内容説明
189X年、アメリカ政府は北極の未踏査の地域を各国間で競売にかけるという突拍子もないことを思いついた。アメリカは北極実用化協会という謎の団体を代理人に立てるが、これこそは20年前、『月世界へ行く』で人類初の月旅行に挑んだ大砲クラブの仮の姿だった。みごと落札に成功した彼らだが―途方もない真の目的とは?大ヴェルヌが贈る、まさに驚天動地、奇想天外なSFの粋。
著者等紹介
榊原晃三[サカキバラコウゾウ]
1930年生まれ。早稲田大学大学院仏文学修士課程修了。法政大学、共立女子短期大学で教鞭をとるかたわら、仏文学の翻訳を続ける。1996年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tetchy
113
なんという奇妙なタイトルだろう。今まで未開の地への冒険、地底や海底に世界の空、はたまた月世界へと舞台を広げていったヴェルヌの創造力はとうとう地球そのものへまで発展した。傾いた地軸を変更し、北極を極寒の地から温暖な地へと変えることで行きやすくし、北極の地を手中にするという壮大なトンデモ科学系小説だ。本書で登場するのはあの『月世界旅行』、『月世界へ行く』に登場した大砲クラブの面々。科学の専門知識のディテールに南極を手中にせんとする各国の思惑など、荒唐無稽さの中にリアルが含まれている、実にヴェルヌらしい小説だ。2019/12/08
sin
52
この寓話から何が読み取れるだろう当時の西洋人は四季を余計なものと思っていた?小松左京より前に日本は沈没の危機に在った!それとも中国や日本等の人命なら失っても仕方ないのか?いやそうではなくて目的の為なら手段を顧みない男たち!本質的に大人になれないまるで少年の様な(冗談じゃない)と形容される男たちの話である。しかしヴェルヌはこの物語の結末でそういった男たちを完膚なきまでに叩きのめすのではあるが…そのためか最後には一見なんの意味もない物語に思えてしまうことがまるできつねに摘まれたような不思議な印象を受けた。2015/02/09
たぬ
29
☆3.5 「私はアメリカが嫌いです」「我々ヨーロッパ人はアメリカが嫌いです」感が(本当のところはともかく)全編にわたってあふれかえっていました。大砲ぶっ放して地軸を変えるなんてよく思いつくなあ。さすがは傲慢・強引・同調圧力すさまじいアメリカ様。ヴェルヌの別の主要作のキャラがちょいちょい出てきてそんなところもプラス要素。2021/08/17
くみ
19
【SF&ファンタジー読書会】数字と状況が淡々とつづられ、新聞を読んでるようでした。「月世界へ」の時と同じ登場人物が出てくるのですが、あまり掘り下げられておらず、さらっと流れた感じです。バーバケインも「月世界へ」での存在感もなく。ずっと気になってたのですが、個人的に小説としてはあまり、、でした。「80日間世界一周」とか「海底二万マイル」が念頭にあったからかもしれません。ただ、科学万能主義への警鐘、社会的道義と個人の観念について多いに考えさせられました。バーバケインたちの行動は今でいうテロと同じだと思うので。2018/11/04
ホームズ
12
凄く大胆な計画(笑)凄い想像力だな~(笑)まだ北極点にも南極点にも人間が到達していない時代に書かれていたんですね~(笑)登場人物たちのお騒がせっぷりもいいですね(笑)2012/03/11
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- 団塊の秋 祥伝社文庫