出版社内容情報
ジュディス・メリル[ジュディスメリル]
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浅倉久志[アサクラヒサシ]
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おおた
20
SFといっても50年代がベースだとファンタジーや現代小説のくくりで語られてもおかしくない。マッケナ「闘士ケイシー」の死に行く者たちの閉塞感とそれを緩和する共同幻想は、デニス・ジョンソンやトム・ジョーンズの息詰まる空気に近い。ヘンダースン「なんでも箱」はボルヘス「アウラ」に共通する、全てを手の中で現出させるファンタジー。これがスマートフォンという形で実現している21世紀だけど、人々はそれを見るだけで幸せにはならず、むしろ不幸を生み出すことさえあるのが皮肉めいている、なんて当時は考えもしなかっただろう。2020/05/19
ニミッツクラス
17
93年の税抜563円の5刷(初版76年)。メリル集成の最初の5冊から27編を厳選し、本邦ではそれを2分冊して、上巻の本書では11編を載せた。往時読んだ時には年間集成の更にベスト版という上面だけの印象だったが、今回再読して、SFを濫読したい人への橋頭保を築いたメリルの偉業を再認識。零細牧場主と未知の生物との遭遇の「孤独な死」はシマックによる時代親父無双の描写だ。ライバーは超猫「ガミッチ」5連作の最初の一篇で、猫好きには垂涎の一作。メリルと御同業のナイトの「異星人ステーション」はラストが判らん。★★★★★☆2018/06/27
月世界旅行したい
17
再読。いまの時代だともう少し設定がSF的にしっかりしてないときついのかも。余裕のあるユーモアを感じるのは時代だろうか?2016/04/25
鐵太郎
15
日本では刊行されなかったジュディス・メリルによる「SF傑作選1955年度~1959年度版」よりさらに厳選した、メリルによるこの時代のベストSF厳選集。あの時代、メリルはこういうものがベストと選択したのか。彼女にとってスペースオペラとか娯楽的な冒険譚はレベルが低い存在だったんだな。「孤独な死」がヤング的で心に残った。2019/07/12
ヴェルナーの日記
10
、メリスによって編まれた11人の作家による短編・掌編集。SF作品の面白さは、およそ物語の世界観や設定の奇抜さにあるといえる。とくに短編・掌編は、その傾向が著しい。多くの場合、物語の断片を抜き出した作品になってしまうのを、読者に切り込む、新鮮な切り口があるか、否かで良し悪しが決まってしまう。それを踏まえ私観ながら、面白かった作品を選ぶならば、『帰郷』(自虐的なところが面白い)『隔壁』(未知のエイリアン描写が一興)『跳躍者の時空』(吾輩は猫であるのSF版?)『時は金』(シニカルでアイロニーなところが面白い)。2014/09/19