頭の「倍のお返し」は悪魔との契約もの。ただし願い事が自分の敵に倍になってお返しされるという『無限がいっぱい』所収の「倍額保険」を思わせるヒネリがある。「石化世界」は夢と現実の区別があいまいになった男の話で、同じくシェクリイ自身が書いた「夢の世界」と酷似。標題作は融通の利かないロボットととの対話が魅力的なストーリー。「それはかゆみから始まった」の途方もないバカSFがあるかと思うと、「記憶売り」のような考えさせられる話もあり、シェクリイ作品の魅力を感じる一冊だった。2022/03/13
へいへい
4
復刊フェア2023の作品。読むべきものが多く、年明けにようやく読めた。復刊フェアらしくクセ強なシュール短編集。表題作が一番良かった、というかわかりやすかった。「それはかゆみから始まった」も好き。たまにこういう妄想することがあるが、同じこと考える人がいたんだなと親近感。2024/01/20
monado
4
表題作は方程式ものかと思いきや、方程式ではなかった。 とはいえ小粋でありながら、どこかしら哲学的な雰囲気もあり、かなり楽しめた。2016/10/18